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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、会計基準を変更か 監査法人交代、決算遅延も(東京新聞より)

東芝、会計基準を変更か 監査法人交代、決算遅延も(共同通信配信)

東芝が会計基準を米国基準から日本基準に変更することを検討しているという記事。

「作業量が膨大な米国基準をやめて準大手クラス以下の監査法人と契約できるようにする。2017年3月期決算に「適正意見」をもらう狙いがあるとみられるが、その場合、決算発表が大幅に遅れ、夏ごろになる恐れもある。」

オピニオン・ショッピングの上をいく会計基準ショッピングをやるようです。日本基準が甘く見られているのでは。

「作業量が膨大」だからというより、米国基準は、大手監査法人以外、監査ができるぐらい基準に精通した人材がほとんどいないため、準大手クラスに監査人を交代するためには、日本基準に変えざるを得ないのでしょう。

2017年3月期本決算から監査人を代えるとなれば、期中の監査人交代となります。準大手でも躊躇すると思われますが、現監査人のあらたから、期末も含めて監査手続の結果を引き継ぐことができれば、不可能ではないでしょう。

会計基準の中身については、今問題になっている米原子力事業(特に建設会社買収関連)に関して、具体的にどのような点が日米基準の差異になるのかは、よくわかりません。原子力事業ののれんは、第3四半期で全額減損しているので、償却の要否で大きな差異は出ないでしょう。買収価格配分の処理も、大きな差異はないように思われます。(米国基準に詳しい人に聞いてみないと...)

しかし、海外基準から変更して日本基準を初度適用する場合のルールは特に定められていないので、移行時処理のどさくさに紛れて何かやるのかもしれません。そのほか、引当金の基準が日本の方が微妙に緩い点も、影響があるかもしれません(例えば、LNGの長期購入契約など)。

会計基準と監査人を変えれば、無限定にできるのかという点については、疑問です。あらたが不表明の報告書を出したのは、日本の監査(四半期レビュー)基準に準拠した十分な証拠が得られなかったためです。会計基準を変えたからといって、監査基準まで緩くなるわけではありません。

それにしても、財務局は、会計基準を変えるために有報提出が遅れるというのを、正当な延期理由として認めるつもりなのでしょうか。そんなことを認めたら、世界の恥でしょう。(米国会計基準は例外的に容認されているものなので、本則である日本基準への変更自体を否定する理屈はないのですが、期の途中で変えるのはおかしいでしょう。)

ただし、NECが2006年に米国基準から日本基準に変更した例があるので、前例がないわけではありません。しかし、NECの場合は、中間決算からの変更であり、また、報告書の提出期限を延期したわけでもなかったようです。

当サイトの関連記事(NECの会計基準変更について)

(米国基準だろうが、日本基準だろうが、東芝はTGAAPだから関係ないという説もありそうです。)
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