会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

すてきナイス、怪情報飛び交う創業家トップ「即」辞任の波紋(DOLより)

すてきナイス、怪情報飛び交う創業家トップ「即」辞任の波紋

ナイスグループの粉飾疑惑を取り上げた記事。

創業家出身のトップが突然辞任してしまい、後任の社長は記者会見で粉飾を否定しながらも、十分な反論はできていないようです。

「「当社としては問題があったとは認識していない」――。建築資材流通大手であるすてきナイスグループ本社に5月16日、横浜地方検察庁と証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の疑いで強制調査に入った。4日後の同月20日、同社はトップ交代を発表し、社長に就任した杉田理之氏は粉飾決算疑惑を問い詰める記者たちを前に一貫してこう主張した。

一部報道によると同社は2015年3月期の有価証券報告書においてペーパーカンパニーを使って架空の不動産取引を行い、業績を水増しした疑いが持たれている。杉田社長は「関係資料が押収されて手元になく確認できない」と繰り返すばかりで、全容は未だ分かっていない。」

問題となっている決算については...

「問題視されている15年3月期では、売上高2357億円、営業利益10億円、経常利益4億円、最終利益4億円。売上高のうち建材事業が1729億円、住宅事業が545億円。営業利益は建材事業が29億円、住宅事業は3300万円にとどまっている。その他の資本や負債、キャッシュフローに特段、怪しげな点は見当たらない。

ただ、「近年は第3四半期まで赤字、通期で黒字化するパターンを繰り返していた」と複数のアナリストが指摘する。実際、15年3月期から19年3月期まで、第1、第2、第3四半期は営業利益、経常利益、純利益とも赤字で、第4四半期に多額の利益を計上することで通期の営業利益、経常利益、純利益とも黒字を確保している。捜査当局もこの点に着目しているもよう。これに対してナイス側は「住宅、特にマンションは年度末に完成してお客様に引き渡す案件が多く、どうしても計上時期が3月末に集中する。それが第3四半期までと第4四半期の差だ」と説明する。

しかし住宅開発・販売に関わる企業が皆、そのような決算かというと、首を傾げざるを得ない。...」

もしかするとゼネコンや住宅業者は3月が工期となっている工事が多いのかもしれませんが、この会社は建築資材の会社なのですから、工事の終わり頃に売上が集中するというのはないようにも思われます。不動産取引ならなおさら第4四半期に集中するというのは異常でしょう。

いずれにしても、監査人は期間内の売上推移を見ているはずですから、原因もわかっていないといけないでしょう。

それにしても、虚偽記載事件では、普通は監視委がまず任意で調べて、過年度訂正が必要であれば、訂正させた上で、その後会社や役員、監査人などの責任を問うという順番ですが、この会社はいきなり強制捜査をやったということは、何か事情があるのでしょうか。そのあたりの説明を当局はやるべきでしょう。

「関係資料が押収されて手元になく確認できない」状況では、会計監査もストップしてしまいます。会社に自ら調べさせる余裕を与えた東芝のケースとは、だいぶ違うようです。
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