物語エトセトラ

気分は小説家?時に面白く、時に真面目に、物語を紡ぎ出す

ゆうきのサバイバル日記 (32)

2007-05-31 | Weblog
           ははたおれる!?
 それは、ある日突然起こった。
 俺が、風呂からあがり、ドライヤーでサッと髪を乾かしていた時だった。
 
  ガタガタ、ドッ、ドドッツ、ドシッ、ドン
 とでも、表現したらいいのか、とにかくけたたましい音がリビングから聞こえてきたんだ。驚くよな。
 なにしろ、夜の12時だぜ。家の中で出す音じゃないだろ?普通は?
 リビングには確か母親がいるはず・・・・何事?俺は少し不安になった。
 「お母さん!?何の音?」
 声をかけたが、応答がない。
 俺がリビングへ行こうとしたら、パタパタと二階からアニキが下りて来た。
 「おい勇気、何の音だ?」
 「わからんけど、お母さんしかいないはず・・・」
 「おかあさん!?」
 一足先にリビングに入ったアニキが叫ぶ。
 アニキの肩越しに、ダイニングテーブルの足元に母親が倒れているのが見えた。 「おかあさん!?どうした?大丈夫?
  おい、勇気。お父さんを呼べ!」
 アニキに言われ、俺は父親の部屋へ向かった。
 足が震える。心臓がパクパクいってるのが分かる。
 声を出そうとするけど、のどの奥が詰まったようになって、うまく声が出ない。 「お父さん、お父さん。お母さんが!」
 なんとか父親を起こして、リビングへ。
 母親は、目を開けていた。しかし、どこか痛そうに、苦しそうに顔をゆがめる。 「おい、どうしたんだ?大丈夫か?」
 母親は答えようとするが、声にならないようだ。無理にしゃべらせて大丈夫か? 「・・・・・・・・こ、こ・・し・・・、腰が・・・」
 「?・・・・腰のあたりが痛いのか?」
 「・・そ・・・。膝も・・・いたっ・・」
 「え?膝?ぶつけたのか?」
 「痛くて、それで・・・倒れて・・・」
 「・・・え?・・・」

 少しずつ落ち着いてきた母親が言うには、つまり、
 座ってアイロンがけをしていた母親が、かけ終って、立って台所へ歩こうとしたら、膝が痛くて かつ十分に伸びなくて、よろけたらしい。
 おまけに腰も痛くて、体勢をたて直せずテーブルに激突。倒れた時にイスの角に頭をぶつけ、脳震盪を起こしたらしい。
「痛たたっ・・・」
 と言いながら、母親はテーブルにつかまりながら、足を引きずるように歩く。
 すごく痛そう。
 そういえば、よく腰が痛いから少し揉んでくれとか、膝が痛いとさすっていたりしていたような・・・・
 とにかく、たいしたことがなくて? よかった・・・・よな?
 さすがに、俺もビックリした。
 まだ、心臓がバクバクいっている。
 しかし、パニくると、救急車を呼ぶこともすぐには思いつかないものだ。
 まあ今回は、急いで呼んだりしなくて、かえってよかったけどさ。

 人騒がせな「母倒れる事件」は、突然始まりなんとなく、収束しそうだった。
 俺は、自分でいうのもなんだが、まあ結構「いい子」だから、明日からは少しくらい母親の腰をさすってやってもいいかな、とか思った。
 父親にいわれて、明日は整形外科へ行くようだし、この騒ぎはこれでお終いかと本当に思った。

 ・・・・・しかし、これが俺の生活に新しい危機をもたらすことになった。     

ゆうきのサバイバル日記 (31)

2007-05-20 | Weblog
          ことわざ考  (2)
  「目くそ鼻くそを笑う」については、難しいことはない。
  目くその方が100倍まし!っていうことは明らかだが、ややこしいのは
 「五十歩百歩」である。
  知らない奴のために少し説明すると、
 「戦争があって、ある時、何に驚いたか知らないが(大きな音とかじゃないか?
  知らないけど)、急にみんなが逃げ出した。なんでもないと分かった時、五十
  歩逃げた奴が百歩逃げた奴に「臆病者」とか言ってバカにした」ってやつ。
  
  結局、逃げたことに変わりはないってことで、同レベルなんだというが、なん
 かおかしくない?
  五十歩の奴が、百歩の奴を臆病って言うけど、同時に逃げたのなら、少しでも
 遠くへ逃げた奴のほうがマシじゃないのか?仮に百歩の奴が先に逃げ出したとし ても、それは五十歩の奴がのろま・鈍いってことじゃないか?
  まあ、一緒に逃げ出して、早く我に返って止まったのなら、これは五十歩の方
 がいいかな?でも、そんな奴だったら百歩の奴をバカにはしないんじゃないか? 少なくとも「臆病者」とは言わないだろう。
  「あわてもの」とか「早とちりな奴」とか、違う言い方すると思うけどな。

  「目くそ、鼻くそ」にしても、深く意味を考えずに知ったかぶりして、簡単に
 使うなってことを俺は言いたい!!

  俺が貴重な勉強時間をさいて、ここまで考えたっていうのに、真剣に聞こうと
 する奴は誰もいないんだからな。
  「あれだけ分かりやすく教えてあげたのに、まだそんなこと言ってるの?」と
 は、何事だ!
  自分が人の話をちゃんと聞くこともしないで、人に意見なんかするな!
  こんな思慮に欠けた奴らと毎日毎日付き合っていかなければいけない俺って、 自分でいうのも何だが、かなり偉いと思う。
  
  部活で疲れ、家でも馬鹿な会話につき合わされ、俺はクタクタ。それなのに、 さらに勉強??!!
  どこにそんな余力があるっていうんだよ。
  1日は24時間しかないんだぞ。
  人が、たまにテレビを見ようとすると、
  「また、テレビ?!」とは、失礼だろ?
  だいたい、「テレビを見る」っていうのは、最低1時間は見て、はじめて使え
 る言葉じゃないか。10分や20分や30分くらいで、気安く「テレビを見る」 なんて言わないでほしいよ。
  ことわざも、言葉も、正しく使わなきゃ意味がないんだよ。

  (我ながらいいことを言うと、なんか感激。
    今日は気分よく眠れそうだぜ。 おやすみ!!)  

ゆうきのサバイバル日記 (30)

2007-05-14 | Weblog
          ことわざ考 (1)
 今日は真面目に、ことわざについて考えてみようと思う。
 そう書くと、いつもは真面目じゃないみたいだが、俺はふざけて書いたことは無い。内容が時々ばかみたいに思えるのは、俺の日記に登場する奴のレベルの低さが原因なのだ。
 世の中もいろいろ変な奴がいて、ばかみたいな事件を起こしているが、変な奴はどこにも結構な数いるもので、そんな中を正気を保って生きていくのは、もうそれだけでかなりサバイバルな日常だと、俺は思う!!
 
 そもそもの始まりは何だったのか忘れたが、食事の時に、俺とアニキとが些細なことから意見が対抗して(口喧嘩じゃないぜ、意見の対立ってやつ)、どっちもゆずらなかったんだ。
 「あんたたちは、全くくっだらないことでいつまでも。
  そういうのを低次元での争いっていうのよ。
  どっちもどっち。
  どんぐりの背比べ。
  聞いてて情けない。
  五十歩百歩。
  そして、目くそ鼻くそを笑う、っていうやつ!!
  ああ、こんな低いレベルの子の親かと思うと情けない!!」
 それまで黙って(ひとりで黙々とおやつを食べながら)聞いていた母親が、いっきにまくしたてた。
 「なんや、それ?」
 「おまえ、それくらいのことわざも知らんのか?
  お母さん、いくらなんでも俺と勇気をいっしょにするなよ」
 「なんだと?!」
 「分かりやすく言えば、お前の方がバカさ加減のレベルが上ってことだよ。
  よかったな、俺よりレベルが高くて。
  いやあ、すごい。勇気にはかなわないぜ」
 「ああ?なんや、それは?」
 「また!やめなさいって。
  だから、そういうのを目くそ鼻くそを笑うって言うんだってば」
 「そうやぞ、兄ちゃん!
  言っとくけど、目くそは俺で、兄ちゃんが鼻くそだからな!」
 俺がこう宣言すると、アニキも母親も一瞬黙った。
 こういうときは、早く機制をせいして有利な立場を獲得した方がいいんだ。
 が、しかし、静まり返ったのはほんの一瞬で、二人は大爆笑。
  どうしたんだ??

  「勇気、おまえ本当に意味わかっとらんなあ。
   お母さん、俺をこんな奴と同列にするなよ」
  「あのねえ、これは、目くそ君が 鼻くそ君に向かって、俺よりお前の方が汚
   い奴だってバカにするってことなの。
   汚いことではいっしょなのに、自分の汚さを棚に上げて、相手をあざ笑うバ
   カさ加減を意味してるの!
   分かる?今の勇気の言ってることがまさに、それなワケよ」
  「そんなことくらい、わかっとるわい!
   だから、俺が目くそで、兄ちゃんが鼻くそなんだって。
   フン、鼻くそ!」
  俺はアニキに向かって、言ってやった。
  「はああ?
   そこまでバカか?」
  なにがバカだ、鼻くそアニキめ。
  「目くその方が、断然きれいに決まってるだろうが!」
  「だああああ・・・・
   ホント、やってられないぜ」
  「勇気、あんた、人が丁寧にわかりやすく説明してあげたのに、何聞いてるの   よ?もう一回説明してあげるから、ようううっく聞きなさいよ」
  母親がまた説明する。
  そんなこと、何度も聞かなくてもちゃんと分かるっていうの!
  要するに、目くそが鼻くそよりきれいだってことだろう?
  そして、今の場合は、鼻くそのアニキの方が、目くその俺よりバカだ(汚い)
  ってことなんだ。
  俺はちゃんと分かっているのに、
  「勇気、今度こそ分かった?」と、しつこい。
  「初めから分かってるって!
   とにかく、目くそは俺だからね!」
  「・・・・・・だから、勇ちゃん・・・・」
  母親は何がおかしいのか笑って、涙まで出してる。
  「勇気。おまえ、そんなんじゃ日本で生きていけないぞ。
   言っとくが、小学レベルの国語くらい、分かれよな。
   ああ!!!バカになりそうだ」
  自分のバカを人のせいにするなんて、セコイ!
  鼻くそアニキは、席を立って部屋へ行った。
  俺に言い負かされて、退散したってわけだ。
  「勇ちゃん、頼むから、学校では、自分のこと目くそだって言わないでよ?」  真面目な顔で、俺に言うか?