2021年12月1日に開催された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第4回)の議事録が公開されています。
会議資料によると、この回は、コーポレートガバナンスに関する開示を議論したようです。
具体的には、「取締役会、指名委員会・報酬委員会等の活動状況」、「監査に対する信頼性確保」、「政策保有株式等」などに関する開示を、事務局提案の項目にしたがって、議論しています。
議事録をざっとみたところでは、委員の間で意見が分かれるような大きな論点はなさそうですが、「監査上の主要な検討事項(KAM)についての監査役等の検討の説明」の開示を促すという点については、多くの委員が賛成ではあるものの、会計士協会役員であるオブザーバーから、消極的な意見があったようです。
まず賛成意見のひとつから。
「2つ目の監査に対する信頼の確保ですが、御提案のように、監査役会等の活動の開示の拡大に賛同いたします。特に最初のポイントのKAMへの検討の説明というのは重要と考えております。投資家として確認する必要があるのは、監査報告書のKAMだけではなくて、それを受けて、企業の側にいる監査役会がそのKAMについてどう判断し、対処したかということになりますが、現状では、KAMに関する検討結果の開示がないというケースが多くて、監査役会の実効性を判断できる開示になっていないと考えるからです。」(井口委員)
会計士協会役員の意見は...
「KAM自体は、監査基準に従って我々が選定して考え方も出しているものですので、それに対して監査役会の検討を書いていただいて、投資家や財務諸表、有価証券報告書の利用者の方が、何かが分かるという情報になるのかというのは、私は少し懐疑的でございます。」(小倉オブザーバー)
KAMは、会計監査人側が、自分たちの行ったリスク評価と監査手続に基づいて、独立監査人として監査報告書に書くものであり、会社側の機関である監査役等が検討すべきものではないでしょう。もちろん、KAMについてコミュニケーションするなかで、会計監査人と監査役等のそれぞれが、役立つ情報を得て、それぞれの監査に活用することはありうるのでしょうが、それは、監査役等がKAMを検討するというのとはちがうでしょう。
第5回が1月19日に行われるそうです。
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