会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

英監査改革は「質」高めるか(日経より)

英監査改革は「質」高めるか(記事冒頭のみ)

英国の監査制度改革を取り上げた解説記事。

どちらかというと批判的なようです。

「改革への圧力は高いが、肝心なのは政治主導で事態が改善するかだろう。

たとえば英競争当局が4月にまとめた業界改革の報告書で求めた上場主要350社に対する2法人以上の共同監査の義務付け案。2社が監査しても不正発見の確率が大きく高まる保証はなく、監査の質の向上にどれほど効力を発揮するかは未知数だ。ディンジマンズ氏は任命に先駆けた議会の公聴会で「個人的には現時点で共同監査が解なのか確信が持てない」と吐露した。企業側からは複数の監査を受け入れる金銭的、物理的な負担に懸念も漏れる。」

「ビッグ4に監査とコンサルティングなどの業務を組織上分離させ、監査部門は監査に集中させるのも改革案の柱で、政府は提言を基に法制化をめざす。だが、分離論にも「複雑な監査に必要なスキルの利用が制約されかねない」(英産業連盟)と否定的な声が出ている。ちなみに日本ではすでに規制で監査とコンサルは別法人で展開されている。」

共同監査は、それ自体で監査品質を高めるというよりは、ビッグ4以外の準大手クラスの事務所を、大企業の監査に加わらせ、それによって力をつけさせ、監査市場(特に上場大企業向けの市場)の競争を促進しようというねらいもあるのでしょう。

日本では、むしろ、時価総額が大きく、海外展開もしているような大企業はビッグ4事務所にやらせて、それ以外は準大手以下の事務所でもよいという方向を、当局は考えているのではないでしょうか。

非監査業務(税務以外)については、日本でも監査法人がやってはいけないというルールではありません。あらたのように、非監査業務の割合が高い事務所もあります。別法人にしているのは、監査法人やその子会社でやると独立性ルールが厳しいことや(監査法人と支配関係がなければネットワークファームとしての規制のみ)、監査法人(子会社含む)でなければ金融庁の監督対象外であることや、業務内容による人事や給与体系の違いなどが理由でしょう。

ちなみに、監査制度改革の項目としては、日経記事でふれていない監査事務所強制ローテーションもあり、EU諸国ではすでに導入済みです。共同監査と強制ローテーションのどちらかを選べという話になれば、強制ローテーションの方がまだましという意見が多いでしょう。

日経記事の中でふれている英FRCによる監査事務所検査の結果について。

当サイトの関連記事
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事