経済産業省が、財務管理システムの設計・運用指針を策定するという記事。
記事では、「2008年度決算から上場企業に義務づけられる内部統制制度に対応する」指針を作るように書かれていますが、金融商品取引法で定められた制度(日本版SOX法)とは(少なくとも制度的には)まったく無関係なものだと思います。また、内部統制全般を対象とするものではなく、ITが絡むところを検討するようです。
新しい制度ができると官民問わずそれに便乗する動きが出てくるものですが、それらにいちいちつきあう時間はありません。もちろん報告書の出来がよければ参考にするのはいいことです。
ちなみに、この記事の元になっている日経朝刊(11月12日)では、「例えば」として、以下のように書いています。
「売り上げの計上時期を早めて業績を水増しするなどの不正が起きないように、顧客からの注文の受け付け番号が受注した順に自動的に割り振られ、後で受注時期を操作できないような仕組みづくりを求める。」
しかし、売上が計上されるタイミングは、受注時ではなく、出荷時や検収時ですから、これだけでは売上の計上時期のエラーを防ぐ内部統制にはなりません。むしろ、受注記録の網羅性を確保し、売上計上の網羅性を確保するという方に役立つかもしれません。また、受注したのに商品の手配がもれているなどのミスをなくすことにも役立つかもしれませんが、それは、「業務の有効性及び効率性」を高めるための統制であり、「財務報告の信頼性」とは直接結びつきません。
日本版SOXで求められているのは、あくまで「財務報告の信頼性」を確保するための内部統制を構築し、評価し、監査することですから、財務報告との関連性が強い部分から片づけていくことをお勧めします。
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