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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

RIZAPに監査法人が「待った」 子会社の借金使い利益計上(日経より)

RIZAPに監査法人が「待った」 子会社の借金使い利益計上(記事冒頭のみ)

RIZAPグループの上場子会社「夢展望」の2018年3月期の決算で、「トレセンテ」という子会社からの4億1900万円の「債権取立益」が問題となり、監査法人が利益計上に「待った」をかけたという記事。

「特別利益の発生に関するお知らせ——。3月30日、夢展望は子会社のトレセンテ(東京・中央)からの4億1900万円の「債権取り立て益」を18年3月期の特別利益に計上すると発表した。」

「宝飾品販売のトレセンテは業績が低迷しており、17年4月にカタログ通販大手ニッセンホールディングスから夢展望が1円で買収した。トレセンテの純資産(帳簿価格)を大きく下回る1円で買収できたとして、差額の約5億7000万円を「負ののれん」として18年3月期の営業利益に計上した。」

「だが話はこれで終わらない。夢展望は買収にあわせてニッセンHDが抱えていたトレセンテ向け貸付債権も1円で取得買収後にトレセンテは金融機関と4億円の借り入れ契約を結んだ。

トレセンテは借入金を使って夢展望に債務を返済。夢展望は1円で計上していた貸付債権の帳簿価格との差額を単独決算の特別利益に計上する算段だった。これが3月30日に公表した「債権取り立て益」の仕組みだ。」

「こうした利益の計上に「待った」をかけたのが、18年4〜6月期決算からRIZAPの監査を引き受けた太陽監査法人だった。」

「太陽はRIZAPと監査契約を結ぶに際し、夢展望などを含めグループの不透明な利益計上をやめるよう求めたという。」

「夢展望は3月30日の発表から2週間後の4月14日、一転して特別利益の計上を中止すると発表した。夢展望が業績不振のトレセンテに資金援助する可能性があるにもかかわらず、子会社からの一過性の返済金を利益に計上するのは不適切な「循環取引」になりかねないと太陽側が判断したとみられる。」

会社のプレスリリースを見ると、トレセンテの借入は、RIZAPグループの連帯保証がついているとのことです(そうでなければ銀行も危なくて貸せないでしょう)。トレセンテは、数億円の債務(夢展望の債権)が1円にしかならない会社ですから、契約どおりに返済できない可能性はかなり高そうです。そうなれば、「RIZAPが代わりに返済→トレセンテに求償→トレセンテにはカネがないから夢展望が支援せざるを得ない→夢展望に損失発生」ということになるでしょうから、たしかに、債権取立益の計上は不健全な処理といえそうです。

「循環取引」というのは、銀行や親会社であるRIZAPグループがからんではいるが、夢展望が自分のリスクでトレセンテに資金提供したのと同じである、自分で資金提供して、それがそのまま債権回収という形式で戻ってきただけだ、という意味なのでしょう。

連結子会社における資金の借入に関するお知らせ(3月30日)(夢展望)(PDFファイル)

「保証の有無 有(当社の親会社であるRIZAPグループ株式会社の連帯保証)」

特別利益の発生に関するお知らせ(3月30日)(夢展望)(PDFファイル)

(開示事項の変更)特別利益の発生に関するお知らせ(4月14日)(夢展望)(PDFファイル)

「...これは、平成30 年3月30 日の取引事実の発生に伴う適時開示時点では、返済金額と帳簿金額の差異については収益として認識することが適切であると判断されたことによるものであります。

しかし、今後当社がトレセンテに対して資金援助を行う可能性に鑑み、トレセンテから回収した本返済が、援助資金の原資であるとの疑義を回避するため、平成30 年3月期で債権取立益を計上する方針を変更することといたしました。今後はトレセンテに対する貸付債権の当初年間約定弁済金額を上限として、トレセンテが獲得した当期純利益などの利益相当額を基礎として、 当社が債権取立益として認識する金額を決定していく予定であります。よって、本変更を行うものであります。」

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