東京商工リサーチによると、2016年3月期決算を発表した上場企業2,447社のうち、「継続企業の前提に関する注記」が付いた企業は24社だったそうです。注記にまで至らない「継続企業に関する重要事象」の記載は43社です。
「GC注記企業は24社で、2015年9月期中間決算(22社)から2社増加した。前中間期のGC注記企業のうち16社が引き続き注記が付き、(株)省電舎(東証2部、東京都港区)、東洋刃物(株)(東証2部、宮城県富谷町)、(株)TBグループ(東証2部、文京区)、パルステック工業(株)(東証2部、浜松市北区)、朝日工業(株)(JASDAQ、豊島区)の5社の注記が外れた(このうち東洋刃物、TBグループの2社は重要事象が記載されている)。
前中間期にはなかったが、新たにGC注記が付いたのは8社。このうち(株)郷鉄工所(東証2部、岐阜県垂井町)をのぞく7社は、前中間期では「重要事象の記載」にとどまっていたが本決算ではGC注記が付いた。また、前中間期にGC注記が付いていた(株)やまねメディカル(JASDAQ、東京都中央区)は6月6日現在、会計処理の変更に伴う膨大な作業の発生を理由に決算発表が遅延中で、開示は6月初旬を目標としている。」
細かいことをいえば、「監査法人から」注記が付いたといっているのは、ちょっと変です。決算短信(監査報告書は添付されていない)しか調べていないのに、監査人が監査報告書で継続企業の前提についてふれているかどうかはわからないはずです。監査人が監査報告書で記載する予定だということはいえますが。
末尾で、決算短信におけるGC注記などの扱いに関する動向についてふれています。
「こうしたなか今年4月、金融庁の諮問機関、金融審議会のディスクロージャー作業部会が決算短信開示の簡略化を推進する報告書を提出した。今後の動向は流動的だが、決算短信におけるGC注記・重要事象等の記載方法が大幅に変わる可能性もある。即時性と正確性という情報開示のあり方が問われるなか、GC注記・重要事象の記載企業に注目が集まっている。」
タカタ、リコールで特損442億円 16年3月期130億円の赤字(sankeibiz)
「2年連続の赤字決算となったタカタは、決算短信に「継続企業の前提に重要な疑義」があるとする注記を記載した。」
GC注記が消えた企業では...
省電舎が続伸 前期、今期黒字予想で「継続企業注記」を削除(朝日)
東京商工リサーチの記事の中でふれているやまねメディカルについては...
平成28年3月期決算短信の発表の延期に関するお知らせ(やまねメディカル)(PDFファイル)
「今般、現監査法人から当社の現時点の収益・財務状況の変化を理由として、平成 28 年3月期の期末決算において、当該リース契約(オペレーティング・リースとして処理してきた総合ケアセンター拠点の物件のリース)をファイナンス・リースと認識して、オン・バランス化とそれに伴う減損の要否を算定して計上するよう、急遽求められました。」
ということで、リース取引について、監査法人ともめていたようです。
不動産のリース(賃貸借)であれば、オペレーティング・リース扱いが多いと思われますが、特殊な仕様だったりすると、ファイナンス・リースにするのかもしれません。
オペレーティング・リースであれば減損はないのかといえば、理屈からするとそんなことはありません。リース料をまかなえないような稼ぎの悪い物件であれば、引当金を計上すべきでしょう。ただし、会計基準上、明文の規定はないと思われます。
2016年定時株主総会招集通知(やまねメディカル)(PDFファイル)
株主総会は継続会で乗り切る予定のようです。
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