2020年度の監査における新型コロナに関わる4つのリスク（JofAより）

4 key COVID-19 audit risks for 2020 year ends

（米国監査基準での話ですが）2020年度監査における新型コロナ関連の4つのリスクを解説した記事。

日本は3月決算会社が多いので、すでに検討済みの事項もあるでしょう。また、非上場の中小企業の監査も念頭に置いているようです。

WHOが新型コロナについて公衆衛生上の緊急事態を宣言したのが今年の1月30日であり、現在監査の対象となっている年度は、多くの企業で、新型コロナの影響を受けることになります。そうした監査クライアントの監査には特有の課題があり、いくつかの分野で、重要な虚偽表示のリスクが高まっています。この解説では、監査人が検討すべき4つのリスクを取り上げています。

Many auditors have begun to turn their sights to their next group of audits: clients with 2020 fiscal year ends. The World Health Organization declared a public health emergency on Jan. 30, 2020, meaning many of these clients will have been affected by the COVID-19 pandemic during the period under audit.

Auditing these clients will carry unique challenges, and certain areas may present heightened risks of material misstatement for the audit. Here are four such areas for auditors to consider as they prepare for their next audits of commercial entities.

以下の4つです。

・内部統制　INTERNAL CONTROL

リモート勤務への移行や、財務報告プロセスが対面からバーチャルなものに変わったことで、内部統制崩壊のリスクが高まっています。監査人は内部統制のデザインと適用を評価しなければなりませんが、期中で内部統制が大きく変更した場合には、変更前と後の両方を評価しなければなりません。ただ、監査に関係する内部統制の決定には、プロフェッショナル・ジャッジメントを行使すべきとのことです。やみくもに、多くの統制を選ぶのではなく、ポイントを絞れということなのでしょう。

評価結果（例えばある統制には依拠できないという結論）によっては、実証テストの種類、タイミング、範囲を見直さなければならない場合もあります。

・不正リスク　FRAUD RISK

新型コロナは、まさに、不正リスクの「パーフェクト･ストーム（破滅的事態）」なのだそうです。不正のインセンティブ、機会、正当化について説明しています。

COVID-19 presents a veritable "perfect storm" for fraud risk, and auditors should be on high alert.

・違法行為　NONCOMPLIANCE WITH LAWS AND REGULATIONS

中小企業に対する政府の支援策の悪用や、制度の複雑さによるうかつなミスのリスクが高まっています。（日本で会計士・監査法人が監査しているような会社では、あまりないと信じたいところですが）

・会計上の見積りの監査　AUDITING ACCOUNTING ESTIMATES

収益認識、貸倒引当金、のれん・無形資産の減損などについてふれています。

従来は、実績数値を検討することなどによって、経営者の見積もりを評価することができたかもしれませんが、2020年度は専門家を利用することが必要となる場合もあるでしょう。

Ultimately, while auditors may have been able to evaluate management's estimates in prior years by considering historical results or other measures, audits of clients with 2020 year ends may require the use of valuation specialists.