解剖学ノート

解剖学ノートのミニコミ版

生殖系の学習

2016-06-27 20:35:34 | 医学分野

 

 

 

 


女性生殖器

 


女性生殖器は,*卵子をつくるa.卵巣,b.卵子を運ぶc.卵管,c.受精卵を育てる子宮,d.交接器であり産道ともなる膣,そしてe外生殖器で構成される。

 


卵 巣

卵巣は母指頭大(3×1.5 cm)の楕円形をした実質性器官で,子宮の*両側に位置する。*卵巣の内側は*固有卵巣索により子宮壁に,外側は卵巣提索より骨盤壁につり下げられている。卵巣は全体を腹膜が被われ,卵巣間膜は子宮の両側にある子宮広間膜の背面に続いている。卵巣の外側には**卵管采が接し、卵巣の実質は*皮質と*髄質に分かれる。髄質は中心部の柔らかい層で,卵巣間膜の付着部である卵巣門から入ってくる*血管・*リンパ管・*神経に富む中心部である。皮質は周辺の比較的緻密な結合組織の層で,種々の発達段階の**卵胞や黄体・白体が見られる。卵巣は思春期に活動を開始し,閉経期まで約28日周期でa.卵胞期・b.排卵期・c.黄体期をくり返すのが通常で卵胞期・黄体期は,短い排卵期を中において、それぞれが14日間である。

 


卵 胞

原始卵胞は最も未熟なもので1個の卵子(卵母細胞)とこれを包む単層の卵胞上皮で構成され、卵胞上皮が厚くなると**一次卵胞として、卵胞上皮が増殖し重層となったものを**二次卵胞になる。二次卵胞の卵胞上皮の間隙に卵胞液が溜まりその腔所が大きくなるにつれて卵子は周辺に寄り胞状卵胞となる。**卵丘の中では卵子は均質の厚い

 

 

 


透明帯で囲まれるようになる。また卵胞の外周は結合組織性の*卵胞膜で包皮され,**卵胞膜からは卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌される。胞状卵胞はホルモン依存性に発育し,最も発育した卵胞を1個残してその他は退縮して終わる。残った1個の卵胞は大量の卵胞液を含む成熟卵胞(グラーフ卵胞に成長し.直径2cmにも達し、卵胞は卵巣の表面を膨大させ、ついに卵胞が破裂して卵子は卵丘の一部(放線冠)に囲まれて腹腔に出る.これを排卵という。排卵は4週毎の月経周期にもとづき左右交互の卵巣から起こる。卵子はすぐに卵管采に包まれて卵管の腹腔口から卵管内に入る.

 


黄体・白体                       

排卵後の卵胞は出血して赤いが(赤体),まもなく多数の脂肪滴と黄色い色素に満たされた大型の細胞の集団となり,黄体と呼ばれる.卵子が受精して子宮内膜に着

床すれば,黄体は妊娠黄体となって持続するが,受精しない場合は,月経黄体として最大(約2cm)となった

 

 

 

 

退縮し、結合組織が増大して白体となる。黄体からは黄体ホルモンが分泌される。(プロゲステロン)

卵 管       ”

卵管は,*卵巣から排卵された**卵子を取り込み子宮に運ぶ管で,約11 cm の長さがある。卵巣に近い1/2の部分はふくらみ卵管膨大部と呼ばれ,子宮に近い1/2の部分は細く卵管峡部と呼ばれる。卵管膨大部の先端が広がる漏斗をつくり,その先端からは房(ふさ)状の多数の突起が揺らぐ様に出て、ここを**卵管采と呼ぶ。卵巣から排卵された卵子は卵管采から➡卵管に取り込まれる。*受精は卵管膨大部で起こるが,受精した卵子は卵管を運ばれているうちに*2細胞期,*4細胞期と連続して分裂し3~4日後には*桑実胚になって➡子宮に到達する。卵子の輸送は主に卵管の筋層の連動運動によって行われ,5~7日後には**胚盤胞となって子宮内膜に着床することになる

参考文献・・ステッドマン医学大辞典。解剖学ノート編集委員会蔵書 

南山堂「解剖学」骨学編・筋学編。

 医歯薬出版「解剖学」

付記

卵管采…卵管の腹腔口の膨大部を取り囲んでいる不規則な分枝状もしくは采状の突起、大部分の上皮細胞が子宮の方向へ線毛運動をしている。

卵丘…卵胞の液腔内で卵を囲む卵胞上皮細胞のこと。

胚盤胞…哺乳類の胚の変形胞胚で、内部細胞塊と胞胚腔を取り囲む薄い

    栄養芽層とからなる。※参考文献 ステッドマン医学大辞典