会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

特別損失の計上に関するお知らせ(ひらまつ)

特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

ひらまつ(東証1部)のプレスリリース。

2021 年3月期第3四半期において、多額の過年度決算訂正関連費用(特別損失)を計上したとのことです。

「...当第3四半期におきまして、外部調査委員会による調査費用及び過年度決算訂正に係る監査費用等が発生したことにより、過年度決算訂正関連費用(特別損失)5億 05 百万円を計上するものであります。」

不正経理は高くつくということでしょうか。それにしても、5億円は大きな金額です。

以下、同社の関連する開示より。

1.四半期報告書-第39期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

四半期報告書(3月5日提出)(PDFファイル)

継続企業の前提の注記がついています。監査人は新日本。

2.創業者との訴訟の和解について(3月2日)

和解による訴訟の解決に関するお知らせ (PDFファイル)

四半期報告書では後発事象として注記されています。

3.過年度訂正に関する開示(1月12日)

2021年3月期第2四半期報告書の提出、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

「当社は、当社の創業者である元代表取締役社長が設立し運営する株式会社ひらまつ総合研究所(以下「ひらまつ総研」といいます。)等との間の取引に関し、外部調査委員会に委嘱し調査を行って参りました(以下「本件調査」といいます。)。その結果、2つの店舗の譲渡(以下「本件譲渡」といいます。)に関連して、ひらまつ総研との間で取締役会の承認なく2つの業務委託契約(以下「本件業務委託契約」といいます。)を締結しており、本件業務委託契約には、ひらまつ総研に業務委託報酬の名目で本件譲渡の対価の支払原資を供与して資金を還流させる目的があり、また、本件譲渡の代金を将来的に条件付きで 280 百万円減額する旨の覚書(以下「本件覚書」といいます。)を取締役会の承認なく締結していたことが判明しました。また、本件業務委託契約及び本件覚書を当社の会計監査人に秘匿して財務諸表を作成していたことも判明しました。この他、調査の過程で業務委託報酬(以下「本件業務委託報酬」といいます。)等に関する会計処理の誤謬が判明しました。

当社は、上記の資金還流目的や当時の経営者が本件業務委託契約及び本件覚書の存在を会計監査人に秘匿して財務諸表を作成した経緯等に照らして、経営者による不正な財務報告があったと認識しております。当社としては、本件調査の結果も踏まえ、本件譲渡は対価性の観点から実質のない譲渡であり、会計上正当な売却取引があったとは認められないことから、本件譲渡を売却取引として会計処理するのは適切ではないと判断し、当社の固定資産として貸借対照表に計上したうえで必要に応じて減損処理を行うことといたしました。

また、会計監査人から固定資産の減損の兆候判定において使用する各店舗の損益の算定にあたって実施されている店舗間の費用の振替に関する質問を受けて社内調査を実施した結果、店舗において人件費の不正な振替が行われており、店舗に係る固定資産の減損を回避していることが判明しました。そのため、当該店舗の固定資産の減損損失の計上とその後の減価償却費の計上等の一連の会計処理を訂正することといたしました。」

純資産ベースで、△409,566千円(2020年3月期)の影響となっています(増減率△5.40%)。

創業者側からは、問題の業務委託報酬などを支払えという訴訟が起こされましたが、2の開示のように、それが和解により解決し、創業者側との債権債務が確定したので、過年度決算や当四半期決算を安心して組めたのでしょう。

重要な契約書を監査人に隠していたというのは、悪質です。

4.調査報告書(2020年12月)

外部調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ(PDFファイル)

約60ページのものです。調査にはデロイトトーマツが関与しているそうです。特別損失5億円の内訳としては、この費用が大きかったのでしょう。
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