中国恒大集団、粉飾決算で窮地 政府が強硬姿勢に転換か(記事冒頭のみ)
中国恒大集団の巨額売上高水増し事件(→当サイトの関連記事)の続報。
「2019年に当期の売上高の約50%に相当する2139億元、20年に同約78%に相当する3501億元をそれぞれ水増しし、この虚偽記載に基づいて人民元社債を発行した疑いがある。」
不正の内容を少し説明しています。
「恒大は21年の財務報告で売上高の計上基準を変更していた。一般的な住宅の売上高の計上基準である「顧客に住宅を引き渡した場合」に加えて、新たに「販売契約に基づいて顧客が物件を受け入れるとみられる場合」との文言を追加していた。
同委員会は19年と20年の恒大の財務報告について「売上高を前倒しで計上していた」と指摘しており、実際には計上基準を変更した21年以前から顧客に引き渡す前の未完成住宅を前倒しで売上高として計上していたもようだ。
恒大の売上高に関しては香港の調査会社GMTリサーチが23年12月、「恒大は最大10年間にわたって収益を前倒し(で計上)してきた可能性がある」と分析し、「そもそも恒大は利益が全くなかった」と指摘していた。
同委員会の処分に対して恒大は「弁明しない」と処分を受け入れる方針を明らかにした。」
普通に考えれば、引渡基準しかないように思われますが...。
また、売上の会計方針を変更しそのことを開示していたということは、監査人も収益認識基準が問題がありそうだと認識していたはずでしょう。
問題の期間の監査人はPwCでした。
「恒大の財務報告は20年まで監査法人のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が監査しており、PwCも責任を免れない見通しだ。」
当サイトが引用した報道によれば、2月の段階で、監査人は香港の当局から調べられていました(ただし調査の初期段階)。しかし、その際は、ゴーイングコンサーンの問題が焦点だったようです。今回、明らかな虚偽記載の問題が浮上してきたので、さらに厳しく調べられることでしょう。
粉飾の規模からすると、監査事務所が、スケープゴートとして、経営者といっしょにつぶされる可能性もありそうです。
中国恒大に約870億円の課徴金、19-20年の売上高水増し計上の疑いで(ブルームバーグ)
「恒大が行ったとされる架空計上は中国の瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)や米エンロンの不正会計を上回る規模で、中国の金融監督当局や監査を担当した会計事務所に衝撃を与えた。証監会の呉清・新主席が監督強化に乗り出そうとしている矢先だけに、こうした不正会計がどれだけ横行しているかに関する懸念に拍車がかかった。」
「証監会は、許氏が恒大の通期決算の数字を「不正に膨らませるよう他の社員に指示した」とみており、責任の大半は同氏にあると主張。同社の中国本土部門が2019年の売上高を約2140億元、20年にはさらに3500億元水増ししたとしている。
プライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社、開源資本のマネジングディレクター、ブロック・シルバーズ氏は「行ったとされる不正会計の規模は衝撃的だ。恒大が清算を命じられた途端に、許氏は民事訴訟と刑事事件の対象になった」と語った。」
ブルームバーグ記事中の図。他の大型粉飾事件と比較しています。
中国恒大に865億円の罰金命令 19~20年の決算報告書捏造(毎日)
「同社の23年6月時点の負債総額は2兆3882億元で、金融機関や取引関係のある建設業者、同社の金融商品を保有する個人など利害関係者が多い。恒大の大部分の資産がある中国本土で法的整理が実施されれば混乱が必至だ。」
中国恒大、創業者に売上水増しで処分 主要部門も罰金42億元(ロイター)
「恒大地産によると、証監会の調査で2019年に売上高を全体の半分に相当する2139億9000万元を水増しし、20年には全体の78.5%に相当する3500億元を水増ししていたことが判明。同社はこれらの虚偽の業績に基づいて債券を発行していた。
さらに年次・中間決算、訴訟案件、債務残高の適時開示も怠った。
証監会は、当時の直接の責任者だった許氏の不正行為は特に「悪質で重大」だったとした。処罰対象には恒大不動産の元副会長と元最高財務責任者も含まれる。」
「恒大集団」会長に約10億円の罰金 通期決算“膨らませ指示” 証券市場への参加を生涯禁止 中国不動産大手(TBS)(動画あり)