東芝の経営陣が、臨時株主総会で、「不正会計」という言葉を初めて使ったという記事。
「総会は2時間52分にわたって開かれたが、綱川社長は会社側の説明のなかで「不正会計については、経理部門によるけん制強化や業務プロセス改革を進めると同時に、開示体制も強化している」と、さらりと1度だけこの言葉を使った。淡々と資料を読む形だった。
さらに、株主から「なぜ不祥事を防げなかったのか」と質問され答弁に立った桜井直哉・執行役上席常務が「東芝は先進的なガバナンスの会社と見なされてはいたが、不正会計の問題の大きな原因の一つに、ガバナンスの不全があった」などと2度、この言葉を使った。桜井氏は、しっかりとアクセントをつけて「不正会計」と言った。使えなかった言葉を、ようやく使えるようになったと言わんばかりだった。これ以外に社外取締役が1度、この言葉を使った。」
マスコミの用語の使い方にもふれていますが、読売新聞はまだ「不適切会計」といっているそうです。
「読売新聞は「不適切会計」という表現をほぼ一貫して使ってきた。東芝臨時株主総会の模様を報じた10月25日朝刊でも、いまだに「不適切会計」という言葉を使った。東芝はようやく「不正会計」に改めたが、読売新聞は今後、どうするのだろうか。」
記事を読んで気になるのが、東芝の会計問題が過去の解決済みの問題であるかのように書いていることです(会社やマスコミが「不正会計」といっているのは会社が訂正報告書を出した年度の決算が対象)。東芝の会計監査人であるあらた監査法人は、2017年3月期の監査報告書の中で、2016年3月期の決算は粉飾決算だったと明確に述べているのですから、本当にそうなのか、調べがつくまでは解決したとはいえません。逆に東芝の主張のとおり、2016年3月期も2017年3月期も正しい決算だった、あらたの監査意見は間違っているということであれば、あらたはとんでもないオオカミ少年的監査人だったということになるので、それはそれで調べる必要があります。もちろん、監査の限界というものがあるので、仮に監査意見が間違っていたとしても、監査人が必ず責任を負わなければならないということはありませんが、調べないことには、限界なのか、監査ミスなのかはわかりません。
上場廃止問題との絡みはなくなったので、純粋に会計問題・監査問題として、じっくり調査するのがよいと思います。それによって、新たな「不正会計」だったのか、監査が間違っていたという「監査不祥事」だったのかがはっきりします。
東芝、「真摯な認識欠けた歴代社長」と猛然と批判開始…「暴走と歪んだ経営方針」(Business Journal)
その他、東芝関連記事。
東芝、メモリ事業売却を自ら阻止か…売却「決定」の欺瞞、危機解決されず追加巨額損失も(Business Journal)
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
「殺すぞ」恐喝も…東大院教授、高額接待強要か 一晩で100万円 大学側の対応は?(テレビ朝日より)
3億9000万円横領疑い 沼津の菓子製造会社経理の男逮捕 投資詐欺につぎ込み困窮か(静岡新聞より)
顧客名義の口座を無断で偽造、架空融資 不良債権隠しか いわき信組(朝日より)

過年度有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ(「社内調査委員会による調査結果を踏まえ、過年度の決算を訂正」)(サイバーエージェント)
死亡の弁護士、預かり金1.1億円が使途不明 「競馬や競輪に」文書(朝日より)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ(「過年度より退職給付に係る負債等を過少に計上」)(綜合警備保障)
最近の記事
書籍紹介、広告(アマゾン、楽天トラベル、楽天ブックスほか)
デロイト トーマツ グループ、3法人の合併に関する基本合意書の締結を発表(デロイト トーマツ グループ)
監査人交代事例8件(アスカ3件(「登録の拒否」処分)、ナカチ(更新辞退)、あずさ2件、トーマツ、太陽の退任)(2025年5月23日)
「信用金庫等の会計監査人に対する品質管理レビュー制度上のモニタリングの在り方等の見直しに関する品質管理委員会運営細則の一部変更要綱」の公表(日本公認会計士協会)

THE WHY HOW DO COMPANY(株)における有価証券報告書等の虚偽記載審判事件の第1回審判手続期日開催について(金融庁)~ソフトウェアの資産計上が論点か~
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事
【コロナ禍で最大の飲食店倒産】お好み焼き店「いっきゅうさん」など80店超を経営していた「ダイナミクス」(東京)が、負債100億円超を抱えて破産開始決定受ける(Yahooより)

監査人交代事例9件(トーマツ(2件)、あずさ(継続辞退)、PwC、太陽、ゼロス(上場会社等監査人登録未完了)など退任)(2025年5月22日)
社員がインサイダー取引に関与した疑いでIRJを強制捜査…証券取引等監視委員会(読売より)
