会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出...に関するお知らせ(kubell)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信の訂正並びに過年度決算における特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

kubell(旧社名Chatwork)(東証グロース)のプレスリリース(2024年8月14日)。

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局へ提出したとのことです。5月にも2023年12月期の訂正を発表していますが、同じM&A取引関連であらたな要訂正事項がみつかったようです。

訂正の対象は 2021年12月期から2023年12月期までの有報などです。

背景として、新年度からのトーマツから新日本への監査人交代(→当サイトの関連記事)があります。

まず、新日本の第1四半期レビューでの指摘により、1回目の訂正を行っています(→当サイトの関連記事)。

「当社は、2023年12月期決算につきまして、有限責任監査法人トーマツによる財務諸表監査及び内部統制監査により適正意見を得て、2024年3月28日に有価証券報告書を提出いたしました。

また、当社は、2024年2月21日付「公認会計士等の異動に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、2024年12月期決算より新たにEY新日本有限責任監査法人による財務諸表監査及び内部統制監査を受けております。

2024年12月期第1四半期の四半期レビューの過程において、EY新日本有限責任監査法人より、当社連結子会社の株式会社kubellストレージ(旧Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)の株式取得時に識別した顧客関連資産について、2023年12月期決算において減損損失を計上すべきであったのではないかとの指摘を受けました。

その後、有限責任監査法人トーマツとの確認を進める中で、訂正前の財務諸表等においては、顧客関連資産を同社の資産のグルーピングに含めずに減損損失の認識の判定を行っておりましたが、同社の固定資産の減損に係る会計基準の適用について改めて見直した結果、顧客関連資産を同社の資産のグルーピングに含めることが適切であり、且つ、同資産グループの主要な資産は、同社のビジネスの特性に鑑みてソフトウェアとすることが適切であると判断しました。その結果、減損損失の認識が識別され、減損損失の測定を行ったところ、顧客関連資産について全額減損処理する必要が生じたため、2023年12月期の財務諸表等を訂正することとしたものであります。」

今回(2回目)の訂正は、第2四半期の決算作業の過程で見つかった事項によるものです。

「当社は、2024年12月期第2四半期の決算作業の過程において、当社連結子会社の株式会社kubellストレージ(旧Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)の2021年12月期の株式取得時識別した顧客関連資産の計上額に誤りがあった可能性を認識し、当時の会計処理の精査、当時の会計監査人であった有限責任監査法人トーマツとの確認を進める中で、株式取得時の取得原価の配分手続きの過程において、顧客関連資産を過少に計上していたことを確認いたしました。

また、これに関連して、同社の固定資産の減損に係る会計基準の適用について改めて見直した結果、2021年12月期決算において、減損損失の認識が識別され、減損損失の測定を行ったところ、同社のソフトウェアおよび顧客関連資産に減損処理が必要であったことを確認いたしました。」

2021年12月期で影響額を見てみると...

すごく大きいという金額ではありませんが、重要性基準値を超えているのでしょう。また、5月に発表した訂正の関連ですから、追加の訂正だけこっそりやるわけにはいかないのでしょう。

個人的には、新日本の監査不備を後任のトーマツが躊躇なくあばく、といったパターンが多いというイメージ(あくまで個人的印象です)がありますが、今回は逆だったようです。ただ、新日本も、最初の訂正のときに、徹底的に詰めていれば、2回も訂正する必要はなかったわけですから、あまり自慢はできないでしょう。

訂正報告書もみてみましたが、トーマツの監査報告書がついています。

また、THE WHY HOW DO COMPANYの例(→当サイトの関連記事)と違って、訂正箇所は、関連する訂正を網羅するかのように有報全般にわたっています。これが普通の訂正報告書でしょう。

ちなみに、KAM(2021年12月期)の一部より。

内部統制報告書も重要不備ありに訂正です。

内部統制報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ(PDFファイル)

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