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「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」

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日本公認会計士協会は、監査・保証実務委員会報告「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の公開草案を、2007年3月8日に公表しました。

償却可能限度額及び残存価額の廃止など平成19年度税制改正で行われる減価償却制度の抜本的な見直しに対応する指針です。

この公開草案では、まず減価償却の基本的な考え方と平成19年度税制改正における減価償却制度の見直しが説明されています。

そして「4.減価償却方法の選択と監査上の取扱い」で、2007年4月1日以降の新規取得資産と既存資産に分けて、以下のように取扱いを定めています。

(1)新規取得資産

・従来の定率法から新定率法(税制改正で導入された250%定率法)、従来の定額法から新定額法への変更の場合は、法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱う。

・従来の定率法や定額法を継続することも認められる。(しかし、今年変更しないで来年以降変更しようとすると「法令等の改正に伴う変更に準じた・・・」とはいえないので、変更が難しくなるということも考慮する必要があるでしょう。)

(2)既存資産

・従来の方法から償却方法を変更しようとする場合には、変更理由の合理性に留意する必要がある。

・残存簿価(従来は取得原価の5%)は従来と変わらないことを原則とするが、5年間均等償却も監査上妥当なものとして取り扱う。

・残存価額の一括償却は、合理的な理由がなければ容認されない。

適用時期は、2007年4月1日以後終了する事業年度からです。税務が会計期間ではなく4月1日以後取得かどうかで区切っているので、こうするしかないのでしょう。

既存資産の残存簿価の扱いについては、2007年4月1日以後開始事業年度から適用ですが、それ以前であっても残存価額の一括償却は合理的な理由がなければできません。

実務上はやむを得ないのだとは思いますが、この公開草案では、償却方法という会計方針の問題と、残存価額や耐用年数(償却期間)という見積りの問題とが、一緒になっている点が気になります。従来の定率法から新定率法への変更は、償却方法の変更といえますが(ただし軽微な変更)、残存価額をゼロにする(それにともなって償却期間も短くなる)というのは、会計方針の変更ではなく見積りの見直しだと思います。

ただし、見積りの見直しだとすると、3月決算以外の場合、同じ決算期なのに今年3月までの取得資産と4月以降の取得資産とで、残存価額の見積りが変わってしまうという理屈のつかない事態になってしまいます。

突き詰めて考えると非常に難しいところです。

残存価額の一括償却が認められないという点については、すでに一括償却してしまった会社があるようです。
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