オリンパスの監査人を厳しく批判した日経の社説。
「オリンパスは01年3月期から導入された時価会計制度で損失が表面化するのを逃れる目的で、ケイマン諸島のファンドなどに損失を移した。これに伴い同社本体の資産を水増しする必要が生じたため、実態の乏しい銀行預金や債券、ファンドへの出資を貸借対照表に計上していた。
預金など単純な金融商品の不正計上さえ監査で見抜けなかったのは、実にお粗末だ。金融機関の残高証明書が巧妙に偽造されたといった事情でもなければ、手抜きがあったと批判されても仕方ないのではないか。
オリンパスは企業買収に絡んで高額の手数料をひねり出し、ファンドに移した含み損の処理に充当した。あずさは09年3月期決算にこれを問題視したものの、最終的に決算を承認したという。どんな説明を会社側から受け、財務諸表は適正だと判断したのか。さらには翌期から監査を担当した新日本は、一連の買収を不自然とは考えなかったのだろうか。
そうした点に関する説明責任が、2監査法人にはある。」
ここまで書かれた以上、関係する監査法人には反論してほしいと思います。守秘義務(公認会計士法27条)の問題はありますが、正当な理由があれば違反にはならないわけですから、会社の了解を取るなどして守秘義務を解消し、どのような監査を行ってきたのか、外部にも明らかにする必要があります。
また、守秘義務に抵触しない範囲で監査法人の見解を述べることは可能でしょう。現状では、過去の監査を再点検するなど、監査法人として独自の調査をしているのかすらはっきりしていません。
社説では、監査人の選任についてもふれています。
「監査の独立性を高めるため、監査法人を選任する権利を取締役会以外の組織に与えるなど、早急に議論すべきことは多い。」
オリンパスの場合は、粉飾3人組のひとりが常勤監査役でした。監査人選任における監査役の権限が強化されていたとしても、この会社では無意味だったでしょう。
政治主導の救済騒動に隠れるオリンパスの債務超過リスク(週刊ダイヤモンド)
「・・・オリンパス自身の問題が片づいても、次のターゲットは監査法人へと移る。
今回、オリンパスの粉飾を受けて、早速政界からは「なぜ監査法人は見抜けなかったのか」という批判の声が上がっている。なかには「そんな監査法人はつぶれてしまえ」という過激な発言まで飛び出しているのだ。」
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