会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米石油輸送大手が破産法申請 原油高騰で損失回避策が裏目に

米石油輸送大手が破産法申請 原油高騰で損失回避策が裏目に

米石油保管・輸送大手のセムグループが、米連邦破産裁判所に連邦破産法11条の適用を申請したという記事。

「同社は原油タンクや送油管を保有し、石油大手から仕入れた原油を製油所に販売する。在庫を売却するまでの間に原油価格が下がると損失が発生するため、それを避けるため原油先物やオプションを使いつなぎ売りを実施していた。

 ニューヨーク・マーカンタイル取引所での先物売却で被った損失は24億ドル(約2500億円)を超える見込み。先物の相対取引も使っており、損失がさらに増える可能性がある。金融機関から追加担保の差し入れを求められ、資金繰りに行き詰まった。」

記事を読む限りでは有効なヘッジになっていて、リスクはないようにも思えるのですが・・・。ただ、先物取引のポジションだけを見れば、大幅な損失になっており、追加担保の差し入れが必要となると、ヘッジ対象である原油在庫の方はすぐに現金化するわけにもいかないので、たしかに資金繰りがつかなくなるおそれはあります。

SemGroup Files for Bankruptcy

「The company was forced to curtail its futures trading operations two weeks ago because of a lack of funds and because physical oil dealers were unwilling to work with the company, participants in both markets say.」

「資金不足と現物の原油ディーラーの協力が得られなかったという理由のため、会社は2週間前に先物取引を縮小せざるを得なくなった。」

「SemGroup was done in by volatility in the crude and credit markets that transformed a routine oil price hedging strategy into a lethal liability. 」

「原油市場と信用市場のボラティリティが原油価格に対する通常のヘッジ取引を致命的な債務に変えてしまった。」

ヘッジ取引が本当にヘッジになっているかどうかは、ヘッジ取引を維持できるだけの財務的能力があるかどうかも見なければならないということなのでしょう。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事