国税局の査察による脱税摘発額が減ったという記事。
「全国の国税局が平成29年度に強制調査(査察)に着手した脱税総額は約135億900万円(前年度比約25億9700万円減)で、過去40年間で最も低かったことが14日、国税庁のまとめで分かった。告発分1件当たりの脱税額も約8900万円(同約700万円減)で、過去40年間で最低だった。脱税で得た不正資金を海外口座に移す傾向が顕著になっており、国税庁は「国際化などにより脱税の方法が複雑、巧妙化している」とみている。」
景気がよくなっているはずなので、脱税摘発も増えているものと思っていましたが...。
デジタルフォレンジックもあまり効果を上げていないようです。
「国税庁では「デジタルフォレンジック」(電子鑑識)技術の活用を進めているが、近年の税務調査では電子メールなどのデータ解析に時間がかかっているという。」
平成29年度査察の概要(国税庁)(PDFファイル)
具体的な摘発事例がいくつか紹介されています。
「A社は、化粧品の輸出等を行う会社ですが、取引事実が無いにもかかわらず、国内の業者からの架空仕入(課税取引)及び国外の業者への架空輸出売上(免税取引)を計上する方法により、不正に多額の消費税の還付を受けていました。」
「Bは、インターネットを利用しコンサートチケット等の販売を行う者ですが、他人名義でコンサートチケット等の仕入及び販売を行うとともに、売上代金を他人名義の預金口座に送金させるなどの方法により所得を秘匿し、所得税の申告を行わず多額の所得税を免れ、不正資金を現金で留保するほか、高級外車の取得費用に充てていました。
本事例では、デジタルフォレンジックツールを使用して、メールデータなどを把握し、事業実態等の解明をすることができました。」
「C社は、工業製品のデザイン等を行う会社ですが、国外の外注先に対する外注工賃(不課税取引)を、国内の不正加担先に対する外注工賃(課税取引)に仮装する方法により、不正に多額の消費税を免れるとともに、消費税の還付を受けていました。」
「D社は、太陽光発電システムの販売を行う会社ですが、不正加担者に対する架空外注費を計上し送金後、不正加担者から現金を戻させるなどの方法により、所得を過少に申告して多額の法人税を免れ、不正資金をD社の出資金や代表者の自宅取得費用に充てていました。」
「Eは、実質経営する会社3社において、グループ会社の在庫商品である高級腕時計を利用し、腕時計を何度も国内と国外で循環させる方法により、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上し、不正に多額の消費税の還付を受けていました。
Eは、これらの会社及び関係会社の消費税法及び地方税法違反の罪で、懲役7年6月の実刑判決を受けました。」
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