Enjoy KABUKI !!

気ままに歌舞伎を楽しんでいます♪

ファミリーブレイク―幸四郎・染五郎・紀保・たか子

2009-05-26 |   ラ・マンチャの男
ファミリーブレイク―幸四郎・染五郎・紀保・たか子
安達 英一
報知新聞社

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『歌舞伎からミュージカル、創作劇まで精力的に舞台にかけている松本幸四郎が始めた、日本の創作劇を発掘、上演する“家族劇団”「シアターナインス」。本書は、そのメンバーの、今生きている役者としての、幸四郎、染五郎、紀保、たか子を描いたものである。

目次
第1章 シアターナインス
第2章 松たか子
第3章 松本幸四郎
第4章 市川染五郎
第5章 松本紀保
第6章 藤間紀子
家系図    』

平成10年4月1日から「幸四郎のレシピ シアターナインスの人々」のタイトルで報知新聞に連載したものを基に加筆訂正したもの。
平成11年4月までのシアターナインスのメンバー+紀子夫人の活動がとてもよくわかる。
また家族それぞれの距離感、それぞれの思いなど、幸四郎さんや紀子さんの著作などを読んでいてもわからないことが外から見た眼で書かれていて面白い。
ラ・マンチャの男についてもとても詳しく、特にニューヨーク公演についての詳細がうれしい。

幸四郎さんがレット・バトラー(風と共に去りぬ)のオーディションに落ちていたことは初めて知り、彼でも望めば必ずかなうものでもない、だからこそ与えられた機会は逃さず全力投球するという姿勢があるのかと改めて感じ入った。


巻末の各人の出演作品一覧表が便利。


改めて「アマデウス」が観たいなぁ。



・歌舞伎美人 藤間紀子夫人のインタビュー記事 LINK
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ラ・マンチャの男 @CD

2009-05-25 |   ラ・マンチャの男
ラ・マンチャの男
アメリカン・シアター・オーケストラ,リー
ソニーレコード

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『ミュージカルの名作「ラ・マンチャの男」がドミンゴを中心とする豪華キャストで録音された。ラ・マンチャの男とは,もちろん,ドン・キホーテのこと。ドミンゴが伸び伸びと歌っている。熱いラテン的な世界が繰り広げられていて,聴いていて気持ちがいい。

曲目リスト
1. 序曲
2. 芝居を始めましょうか?
3. ラ・マンチャの男(我こそドン・キホーテ)
4. 食い物だ!酒だ!アルドンザ!~同じことさ
5. 気高いお方
6. ドルシネア姫
7. あの方が心配で
8. 信書「最高の貴婦人」
9. 記念の品って何んだい?
10. 好きなのさ
11. 何が望みなの?
12. 誰かがやって来る!
13. 床屋の唄
14. 黄金の兜を引き渡せ
15. マンブリーノの黄金の兜
16. 私のドルネシア
17. 何故こんなことを?
18. わが使命~見果てぬ夢
19. 騎士叙位の唄
20. 憂い顔の騎士
21. 小鳥よ,小鳥
22. わが姫よ
23. 話しかけてもいいですか?
24. ちょいとしたおしゃべり
25. 何かご希望で?
26. ドルシネア姫
27. 見果てぬ夢
28. ラ・マンチャの男
29. ドン・キホーテは死んだ
30. フィナーレ:エンディング 』

別のバージョンのCDを。
こちらはドミンゴの歌。他のキャストも(私は知らないが)豪華らしい。

ドミンゴはテノールなんですよね?
うーん・・・
初体験が幸四郎さんのバリトンだったせいか、もう少し低く深く響く声で聴きたいと思ってしまって・・・
ちょっと失敗だったかなぁ。

舞台を見たことがない人には、セリフも多く入っていて親切なのだと思うのだけど。


ジャケットの絵はピカソの描いたもの。
幸四郎さんが模写されて、1本も余分の線がないと驚かれたそうです。

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Man of La Mancha(ラ・マンチャの男) @CD

2009-05-23 |   ラ・マンチャの男
Man of La Mancha (Original 1965 Broadway Cast)
Mitchell Leigh,Neil Warner,Gino Conforti,Harry Theyard,Irving Jacobson,Joanie Diener,Ray Middleton,Richard Kiley,Robert Rounseville
Decca

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『1. Overture
2. Man of la Mancha (I, Don Quixote)
3. It's All the Same
4. Dulcinea
5. I'm Only Thinking of Him
6. I Really Like Him
7. What Do You Want of Me
8. Little Bird, Little Bird
9. Barber's Song/Golden Helmut
10. To Each His Dulcinea (To Every Man His Dream)
11. Impossible Dream (The Quest)
12. Combat
13. Dubbing (Knight of the Woeful Countenance)
14. Abduction
15. Aldonza
16. Little Gossip
17. Dulcinea (Reprise) /The Impossible Dream (Reprise) /Man of Mancha ...
18. Finale (The Impossible Dream) 』

ラ・マンチャ狂いはまだまだ続く・・・(・・;)

これは1965年のブロードウェイのサントラ盤。

もう頭の中はいつもメロディが鳴っている状態。
それが「Man of la Mancha ラ・マンチャの男」だったり、「The Impossible Dream見果てぬ夢」だったり、「Dulcineaドルシネア」だったり・・・
この3曲が好きみたいですねぇ。

スコアも買おうかどうしようか悩み中です。

他愛のないストーリーと言ってしまえばそれまでなんですけれど、いい出会い(幸四郎さんの舞台)をしたのだなと思います。
これがたとえば最初が映画だったら・・・ここまで心を動かされることはなかったでしょう。
第一印象って大事かなぁ。

「最も憎むべき狂気は、ありのままの人生に折り合いをつけてあるべき姿のために戦わぬことだ」byセルバンテス
このメッセージは時代を超え、国を超え、民族を超え・・・
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父と娘の往復書簡

2009-05-22 |   ラ・マンチャの男
父と娘の往復書簡
松本 幸四郎,松 たか子
文藝春秋

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『歌舞伎役者松本幸四郎と女優松たか子の2年間に亘る往復書簡。梨園の親子として其々(それぞれ)見つめてきた人生風景とともに、歌舞伎に現代劇にと幅広い活躍を続けてきた稀有の舞台人と、充実したキャリアによって評価の階段を駆け上がる女優、2人がやり取りする熱い演劇論も魅力的な、読みごたえある1冊となりました。連載中に染五郎丈のご子息斎(いつき)さんの初舞台や松さん自身の結婚という予期せぬ出来事も起こり、当時の真率な心情も語られています。』

ラ・マンチャの男」つながりで・・・。
平成18年5月~20年4月オール読物に連載されたものです。

ぎこちなく、おずおずと始まった往復書簡も終盤は互いの真情(たぶん)の往来がご本人たちにもいい記録になったのではないかしら。

幸四郎さんの文章を読む機会は多いのですが、松たか子さんの文章を読むのは初めて。というか、彼女のことはHEROを息子が見ている横で見てるような見てないような状態だっただけしか知らなくて・・・。
甚だ失礼ながら予想外に達者な文章を書かれるのにはびっくり。
お父さんがちょっとKYな雰囲気をうまくカバーしてて、頭もいい方ですねぇ。
歌舞伎以外のお芝居を観る習慣はなかったんですけれど、「ひばり」とか観てみたいなと思いました。

お二人共通の芝居として「ラ・マンチャの男」に言及されることも多く、ラ・マンチャファンとしてはうれしい限り。
拾い物の一冊になったかな。


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市川染五郎

2009-05-20 |   ラ・マンチャの男
市川染五郎(紙ジャケット仕様)
市川染五郎(六代目)
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)

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名盤プレミアムシリーズの第3弾~フォーク・カレッジポップス編~紙ジャケ復刻20タイトル 生産限定商品 ●当時のジャケットを忠実に再現!●オリジナルLP帯復刻!
オリジナル発売日:1970年12月21日
6代目市川染五郎(現・松本幸四郎)が発表した唯一のアルバム。自身で作詞作曲した大ヒット曲「野バラ咲く路」ほか、現在も公演されている「ラ・マンチャの男」も収録。若き日の染五郎の歌声が聞ける!
初CD化。

1. ラ・マンチャの男
2. 野バラ咲く道
3. みんなの灯
4. 聞いておくれ僕の願い
5. 雪の中の二人
6. おれの夜明け
7. S.O.S(サウンド・オブ・ソメゴロー)
8. 二人肩よせ
9. 花びらの中に
10. しょうがないさ
11. マイ・トレアドール
12. 見果てぬ夢    』


買ってしまいました(・・;)


「野バラ咲く路」・・・大ヒットしたそうですけど・・・知らなかったなぁ。
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ラ・マンチャの男@DVD

2009-05-19 |   ラ・マンチャの男
ラ・マンチャの男 [DVD]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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『<ストーリー>
舞台は中世のスペイン。売れない作家セルバンテスは大道で芝居を演じていたところ突然投獄されてしまう。芝居の内容がカトリック教会を冒涜した、というのだ。牢獄で彼を出迎えたのはセルバンテスの所持品を身ぐるみ剥がそうと手をこまねく囚人達・・・。しかしセルバンテスは自分の書いた脚本だけは必死に守ろうとする。その脚本とは永遠の理想(と希望の騎士「ドン・キ・ホーテ」についての物語だった。脚本を守るために彼は囚人達を巻き込んで牢獄内で演劇を始めるのだった。泥棒、人殺し――「ドン・キ・ホーテ」が愛と信念を貫くその物語は人間のクズである囚人達をも次第に変えていくのだった・・・。

<キャスト&スタッフ>
セルバンテス… ピーター・オトゥール
アルドンサ…ソフィア・ローレン
マンセルバント…ジェームズ・ココ
牢名主…ハリー・アンドリュース
ペドロ…ブライアン・ブレッスド

監督・製作: アーサー・ヒラー
原作・脚本: デイル・ワッサーマン
撮影: ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽: ミッチ・リイ/ジョー・ダリオン
音楽監督: ローレンス・ローゼンタール
●字幕翻訳:菊地浩司 ●吹替翻訳:佐藤一公』


昨日の観劇の興奮さめやらず、さっそくDVDを入手。

舞台そのまま風に記録した部分と、映画になっている部分とがあって・・・微妙・・・。
でも「The Impossible Dream 見果てぬ夢」は何回聞いてもなんだか泣ける・・・。(YouTube)
ピーター・オトゥールも悪くはないのだけれど、声がちょっと高い?

幸四郎さんの方がセリフと自然でいいなぁ。
40年前にNYで評判がよかったということがよくわかりました。
松たか子さん、ソフィア・ローレンに負けてない(*^^)v

幸四郎さんのDVDは・・・ない・・・非常に残念。
せめてサントラ盤のCDでもあればいいのになぁ。
「ラ・マンチャの男」と「見果てぬ夢」だけは『市川染五郎(六代目)』というCDにあるのを見つけましたけど、英語。

松竹でシネマ歌舞伎は次々にに出されているのだけれど、東宝さんも映像に残すということも考えてもらえないかなぁ。
森重久弥さんの「屋根の上のバイオリン弾き」とかオリジナルの「レ・ミゼ」とか伝説の舞台も観たいと思うのだけど・・・。




 ↓めっちゃ若い(1971年)。七代目よりいい男?ヾ(・・ )ォィォィ
市川染五郎(紙ジャケット仕様)
市川染五郎(六代目)
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)

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ラ・マンチャの男@シアターBRAVA! 千穐楽

2009-05-18 |   ラ・マンチャの男
実はミュージカルはこりごりでした。何を観たとはいいませんが・・・。
でも、幸四郎さんのラ・マンチャの男、10年ぶりの大阪公演ということで、ダメモトで・・・。
ほんとにダメモトで・・・(繰り返さなくっていいって・・・(・・;))

が~ 

よかった~~~!!

予想外の感動で涙、なみだ・・・
やっぱりちゃんとした役者さんが演じるとこうまで違うのかと・・・。
セリフの説得力、歌の表現力・・・やはり根本に歌舞伎で鍛えたものがあると思います。

その他の役者さんたちも適材適所で、みなさん性根をしっかりつかんでらしていいなぁ。
そうでないとこのアンサンブルの中では演れませんよね。
お嬢さんの松たか子さん、高い透明な声が持ち味かと思っていましたけど、低音域が伸びて素敵! 

舞台装置も演出も、飽きさせずコンパクトにまとまっていてGOOD!
舞台を左右ではなく、上下の広がりで使うのが面白い!

オーケストラも楽しい指揮者の方とともにGOOD!(オケボックスがこんなところにあるとは・・・)

まさか自分がこんなにミュージカルを楽しむなんて・・・うれしい誤算です。

もちろんスタンディングオベーション!!
アンコールは何回でしたっけ?
英語でも見果てぬ夢を歌ってくださって・・・またなみだ・・・。
何度聞いてもいいですねぇ。
弁慶の幸四郎さんもいいけれど、この幸四郎さんもすばらしい!
ほんとに稀有な役者さんです。
またぜひ観たいと思います

この後は富山で3日公演だそうです。
どうぞお体お大切に・・・


~~シアターBRAVAのページより~~
【キャスト】
<セルバンテス/ドン・キホーテ> 松本幸四郎
<アルドンサ> 松たか子 
<サンチョ> 駒田 一
<牢名主> 上條恒彦
<カラスコ> 福井貴一
<アントニア> 月影瞳
<神父> 石鍋多加史
<家政婦> 荒井洸子
<床屋> 祖父江進

鈴木良一、水村直也、大塚雅夫、萩原季里、塚本理佳、片岡身江、美濃良、
山本真裕、中尾和彦、土屋研二、藤田光之、羽山隆次、山本直輝、市川裕之、
石丸隆義、真島邦英、村上幸央、栗林昌輝、斉藤義洋、高野史郎、安倍幸太郎、
氏家忠明、松本錦一、仲由幸代
ほか


【あらすじ】
 16世紀の末、スペイン・セビリアの牢獄。
作家・ミゲール・デ・セルバンテス(松本幸四郎)は教会を侮辱した罪で投獄される。
泥棒や人殺しの罪をおった囚人達は新入りのセルバンテスをこづきまわす。騒ぎをききつけた牢名主(上條恒彦)は、牢獄内で裁判をやろうと言い出す。セルバンテスは自分が書いた「ドン・キホーテ」の脚本を、牢獄内で即興劇として演じ申し開きをすることを思い立つ。他の囚人たちに役をふりわけ、その物語に巻き込んでいく。
「・・・さて皆様、私は1人の男の役をつとめます。私の創り出したその男を見てやってください!名前をアロンソ・キハーナ。さして若くはない、田舎の郷士・・・。」

男は、朝から晩まで騎士道物語の読書に没頭するあまり、凡俗な世間に愛想を尽かし、ついには自分自身が何世紀も前に姿を消した遍歴の騎士だという妄想に陥り、「世界の全ての悪を滅ぼさん」がため、従僕のサンチョ(駒田一)を引き連れて冒険に旅立った。その男こそ人呼んでラ・マンチャのドン・キホーテ。

 ドン・キホーテは見果てぬ夢を追い求めて進む。風車を見ると「4本腕の巨人」と信じて突撃し、宿屋に着いては「城の主はあるか」と呼び張った。しかし、そこにいた宿屋の亭主やあらくれ男どもは、彼を気の狂った老人だと無視して取り合わない。
売春婦アルドンサ(松たか子)も初めはいぶかしんでいたが、彼女の事を「美わしき夢のドルシネア姫」と呼ぶこの不思議な老人に、次第に心を開き始める。

キハーナの狂気は、真実なのか?それは誰にも分からない。床屋(祖父江進)のヒゲ剃り用の鉢を兜と決めつけキホーテの戴冠式は終わる。その場に居合わせた神父(石鍋多加史)とカラスコ博士(福井貴一)は、「キハーナの病はどうすれば治るのか?いっそのこと病気のままの方がよいのでは?」と思い始める。

キホーテにとって、アルドンサこそドルネシア姫その人であり、おもむろに騎士としての使命を披瀝する。
「夢は稔りがたく、敵は数多なりとも、胸に悲しみを秘めて、我は勇みて行かん」
 次第に心ゆさぶられるアルドンサ。そんな彼女の変化に気付いたラバ追いたちはすきを狙って襲いかかる。ぼろ布のような姿となってドン・キホーテの前に現れた彼女は、「あたいはあんたの思い姫なんかじゃない。ただの下品な女だ。」と号泣する。彼女が何を言おうともキホーテの気持ちは変わらない。そこへ鏡の騎士と名乗る者たちが現れる。向けられた鏡の盾に映る自分の姿を見た彼は、自分が騎士・ドン・キホーテではなく、ただのみすぼらしい老人だと気づき、打ちひしがれ倒れてしまう。

鏡の騎士に敗れたキハーナは、瀕死の床に伏している。そこへアルドンサが駆けつける。キハーナは彼女が誰だかわからない。「・・・あたいの事を違う名前で呼んでくれたよ、ドルシネアって!」女の悲痛な叫びにドン・キホーテの事を少しずつ思い出すキハーナ。最後の力を振り絞り立ち上がる「我こそ、ドン・キホーテ」見果てぬ夢を追い求めた男に死が迫る・・・。

牢獄での芝居は終わった。セルバンテスは裁判所へ連れ出される。
牢名主は問う「ドン・キホーテはセルバンテスの兄弟か?」
セルバンテスは答える「我らは2人ともラ・マンチャの男です」




できれば、息子の染五郎さんとのアマデウスも上演よろしくお願いします。



【追記】
*朝日新聞 演劇評 by西本ゆか 09/05/20
ラ・マンチャの男 ~「真の自己」見つける心の旅路

 他者との関係性の中でこそ人が人となるのなら、真の自己とは、私が自分の中に見る姿だろうか、他者が私の上に見る姿だろうか。松本幸四郎のライフワーク「ラ・マンチャの男」が、大阪で10年ぶりに上演された(1日~18日、シアターブラヴァ!)。不遇の作家セルバンテスと、彼が冤罪の獄中で練り上げたドン・キホーテ、その2役を千回を超えて演じ続ける幸四郎。三つの魂がわかちがたく一体となり、初演から40年の今もなお、人が人として生きる姿を問いかけて古びることのない、心の旅路だ。
 16世紀末、セビリア。教会侮辱罪で投獄されたセルバンテスが牢内で演じる即興劇の主人公は、自らを遍歴の騎士と思いこみ、従僕サンチョ(駒田一)と共に冒険に旅立つドン・キホーテだった―。
 老郷士キハーナという現実を忘れて風車の巨人と戦い、狂気扱いされるキホーテを幸四郎は序盤、老いの悲哀をからめた滑稽さで演じる。セルバンテスの「最も憎むべき狂気は、ありのままの人生に折り合いをつけてあるべき姿のために戦わぬことだ」との台詞で滑稽が崇高に転じ、嘲笑すべき彼我が入れ替わる瞬間は劇的だ。この主題に答えを示すのが、たくましい野生の生命力に輝く松たか子の娼婦アルドンサ。彼女をドルシネア姫と信じるキホーテの瞳に、偽りでも彼が望む姿で己を映したいと思い始めた彼女は、現実に連れ戻されキハーナとして死の床についた彼の前に、運命に流される日々から脱して現れる。彼をただ幸福にするために彼女が「ドルシネア」と名乗った時、偽りは真実となり、キハーナはキホーテに戻り、気高く雄々しく、立ち上がる。
 人は自分を受け入れ、肯定してくれる相手がいれば、己の心において何者にでもなることができるのだ。金や権力では到達できない、魂のゴール。それを、幸福と呼ぶのかもしれない。


そうなんですよね。
痩せた野良猫のアルドンサの中にドルネシアを見る
老郷士キハーナの中にキホーテを見る

そして
松たか子の中にアルドンサとドルネシアを見る
幸四郎の中にキホーテを見る

だからこその感動であり共感なのだと思う。

「最も憎むべき狂気は、ありのままの人生に折り合いをつけてあるべき姿のために戦わぬことだ」

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