物語エトセトラ

気分は小説家?時に面白く、時に真面目に、物語を紡ぎ出す

ゆうきのサバイバル日記 (43)

2007-08-25 | Weblog
           楽しい?春休み(!)

  ついに春休みに突入だ!
  あのうるさいクラスの女どもともお別れだ!
  なにせ俺は理系だから、クラスの女子のほとんどとは一緒のクラスになる
 ことはない!
  おまけに理系の選択教科でクラス分けするので、気の合う奴と同じクラス
 になる可能性が高い。
  いやでも期待するよな。
  成績?
  進級できるのは間違いないんだから、親にも文句はいわせない!!
  なんちゃって。
  まあ、俺だってこれが俺の実力とは思ってないしさ、
  これから、すこしずつ頑張って、レベルアップするつもりだ。
  とにかく春休みなんだから。
  日中は暖かくなってきたし、なんか浮かれたくなる気持ちって分かる?
  それなのに先生達は、頭が固いのか、容赦なく宿題を出す。
  なに考えてるんだよ!?
  そりゃ出す方はいいよ。

  「しっかり力をつけるために、真面目にやるんだぞ」
  とか言ってさ、ふんぞり返っていればいいんだからな。
  やる方の俺達の身にもなれ!っていうの。
  とはいっても、なんとなく赦してやろうかって気になるのが春休み・・・・ 
部活もあるけど、体育館は野球部など外の部活と共有なので、1日練習は
 ほとんどない・・・・はず。
  さっそく、中学の同級生から映画に行こうと、誘いが入った。
  そう、高校は別々だから、こんな時しか中学の友達とは遊べないもんな。
  高校の友達とも、町へ買い物に行くことになっている。
  あとは今のクラスで、打ち上げっていうか、お別れコンパみたいなのをやる
 ことになっている。ただし、日は未定。
  野球部の練習が(しかも1日練習ばかり)一番きついので、野球部が休みの
 日にやることになっている。
  その日に部活がある連中は、運が悪かったと思ってあきらめてもらうか、休
 んで出席するかになる。
  ちなみに今日は、バスケの打ち上げで、近くの焼肉店でたらふく食べた。
  毎年バスケ部は、この店で打ち上げをやることになっているそうで、よそで
 食べるより、安くてたくさん食べれたみたいだ。
  とにかく、うまかった。
  楽しい春休みになりそうだ。 

ゆうきのサバイバル日記 (42)

2007-08-20 | Weblog
   「ええーっ!!?
    お前の兄ちゃん、すごい!すごすぎない?」
   「イトー、お前そんなすごい兄ちゃんいて、ヤバクない?」
   「マジですげぇー!
    イトーってばさ、お前こんなことしてていいの?」
   俺のアニキがО大に受かった時は反響がすごかった。
   まあ、それはしかたがないことだと、俺は思ってるよ。だってさ、俺達の学  校からすれば、O大合格なんて世界が違う!って感じだもんな。しかし、実力  テストが終わってから、また同じことを言われるとは思ってなかった。
   先生からは、面談で
   「伊東君、君は数学これだけ点が取れるんだから、他の教科もちゃんと頑張    れば絶対できると、先生は思うぞ!!」
   と、言われてるのに、俺の友達はみんな口をそろえて
   「お前、兄ちゃんがO大なのに、そんなんでいいの?」
   だもんな。全く友達がいのない奴らだ。
    さらに、アニキの引越しに備えて!などと訳のわからないことを言って
   母親がフィットネスクラブ通いに力を入れ、夕飯はアニキが今後のために!   という理由で、つくっているんだ。
    まあ母親の指示に従って、だいたいつくっているんだが、なにせ品数が
   少ない!俺の好物の時はいいんだよ、それでもさ。
    しかし、メインディッシュがないときもあるんだぜ!
    何考えてるんだか。
    部活でめいいっぱい疲れて帰ってきて、お粗末な食事を出された日には、
   力が抜けまくるぜ。
    それで勉強なんかできるわけないだろう?
    食事が粗末なうえに、一日の最後の楽しみのおやつが、これまたお粗末。    「買い物する時間がなかった」とか、
    「忘れちゃった!」とか言って、好きじゃない物を食べなきゃいけないん
   だぜ。これじゃストレス溜まるよな?
    いい加減ストレスが溜まってきて、さすがの俺も爆発しそうな時に、アニ
   キの入学手続きで、母親とアニキが家を空けた。
    朝は母親が作ったサンドイッチ。
    昼は金をもらって、コンビニで好きな物を買って食べる。
    あのケチな母親が800円もくれた!
    やっぱり、罪悪感を感じてるんだろうな。
    そして夜は、父親がすし屋へ連れて行ってくれた。
    近所のなんとかいうすし屋へ行くって言うのを、必死で抗議して学校の
   近くの回転寿司へ行った。
    俺はなんといっても回転寿司の方が好きだ。
    よく分からない魚の名前が並んだメニューを見るより、実物を見て食う
   方がいいもんな。
    本当は、焼肉バイキングの店が良かったんだけど、父親が
    「それだけは嫌だ!」
   というから、仕方なく譲ってやったんだぜ。
    大人のくせに好き嫌いしてほしくないよな、みっともない。
    アニキの引越しは3月の終わり頃だ。
    なんたって大阪だもんな。
    俺は中学の修学旅行で大阪へ行ってるんだ。
    中華街のしゅうまい、豚まん、それにたこ焼き・・・美味かったよな。
    俺は春休みも結構忙しい身なんだが、しょうがない、アニキの引越しの
   手伝いに大阪へ一緒に行ってやることにした。
    父親も母親も
    「勇気、引越しってのは、すぐに終わるもんじゃないんだ。
     どこへも遊びに出かけられないんだぞ、分かってるか?」
    「食事も、1日目の夜は何処かで食べるにしても、後はコンビニよ」
   って、こうだぜ。
    まったく、俺をバカにしないでほしいよ。
    引越しだぜ。遊びに行くんじゃないんだぜ。
    常識だろう、そんなこと!
    俺は別に高級レストランでフルコースを食べようなんて思ってるわけじゃ   ないっていうの!連れて行ってくれるっていうなら、行ってもいいけどさ。    俺が食べたいのは、本場のお好み焼きにたこ焼き、ああ、でも豚まんも
   捨てがたいよな。ラーメンだって、修学旅行の時には食えなかったし・・・    とにかく、今から引越しが楽しみだ! 
          

ゆうきのサバイバル日記 (41)

2007-08-17 | Weblog
           
              携帯騒動
  今日は日曜日。
  とはいっても、健全すぎるくらい健全な高校生の俺は、朝から部活だ。
  問題なのは、アニキと母親だ。
  今日、二人は携帯を買い替えに行くんだ。
  アニキは、ニューモデルを買うと決めている。
  じいちゃんやばあちゃんからの入学祝いを当て込んでの買い物だ。
  母親は安ければいい!という安易な考えの持ち主だから、俺としては心配だ。
  今使っているのも、マジで誰も持っていないような古い型で、俺としては恥ず
 かしいくらい。
  さらに母親は全く恥ずかしさを感じることなく、俺が入学と同時に買った最新
 モデルの超かっこいい奴を見て
  「なんか、小型の弁当箱みたいでカッコ悪いなー」
 などと、信じられないたわけたことを言ったんだ。
  俺は忙しい時間をさいて、山のように入ってくる新聞の折込に目を通し、あれ
 これアドバイスをしたんだが・・・・・
  アニキは、合格以来浮かれまくって当てにならない。
  「兄ちゃん、ちゃんといいのを選んでやってよ!」
  出がけに、寝ぼけた顔で起きてきたアニキに言ってやったんだが、理解できた
 かどうか、あやしいな。

  部活が終わり、玄関で携帯を出す。
  俺達の学校は規則が厳しくて、放課後だろうが携帯は校舎の中では使用禁止な
 んだ。
  母親はもう新しい携帯になっているはずだ。
  「迎えにきて」とメールを送る。
  アニキがいるはずだから、間違いなく俺のメールは読んでもらえるはず。
  返信もくるはずだが・・・・・・・
  遅い! 来ないぞ!
  みんなと一緒にコンビニへ向かうが、着いてもまだ返事がこない!
  いくらなんでも時間かかり過ぎだろ。
  まさかアニキが昼寝して、母親がメール見ることも分からないとか・・・・?
  悪い想像が次から次へ・・・・
  俺は、家の電話にかけることにした。
  携帯で通話もできないってことはないとは思うけどさ、ヤッパ安全策ってやつ

  「もしもし、お母さんか?
   俺。どうなってンの?」
  「ゆうちゃん?ゴメン、ゴメン。
   今、メール完成して送ろうとしてたところ。
   一応送ろうか?」
  ったく、呑気にも程があるぜ。
  「いいから! 早く迎えに来て!
   コンビニだから」
  「はいはーい。じゃあね」
  今メールを送るっていうけど、どんな文を送る気だったんだ?
  「わかった」
  「5分で、出る」
  という、短い文しかないだろう?
   いつもそうなんだしさ。
   明日から、メール使えるのかよ?
   俺は泣きたいくらい不安だ。

   迎えに来た母親の車の中で俺は新しい携帯を見せてもらった。
  「今までのと、全然違うでしょ?
   ホントに使いにくいンだから!
   やっぱり、充電池を変えてもらって、使い続けた方がよかったかも・・」
  ギョエッ!!
  なに言い出すんだ!
  「そんなことないって!
   だいたい、前の奴の充電池なんて、型が古すぎてもうないんじゃないか?」
  「ウーーン、そうかなあ?」
考えるまでもないだろう?
  あんな時代物、未だに使われたら俺が恥ずかしいじゃないか。
  「とにかく、今日中にメール使えるようになってよ」
  「それはだいたい分かったから」
   ホントかよー?
   ものすごく不安なんだけどな・・・・。
  この寒空のした、いつまでも迎えを待つなんてのは、絶対にイヤ!だからな。
  こんなことで悩む高校生って、俺ぐらいじゃないか?
  子供は親を選べないんだから、悲しいよな。
  今日のおかずは何か、とても訊く気にはなれない俺だった。 
 

     

ゆうきのサバイバル日記 (40)

2007-08-10 | Weblog
          合格発表 (2)
  前期試験の合格発表があった翌日。
  前の晩はやや食べ過ぎたのか、俺は早めに寝たにもかかわらず、なかなか
 布団から放れられずにいた。
  ようやく起きたが、胃がもたれた感じだ。
  今日は朝練休みだなと、思って二度寝したら寝過ごしてしまった。
  食堂では、アニキがもうご飯を終わりかけている。
  「いいよな。朝練、行っても行かなくてもいい部でさ。
   俺達の部じゃ、有り得んぞ」
  フン!悪かったな、有り得ない部活でさ!
  今日は合格の報告だけで、勉強はないからお気楽で機嫌がいいんだろうが、
 こっちはしっかり6限まで勉強して、そのあと部活だぞ。たまに休むのも有
 なんだよ。
  アニキの相手をまともにしてるほど暇じゃない俺は、心の中で言ってやった。

  なんこか間に合って教室に滑り込んだ俺は、
  「伊東君、今朝は朝練なかったんだね?」とか、
  「微妙にセーフだね」
  とか声をかけられるのに、それがなく、なんとなくいつもより興奮気味の
  雰囲気に気がついた。
  「ねえ、なんかあった?」
  「イトー、今朝の新聞読んでないのか?
   3年せいがさ、すごいんだぜ」
  「???」
  「N大に一人合格したんだよ!
   俺達の学校から、初めてなんだぜ。
   あのN大だぜ。推薦じゃなくて、一般試験でさ。
   すごくない?」
  「ひぇーー!?まじ?」 
「まじ、まじ!すごいよな。
   I高校の東大合格者数より、扱いが大きいって俺の父さん言ってたぞ」
  「そうそう、今までのこの学校のレベルじゃ考えられないもんな」
  「だけどさぁ、伊藤よ、お前朝遅いくせに、新聞くらい目通せよ」
  「・・・・・・」
  バカヤロー、新聞読む時間があったら誰が遅刻ギリギリになるか!
  まあ、こいつは何回か新聞読んでて、バスに乗り遅れて遅刻したことがある
 おかしな奴だから、しかたないか・・・・

   驚きはこれだけじゃなかった。
   朝礼で先生が、N大の他にも結構レベルの高い大学に3人合格したのだと言
  うんだ。今年の3年生ってすごい!!
  「合格者はみんな、2年から受験勉強に真剣に取り組み出したと言ってるぞ。   君達もこれから頑張れば、十分先輩の後に続けるぞ」
  って、朝からなんか力入りまくり。
  今日はどの授業も、まず先生はその話から入り、熱くなってる。
  おかげで俺は1限から6限まで休む暇なんかなかった。
  部活が始まる頃は、いつになく疲れてしまっている。
  合格した先輩はすごいけど、やたら先生が(生徒の一部もかな)熱くなって
 こっちは「とんだご迷惑」ってやつだよ。
  部活が終わって、いつものコンビニで一休みしてると、
  「家へ帰ったら、父さんと母さんで、また言われるぞ、きっと」
  と、矢坂がげんなりした顔でぼやいた。
  「伊藤のとこも、やっぱ言われるだろ?」
  「うん・・・、そうかも?」
  俺も少々心配になってきた。
  「えーー?でもN大だぜ?
   イトーの成績じゃ、親も期待しないんじゃないかあ?」
  横から(何故かいっしょにいる)マサヤが、余計なことを言う。
  だいたい、俺の方が(少し)成績 いいはずだろうが!
  お前には言われたくないぞ、俺は!  
  「ウーン、そうかもな。
   俺ンとこも、それじゃあ大丈夫かも」
  例によって北崎が力の入らない呑気な声でつぶやく。
  まあ、いいけどね。
  とにかく俺達の学校のレベルが上がったってことなんだよ。
  ちなみに、その夜家では
  「N大合格なんて、I高校じゃ自慢にもならないのにさ」
  というアニキの声を無視すれば、
  「すごいわねーーー
   ホント、すごいわ!
   N高校でN大だものね。
   信じられない、今までは考えられないものね。すごい!!」
  で、終始した・・・・・
  これは喜ぶべきか、はたまた???   

ゆうきのサバイバル日記 (39)

2007-08-05 | Weblog
            合格発表

   今日は大学前期日程の合格発表だ。
   アニキはインターネットで見るといっている。
   今となっては祈るしかないのだが・・・・どうなんだろう?大丈夫かな?
   俺が心配しても仕方がないことなので、いつものように朝練に出かける。
   そして、俺はまじめな高校生(しかも進学校のだ!・・・いちおう・・・)
  なので、朝練が終わる頃には合格発表のことなんかすっかり忘れていた。
   
   放課後の部活が終わり、コンビニまで迎えに来てもらい、車に乗り込むと
   「ゆうちゃん、今日はお祝いよ!!」
   「えーー!兄ちゃん受かったの?」
   「そうよ、合格、よ!」
   「ひゃあー、マジ?すごいね」
   「ほんとよねー。浪人したかいがあったわよね」
   「そうかあ、よかった。
    これで、俺もマジで大学進学を目指せるってことか!」
   「あんたは・・・・
    そうよ、目指せ国公立よねー。
    しかも、浪人なしで・・・に、決まってるわよねー」
   「あったりまえだろ!
    いっとくけど、俺は絶対に浪人はしないからね」
   「意味分かって言ってる?
    浪人しないで入れるくらい、学力がないとダメってことなんだけど・・」
   「あ?そんなの常識だろう」
   「うーーん、まあとにかく、まず勉強するところから始めないとね」
   「俺はいつもやってるだろう?」
   「ゆうき、あなたね・・・
    高校生の勉強時間は、単位が分じゃなくて時間なのよ。
    そのレベルにまず到達しないと、話は始まらない!ってこと」
   「失礼な!俺は何時間もやってるぞ」
   「そう?ついでに教えておくけど、分数で表わそうが小数で表わそうが1以
    上なのよ。わかる?
    3分の1時間とか、0.4時間とかは有り得ないの。
    -2時間なんて問題外ってことよ」
   「わ、分かってるって言ってんだろう」
   「そう?分かってるんなら、あとは実行すればいいのよ、ね?」
   「だから・・・・・」
   ハードな部活を終えて、空腹の絶頂にある俺が、こんな不毛の会話を母親と
   しなきゃいけないなんて、全く耐え難いよ。
    しかし、アニキが合格したんでその夜はご馳走だった。
    たらふく食べた俺は、おかげでその夜スポーツニュースを見逃してしまっ
   た。一眠りしてから、「いつものように」勉強しようと思っていたのだが
   腹が苦しくて、結局明日の朝練に備えて寝ることにした。
    自分で言うのもなんだが、先のことまで考えて行動するようになった俺っ
   て、なかなか大人だろ? 
くれぐれも誤解のないようにいっとくが、俺は決してうたた寝をしたわけ
   じゃなく、自らの判断で早寝をしたわけだから。
    そういう微妙な違いを母親は理解できないんだから、嫌になる。
    それも、早く寝付けるように、漫画をパラパラと読みながら自然な眠りに
   入れるようにしている俺の工夫も理解せず、
    「またうたた寝して!電気だけは消してっていってるでしょ!」
    と、きめつけるんだからな。
    深い自然な眠りがいかに大切か、なんて俺のデリケートな体調ちか神経と   かは、どっちの親にも似ていない俺だけの特徴かも。
    とにかく、真夜中になんか母親にわめかれたような記憶があるような、な
   な程度の睡眠妨害のダメージしか受けなかった俺は、満足のいく眠りを満喫
   したのであった。