一期一会に戯言を

駄文により書かれる日記です、笑ってやってください。

卒業だぜ!!

2007-03-12 21:23:40 | Weblog
昨日卒業式行ってきました~。
とりあえず卒業証書貰った席に着いた瞬間穴が開くほど見たので、ドッキリってオチはないはず。
昨日はホントいい一日でしたよ。出会いあり別れありでこの4年間を締めくくるにはふさわしい日だったのではないでしょうかね。
いやいや、それにしても4年なんて早いものですな~・・・・・・。なんだか哀愁がまとわりついて離れない一日でしたよ。
特に2ヶ月近い長期休暇がなくなるのは痛いですな~。
まあなにはともあれもう学校に行かなくていいということは、部活にも行かなくていいって事で超ヒマに。
あと2週間なにしてすごそう・・・・・・。

あっ、そうそう久しぶりにショートストーリーを書いたので載せます。
感想なんか聞かせてくれるとうれしいっっす!
テーマは「春」「学校」「2人」で2000字以内で仕上がっています。


題名「俺はおまえを追いかける」

キーンコーンカーンコーン。
始業の鐘が校舎に響き渡るなか、教室から抜けてきた私は中庭にある大きな桜の木の下に座っていた。
私は勉強が嫌いで授業をサボっている不良少女、というわけではない。ただ、教室に居づらいのは確かであり、クラスの異分子という点では不良と似通っているかもしれない。
つまり、その・・・・・・今私は『いじめ』というのを現在進行形で体験中なのです。
高二の新学期が始まってからというもの、クラスの誰一人として私と話しをしてくれない、っていうか先生すらも私を無視してくる始末だ。もちろん自分の机と椅子なんてとっくになくなってしまっている。それでも、一途な期待を込めて毎日クラスに足を運んでいるのだが、状況はまったくもって好転しない。もう私が一体何したっていうのよっ、て感じなのだが、どうにも原因が思い当たらない。
まあそんな理由でクラスに居づらい私は、この状況の打開策を考えるためにこの桜の下に居るってわけだ。ここは陽射しも丁度いいし、吹き抜けていく風も心地いい。それに――
「ふぁ~あ」
私の隣から大欠伸が聞こえてくる。この眠そうに目を擦っているのは、私の幼馴染のタクミだ。タクミとは小学校からの付き合いで、いつも飄々としていて昔から何を考えているのか全然分からない。けど、決して悪い奴じゃない。私が『いじめ』にあっているのをどこかで聞きつけてきたのか、私を探しに来てくれた唯一の人間だ。
それからというもの、タクミと一日を過ごすのが私の日常となった。
タクミに勉強の方は大丈夫なのかと尋ねたことがあったが、そのときは笑ってごまかされてしまった。タクミにもなにやら悩みがあるみたいなのだが、こういう時に頼ってくれないのは幼馴染としてはちょっと寂しい。でも、いつか話してくれるよね。
そんなことを思いながら、私は今日も無い知恵を絞るのだった。

キーンコーンカーンコーン。
終業の鐘が校舎に響き渡る。いつもならここでまた明日って感じになるのだが、今日はそうならなかった。タクミが今まで見た事も無い真剣な顔で私の前に立ちはだかったからだ。
「なぁ、カスミ。最近なんか思い出した事とかない?」
私は首を傾げる。タクミの突然の行動にも驚いたが、質問の意図もさっぱりだ。
「えっと・・・・・・特にないと思うけど」
私がそう言うと、タクミは大きく息を吐いた後、その真剣な眼差しを私に向けてくる。その瞳には覚悟を決めた者特有の気迫で満ちていた。
タクミが私に詰め寄る。その迫力に押されて私は後ろに下がろうとするが、桜の木が邪魔をして下がることができない。
タクミの顔が私の顔に近づいてくる。お互いの吐息を感じられるほどの距離でタクミが呟く。
「本当はこんな強引な事はしたくないんだ。でも、今のカスミを見ているのは辛いから・・・・・・」
抵抗することはできた。でも、私はそれを受け入れなければならないと感じていた。
唇と唇が重なりあった瞬間――

私の記憶が、爆発した。

今まで封じられていた記憶の激流が、私の頭の中を暴れ狂う。
急ブレーキの音、凄い衝撃、飛び散る血、赤い赤い、すべてが真っ赤に染まり、そして意識が遠く、なにも、見え――
記憶の奔流が止まった。それでようやく、重なり合っていた唇が離されている事に気づく。私は思い出し、そして理解してしまった。何故私が、『いじめ』にあっているのかを。
タクミは悔しそうに俯いている。そんなタクミを見て、私は笑った。そうしないと、自分を保てないと分かっていたから。
「そっか、私死んじゃってたんだ。だから、みんなに話しかけても無視されてたんだ・・・・・・。ははっ、そりゃそうだよね。私幽霊だもん」
「・・・・・・」
「でも、タクミは見つけてくれたんだよね。凄く嬉しい。もう嬉しすぎて、それだけで満足しちゃった。だからもう、行くね」
私の周りを白い粒子が包み込む。
「待てよ!俺はもうおまえと離れるのは――」
私の人差し指がタクミの口を塞ぐ。
「タクミはここで生きて。すぐこっちにきたらぶっ飛ばすんだからっ」
白い粒子の密度が濃くなっていく。最後までちゃんと笑えていたか、ちょっと自信ないな・・・・・・。でも、伝えたい事は伝えられたから、ほんとに未練は無い。
バイバイ、タクミ。


「笑うんならちゃんと笑えよな」
タクミは白い粒子が天へと昇っていくの見送ってから一つ溜息を吐くと、頭をガシガシ掻きながら歩き出す。
「ここで生きて、か。まったく、無茶な事を言ってくれるよな。どうやってお前の事見つけたと思ってんだ」
前方には桜の木。だが、タクミは歩みを緩める事は無い。何故ならタクミはもう――タクミの体が桜の木をすり抜ける――生きていないのだから。
ゴウッ、と強く吹いた風が当たり一面を幻想的な桜吹雪で彩る。タクミは桜の花びらが舞い散る中、陽炎のようにゆらりと姿を消してしまった。


この物語に語り部はいない。ただ一本の、桜の木を除いて。