8月25日に開催された企業会計審議会の総会・企画調整部会合同会議の模様を伝える記事。
記事によれば、審議会事務局(金融庁)から「現時点で検討が必要であると考えられる主要な項目」として以下の11項目が示されたそうです。
・わが国の会計基準・開示制度全体の在り方
・諸外国の情勢・外交方針と国際要請の分析
・経済活動に質する会計の在り方
・原則主義のもたらす影響
・規制環境(産業規制、公共調達規則)、契約環境等への影響
・非上場企業・中小企業への影響、対応の在り方
・投資家と企業とのコミュニケーション
・監査法人における対応
・任意適用の検証
・国内会計基準設定主体(ASBJ)の在り方
・国際会計基準設定主体(IASB)のガバナンス
自見大臣があいさつのなかで「会計基準に関する技術的議論に限定することなく、より広く」議論するよう求めているのに対応して、非常に幅広い論点であり、そのひとつひとうも簡単に結論が出るようなものではありません。
論点が多ければ多いほど、そして抽象的であればあるほど、クリアするのは難しくなります。結局、時間切れ、IFRS適用断念を狙っているようにも見えます。
さらに気になるのは、IFRS反対派のリーダーである三菱電機の佐藤氏の発言です。
「(中間報告が示した)連結先行の考えは国家として本質的な会計の議論を後退させた。今回の議論では、連結先行の考えをお蔵入りさせるべきと考える」
と述べており、11の論点のなかに「国内会計基準設定主体(ASBJ)の在り方」が挙げられていることを併せて考えると、ASBJが進めているコンバージェンス目的の基準改正作業(退職給付会計基準改正など)にもストップをかけたいという意向がある(金融庁もそれに同調している?)と推測されます。
(記事の末尾で佐藤氏の発言が詳しく紹介されています。「日本基準はコンバージェンスが進んでいるが、もう限界に来ている。研究開発費や、のれん、退職給付まで本当にコンバージェンスするのか。」とASBJを批判しています。)
IFRS導入賛成、IFRS導入反対だが日本基準のコンバージェンス作業は継続すべき、IFRS導入反対かつ日本基準のコンバージェンスにも反対(古き良き日本の会計に戻せ)、の3グループに大きく分類できるのかもしれません。
IFRS強制適用について11論点を提示、企業会計審議会が開催(ITpro)
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