Enjoy KABUKI !!

気ままに歌舞伎を楽しんでいます♪

芝能@奈良を鑑賞しました

2006-09-25 | その他・演劇等
昨日芝能を観ました。
『「芝能」は、文字どおり能舞台を設けずに古式ゆかしく自然の芝の上で舞われるのが特徴で、春日の神山を背景にしてしばしの間、見る者を幽玄の世界へと誘う自然の中の雄大な能行事である。』という宣伝文句につられて・・・。

まずは、14時から芝能鑑賞講座@ならまちセンター市民ホール(奈良市東寺林町)(約2時間)
舞台上には簡単な能舞台の設え(下の奈良能公演日誌のページに写真もあり)
【内容】
(1)山折哲雄氏講演「能にみる日本人の宗教観」
日本の宗教心の元は「人間は死んで神になる」という思想で、死に近い老人は神に近い、これが翁信仰となる。これを具現化したものが能。これを大成したのが世阿弥。(神を老人の姿に描くのは日本のみ)
世阿弥の最高傑作である能「井筒(参考→滋賀県立大学能楽部による全文)」で、最初に諸国一見の僧が出てきて静かに端へ座る。その後、シテの女と後シテの女の亡霊がでてきて、嘆く。この嘆きを黙って聞いているのは僧。これはカウンセラーの役目を果たしているのではないか。クライアント(女=シテ)は聞いてもらって慰められて去るのである。
  さすがに興味の尽きないお話で、面白かった。
県内にある数年前新設の某短期大学で開設当初の2年間だけ山折先生が学長を勤められ、その当時だけ日本文化研究の学科があって入学しようかと本気で考えて授業料の高さに慄いて(笑)行かなかったが、行ってみればよかったかなと後悔(まさかすぐに消えてしまうとは思わなかったので)

(2)本日の演目解説
金春流シテ方金春欣三氏によるお話。御年81歳になられ、少しお忘れになられる部分などおありなのだけど、そこが素晴らしい間であり味に感じられ、楽しい。
金春流の袴の紐はちょうちょ結びである、ということから剣の柳生流との関連(江戸時代お互いに入門しあう関係)という話になって、それはそれで面白かったのだけど、ちょうちょ結びのなぞときは触れられないままで終ってしまった。剣道ではちょうちょ結びにするのだろうか。
能「井筒」の元本・伊勢物語の「井筒」の解説をしてくださった。

(3)ワークショップ
「NPO奈良能代表」石原昌和さんの司会     
能管・相原一彦さん(森田流)、小鼓・荒木健作さん(大蔵流)の説明。このふたつは鳴り難い楽器の代表。シャドー小鼓(小鼓を持っているつもりで叩く)を全員で体験。
観客二人を舞台に上げて、能面の体験講座。
・女の面の穴は四角(少女漫画と同じで四角がかわいく見える)
・演者は面を動かして面を着けるのではなく、顔を動かして面の裏に入る気持ち。表の面が舞ってくれる気持ち。
・面に目の穴がふたつ開いていても実際見ているのは片目。視野もせまい。
必然的に能の舞はゆっくりですり足にならざるを得ない。
舞台の四方の柱も(観る側からは取って欲しいといわれるが)舞台の端がわからなくなる(演者が落ちる)ので絶対に必要。演者はすり足で板の数を数えることでも位置を確認している。(余談だが、相撲の柱も昔あったのに見にくいからって取ってしまったけど、力士はあれで位置を確認するっていう働きもあったのではないかしら)

17時からは場所を移して奈良公園登大路園地での「芝能」鑑賞。
【演目】
仕舞「春日龍神」櫻間右陣師ほか
仕舞(※1)「船弁慶」後場のみ 金春康之師ほか
大蔵流狂言「舟船」柳本勝海師ほか
観世流一調(※2)「杜若(かきつばた)」 塩谷恵師ほか
金春流能「井筒」金春欣三師ほか

「春日龍神」と「船弁慶」は仕舞で、続けて舞われたので、区切りもわからず(汗)、「そのとき義経すこしもさわがず」が聞こえて「船弁慶」に移っていると気付いた始末・・・。「船弁慶」、歌舞伎にもある演目(玉三郎さん富十郎さんで観ました)なので楽しみにしてたんですけど。
狂言はさすがに日本語(笑)がよくわかり面白かった。
「井筒」はメインイベントとしての風格が十分なことは感じ取れたものの、ずいぶん静的な舞で、さんざんレクチャーを受けながらも寝なかったのは寒かったせいだとしか思えない・・・。(でも山折先生も能を見ていると必ず眠くなるとおっしゃっていたし)
※1 仕舞とは能の一部を素で舞うこと。能における略式上演形態の一種。(byWiki)
※2 一調とは能の演奏形式の一。謡曲中の要所を、小鼓(こつづみ)・大鼓(おおつづみ)・太鼓のいずれか一つの伴奏で、一人で謡うこと。(by大辞泉)


能を見るのは2回目(1回目はこちら)。今回芝能という形式を体験したくて見たのだが、芝能の場合必然的に平面に座席が並ぶことになるわけで、最前列の人はともかく後ろの席ではほとんど見えない。カラスは鳴きながら飛ぶ、バイクの爆音は聞こえる、涼しい~寒い風は吹いてくる、パイプ椅子はすわり心地が悪い、楽屋&照明等俄かごしらえの観が否めない・・・。能をよく理解した人にとっては興趣尽きないということになるのかもしれないが、私には10年早いよ、という感じ・・・。
「能」を観たのではなく「芝能」を見たということになりますかね。


奈良能公演日誌 この公演が写真入で記録されています。いまさら聞けない初歩講座のページもあり。
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「染模様恩愛御書細川の男敵討」の小説化

2006-09-17 | 知る・歌舞伎
朝日新聞に“衆道”の歌舞伎、染五郎が百年ぶり上演 小説化もの記事。
『28日、小学館パレット文庫からノベライズ本「紅蓮(ぐれん)のくちづけ」として出版される。作者は男性同士の恋愛(ボーイズラブ)小説で若い女性に人気の作家、深山くのえさん。西炯子(けいこ)さんが描く耽美(たんび)な挿絵も満載だ。』そうである。

ちょっと待った・・・(滝汗
この作品ってやっぱりそういう捉え方になるのね(泣

発刊記念イベント@松竹座も10月8日に行われるそうです(詳しくは→LINK
ま、この程度の本で染五郎さんや愛之助さんたちと握手できるのならいいとする?

8日、日曜なのに夜の部の公演がないのが不思議だったのだけど、こういうわけだったのねぇ。


染五郎、愛之助らとの握手会が開催! 歌舞伎美人(かぶきびと)サイトで。写真も。

コメント (11)
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