会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

営業利益1兆円は確実でも ソフトバンクを悩ます内憂外患(ダイヤモンド・オンラインより)

営業利益1兆円は確実でも
ソフトバンクを悩ます内憂外患


ソフトバンクの決算を取り上げた記事。昨年買収したスプリントについてふれています。

「肝心の本業も予断を許さない。特に、昨年買収した米国第3位の通信事業者スプリントの業績が芳しくないのだ。

スプリントは、ソフトバンクの買収直後から格安プランを出したり、学割的なサービスを実施したりしているが、すぐに大手に追随されたり、サービスが浸透しなかったりと、いかにも苦しい。

通信事業者の成長を見る上で重要な、毎月料金を支払う契約数の推移は、解約数が新規契約数を上回り、「独り負け」の様相を呈している。

第4位のTモバイルUSのほうが国際ローミングの一部無料化や、契約期間の縛りをかけないサービスなど、日本のソフトバンク的な「捨て身の作戦」で顧客を増やしている。スプリントのお株を奪っているのだ。

ソフトバンクは、スプリントの償却前の利益をベースに「反転した」と言うものの、そう判断するのは時期尚早。次世代高速通信LTEサービスの展開が、明らかに遅れているためだ。」

「・・・まさに内憂外患を抱えるソフトバンクだが、最大のアキレス腱は有利子負債の多さだ。

大手通信事業関係者は「金融機関は、時価総額と有利子負債との割合を見ている」と話す。ソフトバンクの有利子負債は、時価総額とほぼ同水準で、世界の通信事業者で見ても下位クラス。それでなくてもソフトバンクの格付けはすでにジャンク債扱いだ。Tモバイル買収となればさらに負債が膨らんでしまう。」

そこで、同社の第3四半期(2013年4-12月)の貸借対照表(会計基準はIFRS)をEDINETでみてみると、有利子負債は9兆2200億円となっています(BS上「有利子負債」という科目名であり計算しやすい)。純資産は2兆9千億円(しかもそのうち非支配持分が約9千億円)しかないのでたしかに大きな金額です。

資産側をみてみると、注目されるのれんは約1兆5千億円(2013年3月は約9千億円)であり、営業利益が1兆円も出るのであれば、それほど大きな金額ではないのかもしれません(IFRSなので償却もなし)。しかし、のれん以外の無形資産が約6兆2千億円(2013年3月は約5千億円)と急増しているのが気になるところです。

ソフトバンクの監査人は、のれんや無形資産の減損について神経をすり減らし続けるのでしょう。
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