アナリストによる新規株式公開(IPO)市場に関するコラム記事。
「これまでのIPO市場の例を見れば明らかなように、IPO企業数の多い年ほどクオリティーの低い企業が紛れ込むケースが増え、初値こそ順調なスタートを切るもののその後の株価は坂道を転がり落ちる企業が続出する。IPO市場をこれまで20年以上見てきたが、相場環境が良くても悪くても年間に投資に値する企業の数は私の個人的見解ではせいぜい10―20社程度に過ぎず、IPOの企業が増えれば増えるほど投資に値する企業が増えるという状況はついぞお目にかかったことはない。」
「新規公開する企業が上場するにあたって、いくらの資金を調達できるのかが決まるベースとなるのが公募価格である。」
「そして、上場日に初値がついた時点で、IPO企業は第一段階としての企業価値の評価を投資家から受けることになる。いわゆる公募価格に対して初値がいくらで決まったか、というモノサシであるが、それはほとんど「幻想価格」といってよいものである。多くの場合、企業の持つ本来の実力が正当に測られるのではなく、「将来性」「期待度」が先行して価格形成されるからである。・・・IPO企業ならではの毎度お決まりのパターンともいえる最初についてしまう「無謀な評価」が問題なのである。」
このことは会計不正にも関係していると思われます。企業の実力とかけ離れた株価(幻想価格)がついてしまうことは、粉飾をしてでも、幻想価格に見合った業績に見せかけようというインセンティブをもたらします。こうした構造がなくならない限り、新興企業に粉飾が続出する事態は改善されそうにありません。
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