都道府県の外郭団体「林業公社」が廃止されたときに、森林の時価評価と簿価の差額で多額の損失が生じていたという記事。記事の中でもいっているように、まだ廃止されていない公社でも大きな含み損があるのでしょう。
「借金で木を育て、売った収益で返済する。そんな青写真で事業を続けてきた都道府県の外郭団体「林業公社」の廃止が近年相次いでいる。これまで公社を抱えていた39都道府県に朝日新聞がアンケートしたところ14府県が公社を廃止し、うち11県が森林資産の実際の価値を回答。計2200億円の債務に対し、時価評価額は100億円弱だった。差額の多くは税金での穴埋めになる。」
公社の仕組みと会計処理は...
「借金で民有地に木を育てた後、伐採して土地のオーナーと収益を山分けし、借金を返すのが主な仕組みだが、木材価格が下がり、売れても利益が出にくい実態がある。
ただ各公社は業界団体の会計基準にのっとり、森林の価値は帳簿上、「育てるのにかけた費用と同じ価値がある」とみなしている。木を育てる経費や借金などの債務が膨らんでも、同時に森林資産の価値もその分、上乗せできる仕組みだ。実態は損失が増えても表面化しないため、対応の先送りにつながりやすい。」
「(公社を廃止し、時価を回答した)これらの公社は、債務を上回る2407億円の森林資産があるとしていたが、実際の評価額は99億円余で、4%程度の価値しかなかった。」
まだ廃止していない公社の状況は...
「公社を存続中と回答したのは兵庫や島根など25都道県で、16年度の債務総額は8437億円に達している。現行の会計ルールでは、計30万ヘクタール超の森林の価値は帳簿上、「9千億円超」あることになっている。」
9千億円が、もし4%の価値しかなければ、約8600億円の含み損ということになります。存続しているということは、廃止した公社よりはましなのかもしれませんが。
採算が取れる事業でないことは明らかであり、記事末尾で学者がコメントしているように、早く損失を確定して、国土保全のために必要なら、持続可能な別の制度を考えるべきなのでしょう。
木を売ると損失が表に 悩む県「お金が消えるのと同じ」(朝日)(記事冒頭のみ)
支払利息も簿価に上乗せしているようです。
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