今日、クラス発表があった。
選択科目の関係で、だいたい予想はついていたが、俺は6組だった。
理系は6組から8組までなんだが、6,7組は3階に教室がある。文系
クラスも含めて、2年生の教室は7組までが3階なんだ。
で、8組だけが、なぜか1階にある。しかも生徒玄関から超近い!!
俺を始め、理系を選択した奴は、8組になりたがっていたわけだ。理由
は、言うまでもないだろう?
残念ながら、8組にはなれなかったが、同じクラスになった男子の半分
は、知っている奴だし、結構気楽な奴が多いから、楽しそうだ。
女子は、11人。知っている奴はあんまりいない。
ただ、和田の奴が
「お前ら・・・・・・」と、半分泣きそうな顔で俺たちを見て言った。
ちなみに、和田が言う「お前ら」とは、深見と同じ7組になった、北崎
と、能島、そして俺のことだ。
部活が終わってから、飯を食いに街へ繰り出すことになっている。
ついでに、メインストリートをブラブラして、スニーカーやトレーナー
を見てこようということにもなっている。
まあ、にぎやかな雰囲気のなかでみんなとじゃれあっていれば、少しは
元気も出てくるだろう。確かに腹が減ってきていた。
俺たちが掲示板の傍から離れようとした時
「伊東君たち、また同じクラスになったんだね!」
と、聞き覚えのある声。
「うん。森崎たちは?」と、北崎。
「まあ、そこそこ・・・かな。
先生の情報とかさ、メールで教えあおうよ?」
「そうそう、メールといえばさあ、伊東君だけだよ、返事寄越さないの
は!いくらなんでも物ぐさ過ぎ」
「え?!ええっ?」
思いがけない、青島の突っ込みに驚いたね。あんな内容のメールにみん
な返事返してたって?どんなこと書いてたんだ?
「伊東君、メールはさ、伊藤君が書いたって、北崎君が書いたって、同
じ読める文字になって届くんだからね。今度からちゃんと返事頂戴よ
ね、わかった?」
「わかった?」って、そんなにまくしたてて、どの部分をわかって欲し
いんだよ!お前に言われるほど、俺の字は汚くないぞ!北崎と比べたって
違いはないぞ、絶対に! たぶんな!!
と、思ったけど、森崎に面と向かって言う気にはなれない。こいつには
黙って聞き流す作戦を取るのが一番いいことは、この1年で学習済みだ。
「まあ、俺も忙しいから。
でも、たまには返すようにするから」
「本当にだね?
相良にもそう言っとくからね?」
本当に、こいつらは2人でも5,6人くらいの迫力だもんな。クラスの
うるさい奴らがほとんど文系を選択してくれたから助かったよ。
俺たちは、そそくさと校門の方へと退散というか、避難した。
「伊東さあ、お前、相良にもメールだしてなかったのか?」
校門をでてから北崎が小声できいてきた。
「そうだけどさあ、別に返事するないようでもないしさ・・・」
「おまえなあ・・・・・
まあ、簡単でいいからさ、たまにはメール送れよ。
おやすみとか、そんなんでいいから」
「うーーん。まあ・・・そのうち・・・」
なんか、面倒だもんな。北崎の奴はまめに返してるのかな?
そういえば、北崎は結構メールよこすよな。
それに対して俺は、やっぱり必要もの以外は、面白い奴の他はあんまり
返したりしないんだが・・・・。今度メールが来たら考えようか?
そうこうするうちに、俺たちは上り坂にさしかかった。俺たちの学校か
ら街へ行く時には、この坂を越えなければならない。これが結構急な坂な
んだ。頑張れば5分くらいなんだが、部活でしごかれて、腹が減ってる俺
たちには、きつい!坂を上りきるとあとは、だらだらした下り坂だ。
上り坂が終わったところで、ひとやすみ。
そこから見下ろす向こうには、いつだって楽しいことが待っている気が
するのは、やっぱりこの先に賑やかな街があるってしっているからか?
この時も、俺はみんなと同じように高揚とした気分になっていた。飯は
何にしようか?きに入ったスニーカーは見つかるかな?他にも何か面白い
ことがあるかもしれない・・・・なんてね。
2年に進級して、新しいクラスに期待が持てそうだし、天気はいいし、
本当に、この時点では俺は結構幸せな奴だったのかもしれない。