会計基準変更で巨額の増益メリットを享受
NTTの減価償却方法変更を取り上げた記事。
「NTTは今2017年3月期、将来のIFRS導入を理由に、減価償却方法をこれまでの定率法から定額法へ変える。IFRSの減価償却は定額法が大原則だ。毎期同じ額を償却する定額法と、毎期同じ率で償却する定率法では、5年償却の場合、3年目までは定額法のほうが償却額は少なくなる。これはNTTグループ全体で、今期4800億円の営業利益押し上げ要因になるのだ。」
「NTTは将来を見据え、今期4600億円を費用計上する予定だ。どういうことなのか。その中身は2つある。
一つは旧世代の通信設備を通常よりも速く償却する「加速度償却」。税金を余計に払ってでも、早期に処理する方法だ。これは、4800億円の余裕があるうちに手を打つことで、将来の償却負担を減らす狙いがある。
もうひとつは、通信設備の「未償却残価(5%分)の償却」である。こちらは、定率法だとどうしても残ってしまう未償却の資産を、IFRS導入前に償却するというもの。そうしなければ、IFRS移行時に減損というマイナス要因として、のしかかりかねないからだ。いずれも移行前に不安の芽をつぶす、鵜浦社長の深謀遠慮が見え隠れする。」
定額法に変更すること自体はいいのですが、浮いた利益の使い道の方は、利益操作的な印象を受けます。
まず、今まで税法どおりの償却をしていた(?)のを、有税で早期に償却するというのは、耐用年数の変更、つまり見積りの変更のはずです。正当な理由がなければできないはずですが、記事では、決算政策で変更したように読めます。
また、未償却分5%の償却については、そもそも、現時点で残っているのはおかしいともいえます。耐用年数経過時に簿価が残存価額(たぶん実質的にはゼロでしょう)になるように償却しなければならないはずで、そうであれば、5%がまるまる残ることはありえません。(旧定率法のときからの償却方法継続で残っているのかもしれませんが)
IFRS導入のための償却方法変更をきっかけに、固定資産の中にたまっていたごみを掃除しようという会社は多いのかもしれません。
2016年3月期決算、2017年3月期業績予想について(NTT)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
【独自】JALがグループ会社のトップ人事に“強引介入”か、上場廃止を迫る株主提案は「天下りポスト」を失った意趣返し!?(ダイヤモンドオンラインより)
(書籍の紹介)業種別 IFRS国際サステナビリティ開示基準の実務対応/ISSA 5000対応 サステナビリティ情報保証の実務ガイド
社員がインサイダー取引に関与した疑いでIRJを強制捜査…証券取引等監視委員会(読売より)
いわき信組元会長を銀行法違反で告発、ディスクロ誌に虚偽記載か(福島民友より)

「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立しました(中小企業庁)
導入予定割合が最も高いデジタルツールはAI(人工知能)「デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査」結果(日本政策金融公庫)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事
【コロナ禍で最大の飲食店倒産】お好み焼き店「いっきゅうさん」など80店超を経営していた「ダイナミクス」(東京)が、負債100億円超を抱えて破産開始決定受ける(Yahooより)

監査人交代事例9件(トーマツ(2件)、あずさ(継続辞退)、PwC、太陽、ゼロス(上場会社等監査人登録未完了)など退任)(2025年5月22日)
社員がインサイダー取引に関与した疑いでIRJを強制捜査…証券取引等監視委員会(読売より)
