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アベノミクス「改革」の象徴になったJA全中の「監査権」廃止のゆくえ(現代ビジネスより)

アベノミクス「改革」の象徴になったJA全中の「監査権」廃止のゆくえ

政治問題化しているJA全中の監査廃止論を取り上げた記事。3つの案があるそうです。

「案の1つは公認会計士監査とJAの独自国家資格である農協監査士の監査を「選択制」にすること。地域の農協がそれぞれ決めることができるようにするというものだ。これは水面下で議論されてきたが、大きな問題がある。公認会計士の業界団体である日本公認会計士協会が、会計士監査と農協監査を「同質」のものとして認めることは難しいとしているのだ。

日本で最も難しいとされる公認会計士の試験合格者と、同じ国家資格とはいえ、農協関係者しか受験しない農協監査士を同列に扱うことは無理だというのである。

もう1つは、農協監査を、農協監査士だけでなく、公認会計士や税理士、弁護士などに開放するというもの。だが、これでは農協監査士を受ける人はおそらく激減してしまう。日本公認会計士協会も過去に「農協監査」自体を廃止すべきだとしており、この案にも乗れない。

3つ目の案はJA全中の「JA全国監査機構」を分離独立する案。同機構の監査委員長は公認会計士の組織である監査法人の元理事長が務めている。これなら会計士協会も飲めるのではないか、というわけだ。

しかし、監査と農協指導は車の両輪としてきた全中にとっては、監査権限を失うのとほとんど変わらない。JA全中が一般社団法人として残っても、独立した監査部門を指導する法的な裏付けは得られない。」

他の報道によると、3番目の監査部門独立案の方向ですが、どうなるのでしょうか。しかし、この案も、JA全中の反対のほか、報道されているような(公認会計士上の)監査法人化なのか、あるいは、特別な法律に基づく組織とするのかなど、いろいろな論点がありそうです。

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「監査」と似て非なるグレーゾーン(FACTA)(記事冒頭のみ)

(全文はこちら→「監査」と似て非なるグレーゾーン(磯山友幸のブログ))

「農協監査を一番目の敵にしそうな現職の会計士協会の幹部の歯切れは悪い。実は農協監査の総元締である全中の理事・監査委員長というポストにあずさ監査法人の理事長を務めた公認会計士の佐藤正典氏が就いているのだ。現在の森公高・会計士協会会長もあずさ出身で、佐藤氏の後輩に当たる。佐藤氏の前任の監査委員長もあずさの理事長経験者が務めており、大物会計士の指定席になっているのだ。全中からすれば会計士業界の幹部を制度の枠組みに抱き込むことで、批判をかわしているようにも見える。」

「農協監査に関係する大物会計士のひとりは、「地方の農協に財務が分かる人材はいない。全中が監査権を持って指導しなければ、日本の農協制度自体がもたない」と語る。すっかり全中の代弁者になっているのである。」

たしかに農協の経理・財務は弱そうな感じがしますが、もしそうであれば、JA全中や新たな監査組織が、経理指導サービスや内部監査業務を任意で提供すればよいように思われます。公認会計士法上の監査証明業務は会計士・監査法人の独占業務ですが、経理指導は法律上(能力さえあれば)誰でもできます。

ごあいさつ(JA全中)
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