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WHに破産法適用、3000億円弱の損失と東芝試算=関係筋(ロイターより)

WHに破産法適用、3000億円弱の損失と東芝試算=関係筋

東芝が米国の原子力事業子会社、ウエスチングハウス(WH)に破産法を適用した場合の影響を検討しているという記事。かなりの追加損失が出るそうです。

「東芝は2月中旬、WHに外部の専門家を含めた調査チームを派遣し、資産査定を実施。破産法適用による収益への影響を精査している。破産法適用でWHが連結対象から外れることにより、一定の利益計上が見込まれるプラス面がある一方、支払い保証などによるコスト発生などのマイナス面もあり、東芝に対する影響額は差し引き3000億円弱の損失と試算した。

東芝はWHに対して8000億円の債務保証を行っているが、今回の影響額調査では、将来の損害賠償請求などは含まれておらず、実際の損失額はさらに拡大する恐れも残っている。」

「8000億円の債務保証」というのは、2月14日の第3四半期決算見込み発表の際に説明された金額です。2016年3月期の有報では、連結ではなく単独決算の方の注記に出てきます。


(東芝2016年3月期有報より)

ちょっと気になるのが、有報では、社債や借入「等」に対する保証だと記載している点です。子会社の社債や借入に対する保証であれば、一般的な取引であり、連結では保証の対象である社債や借入が負債として計上済みのはずですので、普通は問題にはなりません。しかし、2月14日の会社説明のような、客先に対する支払い保証(工事履行保証的なもの?)であれば、社債や借入への保証とはまったく違う性質のものです。注記の記載として著しく不適切であるように思われます。「等」の中に入っているという言い訳は通用しないでしょう。

同じ有報の「事業等のリスク」では、以下のように履行保証についてふれていますが、金額は示されておらず、注記の代用には当然なりません。

「当社は、当社子会社がプラント等の物件を受注する際に、取引先の求めに応じて契約履行保証等の親会社保証を供与することがあります。この親会社保証は、商習慣から経常的に行われているものですが、当社子会社が契約上の義務を履行できない場合には、当社に損失が発生する可能性があります。」

それにしても、破産法適用を検討しているといった微妙な情報は、普通、外部には漏らさないようにするはずですが、情報管理はどうなっているのでしょう。

当サイトの関連記事(2月14日の決算見込み発表について)
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