会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

4大学1機関も預け金か 計約4億6000万 東京地検、不正経理解明へ(産経より)

4大学1機関も預け金か 計約4億6000万 東京地検、不正経理解明へ

当サイトでもすでに取り上げましたが、京都大学の元教授が医療機器販売会社に物品を架空発注し、「預け金」と呼ばれる不正経理をしていた疑惑で、京大以外の5つの大学や研究機関でも同社への預け金が存在する可能性があるという記事。東京地検特捜部まで捜査に乗り出すということでおおごとになっています。

「関係者によると、医療機器販売会社は昨年10月、約15億円の負債を抱えて東京地裁に民事再生法の適用を申請し倒産。同社が地裁に提出した債権者リストには、銀行や取引業者のほか、5つの大学や研究機関の名前と債権額が記載されていた。

 債権の最多額は独立行政法人「国立成育医療研究センター」(世田谷区)の約3億8千万円。ほかに日本大、慶応大、明海大、東京慈恵医科大の4大学が、数百万~数千万円の債権を持つことが判明した。大学や研究機関の債権は計約4億6千万円に上る。

 複数の学校法人や公的機関の監査を手がけた経験がある公認会計士の柴山政行氏によると、大学などが業者の債権者になることは通常考えにくいといい、「研究者個人と同社との間で預け金などの不正な経理処理が行われた可能性がある」と指摘している。」

預け金が不正であることはたしかであり、また、今回の事件では預け金の預け先が倒産してしまい、税金が無駄になってしまうかもしれないという意味で問題はあるのですが、私的流用は別として、預け金自体はメディアが騒ぎ立てるほどの話ではないという意見が、たまたま読んでいた新書本に書いてありました。

「・・・むしろ問題とすべきは、予算の単年度主義です。

 たとえばある研究に予算がつき、その執行が9月とします。すると4月から8月までは、予算の手当てがありません。その一方、9月から3月までの7カ月で、1年分の予算を使わなければならない。単年度主義で、余った分を翌年に繰り越すことができないからです。

 この解決策としてよく使われるのが、業者側にお金をプールしておくというものです。たとえばバイオケミストリー(生化学)の研究室で必要な試薬を買うとき、長期保管の利かないものは半年分を購入してストックしておくことができません。それでお金を先に渡し、あとから必要に応じて納品してもらうのです。これを「不正経理」とメディアは騒ぐのですが、たんに予算を効率的に使っているだけです。

・・・私的流用は極めて例外的なもので、ほとんどの研究者は研究のために使っています。それをメディアは鬼の首を取ったように大騒ぎをして、文科省もまた木で鼻をくくったように「再発防止策を講じる」などといっている。・・・」(突き抜ける人材 (PHPビジネス新書)168ページ)

京大元教授:「預け金」業者と集中取引 研究費流用疑惑(毎日)
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