「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会」(第1回)議事要旨
2024年12月20日に開催された金融庁の「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会」(第1回)議事要旨が公開されました。
(会議資料などは→当サイトの関連記事)
事務局説明後の議論から、一部ピックアップすると...
「株主総会の開催時期は日本の実務慣行として社会の仕組みとしてガッチリ組み込まれている。制度的には絶対にやってはいけないという制約が何もない中で、何がネックとなって進まないのかをしっかり突き詰める必要がある。」
「総会は取締役の選任が行われる場所であり、企業と投資家にとって一番大事なイベントであるべき。その際の判断資料として提出される事業報告と計算書類が、有用性という観点で十分ではない。現状、議決権行使の判断において、事業報告や計算書類以外の任意の開示媒体などで判断することも多い。このような状況の妥当性については検討が必要。」
「会社法監査の監査報告書にKAM(監査上の主要な検討事項)がないため、日本の監査が中途半端なのかとまで言う海外投資家もいる。」
「株主総会の開催時期を遅らせてまで有報を総会前に提出することの有用性について、企業側は「納得感がなく、メリットは何もない」という。制度的に可能であることを周知したとしても、余程良いことがないと実際に取組は進まない。」
「名簿管理や配当支払いのシステムについても基準日をベースに構築されているため、基準日を柔軟化する取組みが一斉に進むと、システムの大幅な再構築、人員確保・教育、体制面の組織の構築などが必要になるため、段階的な移行が必要になる。」
「制度的に支障がないのは認識しており、ファーストペンギンになりそうな会社が踏み切れば世の中が変わるかもしれないが、簡単な話ではないと認識している。」
「一体開示は非常に重要。有報を総会前に出す大前提として、監査人から保証を受ける必要があるが、その際の監査期間が十分に設けられている必要がある。会社法開示と金商法開示の重複感は、現場でも言われているところ、例えば、有報を作成することで会社法上の事業報告に代替できるということまで議論を進めても良いのではないか。」
ファーストペンギンになって、他社より優位に立てるというのなら、リスクを取ってやる会社はあるでしょうが、メリットは何もないのですから、法律上できるといってもどの会社もやらないでしょう。
取引所ルールで、総会前の一体開示を、新規上場会社から義務付ければ、30年ぐらいすれば、普及するのではないでしょうか。新規上場会社であれば、切り替え時に配当の間隔が1年(中間配当は半年)を超えてしまうという問題もありません(最初からずれているから)。役員の選任も同様です。