マイナス金利政策の影響で、金利変動リスクをヘッジするスワップ取引が機能しにくくなっているという記事。
「企業が変動型の借入金利を固定化する時に払うスワップレートの1年物は、1月29日のマイナス金利発表前には9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近辺で推移していたが、2月からマイナス圏に突入し現在マイナス5bp近辺。企業にはコスト負担が発生し、金利スワップ契約が困難になっている。」
「銀行は調達コストに応じた変動型で貸し出すことが多く、利払いを固定化したい企業は、変動で借りた金利を金利スワップでヘッジできないと利払い額が変動するリスクにさらされる。クレディ・アグリコル銀行シンジケーション部長の小田智之氏は、「金利スワップ機能がないと銀行は変動では貸せないので、固定貸しを迫られる」と話す。固定型は調達コストの変動次第で利ざやが縮小するため、「銀行は固定貸しが苦手だ」とし、現状では新規融資にちゅうちょしているとの見方を示した。」
会計処理についてもふれています。
「三井住友信託銀行の小松氏は、金利スワップ取引が減っている理由について、固定金利の融資が増えていることに加えて、「金利スワップの特例処理に対する会計処理が最終決定されていないため、スワップ取引を見送っている顧客も多いのではないか」と推察している。
企業の借り入れ時に使われる金利スワップは、会計上の「特例処理」が認められており、時価評価をする必要がなかった。一方、スワップレートがマイナスの状況では特例処理に必要な条件を満たさない可能性がある。企業会計基準委員会は、16年3月期までの金利スワップは特例処理を認めるものの、それ以降は未定としている。」
しかし、特例処理の要件緩和を継続しても、金利スワップを使った金利固定化取引そのものが減っていくのであれば、既存の契約の救済になるだけで、あまり意味はないのかもしれません。
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