会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

HIS「ハウステンボス、経営は困難」 施設修繕に巨額

HIS「ハウステンボス、経営は困難」 施設修繕に巨額

(少し古いニュースになってしまいましたが)大手旅行会社HISが、同社が支援を検討していたハウステンボスについて、ホテルなどの施設修繕費を見積もった結果、想定より多額になるため、経営を引き受けることができないという記事。

「関係者によると、26日にHTB内の4ホテルの修繕費の見通しが明らかになり、中核のホテルヨーロッパが老朽化し、修繕費が想定以上にかさむことがわかった。他の設備の修繕費は28日にもわかるが、総額が100億円を超える見通しになったという。」

ハウステンボス修繕費200億円超 HIS、困難と伝達

「(経営が困難なのは)ホテルなど園内設備の修繕費が、当初10年間で200億~300億円に膨らむ見通しになり、目安としていた100億円を大きく上回るためという。」

ここでは修繕費の会計処理を考えてみたいと思います(ただし、現行の実務や税務上の扱いから少し離れて考えてみます)。

ホテルなどでは、毎年行う修繕のほかに、何年かおきに客室や宴会場、レストランなどの、内装や設備を、やり直す必要があると思います。この何年かおきの修繕費を、どのように会計処理するかを考えると、(1)実際に修繕したときに費用にする方法、(2)修繕を行う前から引当金を計上する方法、(3)修繕費を資産計上し、その後償却していく方法があるでしょう。

(1)の方法では修繕を行った時点で一挙に費用計上されるわけですが、修繕は修繕を行った時点以後のキャッシュフローを増やすために行われているのに、それと矛盾した処理になってしまいます。

(2)は、費用計上が平準化されるというメリットはありますが、(1)と同様、修繕は修繕を行った時点以後のために行われるという事実とちがった会計処理といえます。(ちなみに、ASBJの引当金論点整理でも、修繕引当金は認めない方向のようです。)

(3)は、修繕の目的と合致した処理といえますが、固定資産を取得後、最初の修繕までは、まったく費用が計上されません。修繕が必要だということは、修繕対象部分についてはそれだけ資産の価値が減っているわけですから、それに対応する費用計上が必要でしょう。

IFRSの参考書をみると、IFRSでは、ひとつの固定資産の中に重要なコンポーネントがある場合には、それぞれのコンポーネントについて別個の減価償却を行うそうです(たとえば、航空機の機体とエンジン)。

(これは現行の実務でも行われていますが)おそらく、機械装置と(金型などの)工具の関係も同じでしょう。

建物でも、付属設備は通常別個に減価償却を行いますが、内装なども躯体部分と厳密に区分して、それぞれ耐用年数を見積もり、別個に償却することになるのでしょうか。それとも、機体とエンジン、機械と金型、のようには、簡単に切り離せないので、一体としての償却でいいのでしょうか。

このあたりも、詳しい人に聞いてみたいところです。
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