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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

国際的潮流の中におけるわが国会計制度の行方

経理情報8月20日号に日本経団連の井上隆氏による「国際的潮流の中におけるわが国会計制度の行方」と題する論説が掲載されていました。コンバージェンスに対する経済界の代表的な見方だと思いますので、引用して紹介します。

「・・・米国では、米国基準とIFRSのコンバージェンスを超えて、米国市場において好ましい統一的基準は何か、そのためにIFRSをどのようなかたちで受け入れていくか、あるいは、IFRSに対する自国の発言権をいかに高めていくかという点に検討の主眼は移っている。仮に米国がIFRSを容認した場合、世界の主要証券市場で日本だけがIFRSを受け入れていない市場として孤立してしまう可能性がある。」

「(EU)域内で(IFRSに)統一されたのは上場企業の連結財務諸表に対する会計基準のみであり、各国の法制が関連してくる個別財務諸表作成のための会計基準は統一されていない。中小企業や非上場企業などはむろん対象外である。これは今後の日本の会計基準の行方を検討するうえで大きな参考となろう。」

「連結財務諸表と個別財務諸表の会計基準を区別する考え方として「連単分離」、「連結先行」のほかにも、「証商分離(旧証取法=金融商品取引法と商法=会社法を分離して考える)」、「税会分離(税務会計と企業会計を分離して考える)」といった説明もある。・・・調和可能なものは調和しつつも、各々の目的に応じて重視すべき点が異なることはやむを得ない流れではないだろうか。特に国際的な流れを重視した場合には、差異の発生は不可避となろう。」

しごくもっともな考え方だと思います。日本の会計基準を世界に認めさせろ、税法と調和する会計基準にしろといっていた数年前の経団連の考え方とはだいぶ変わっているようです。

上場企業の連結決算だけ国際基準にあわせるというのが、コンセンサスになりつつあるのでしょう。あとは、上場企業のなかで、IFRSと日本基準の選択適用を認めるかどうかという論点が残っています。
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