東証社員のインサイダー疑い調査報告書、社員が違反する可能性を想定した対応の余地
東京証券取引所の社員のインサイダー取引事件で、日本取引所グループ(JPX)の独立社外取締役による「調査検証委員会」の報告書が公表されたという記事。
「同委員会はインサイダー取引が発生した原因究明やJPXによる再発防止策への評価などについて調査報告書を取りまとめ、同日公表した。発生原因について同委員会は、JPXの社員教育や研修体制に大きな不備はなかったとした一方、インサイダー取引規制に違反する社員が在籍している可能性があることを想定し、より充実した対応ができる余地があったなどと指摘した。」
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「JPXは同日、独立社外取締役で設けた調査検証委員会の報告書も受けとった。検証委は、公表前の企業情報を扱う部署の社員と父親によるインサイダー取引を「前代未聞の事案」と指摘。企業の重要情報の共有や人材育成のあり方などについて、再発防止のための実効性ある取り組みを取引所に求めている。」
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「独立した社外取締役による委員会が原因などを調査した報告書も30日に公表され、この中では取引所が今回のような不正行為を行う社員がいる可能性を想定していなかったことが根本的な原因だと指摘しています。」
JPXのプレスリリース。
独立社外取締役による調査検証委員会の調査報告書の公表について(日本取引所グループ)(PDFファイル)
30ページ強の報告書が添付されています。
「...このような不正行為を行う社員が在籍し得ることを現実問題として想定できなかったことが、本件事案の根本的な原因であると考えられる。このような社員の存在を想定できなかったことは、1989 年のインサイダー取引規制の導入以来、JPX 役職員が本件事案のようなインサイダー取引規制違反を一度も起こしていなかったことも背景として考えられる。重要なことは、想定できなかったから避けられなかったという判断に逃げ込むことなく、今後は、インサイダー取引規制という規範的障害を乗り越えようとする心理的要因を持ちうる社員が存在し得ることを想定して、再発防止策を検討すべきという点である。」(報告書31ページ)
金融庁による報告徴求命令に対する報告書の提出及び責任の所在の明確化について(日本取引所グループ)(PDFファイル)
同じ時期に摘発された金融庁職員によるインサイダー取引事件については、金融庁は調査報告書を公表しないのでしょうか。A4の紙、1枚か2枚で、お茶を濁すことは、国民に対する説明責任を果たしていません。(そういうところが不正が起きる根本原因かも)