東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【後期】「聖徳太子と法隆寺」展(東京国立博物館)

2021年08月30日 | 展覧会(日本美術)
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展
聖徳太子と法隆寺
2021年7月13日〜9月5日
東京国立博物館
 
   前期に引き続き後期を訪問。
 
   国宝《聖徳太子および侍者像》平安時代・1121年を見て、国宝《四天王立像  広目天》《同  多聞天》飛鳥時代(7世紀)を見て、国宝《薬師如来坐像》とその《台座》飛鳥時代(7世紀)を見て、国宝《伝橘夫人念持仏厨子》飛鳥時代(7〜8世紀)を見て。前期限りの国宝《天寿国繍帳》飛鳥時代・622年頃(中宮寺)がいないのは寂しい。
 
   後期訪問前に、芸術新潮2021年7月号の特集と、頂いたコメントにて、にわか学習するが、急には効果は現れず、上記のような、前期と変わらない鑑賞スタイルとなる。
   ただ、国宝《薬師如来坐像》の光背裏面の銘文を意識して見る。「鏨で文字を彫った時の「めくれ」を処理していない」ことの確認は漏れている。
   また、国宝《四天王立像  広目天》《同  多聞天》の光背の銘刻も見る。多聞天の作者名「薬師徳保」はよく見えるが、広目天の作者名「山口大口費」は高い位置で文字も小さめで読みづらい。
 
   後期出品では、聖徳太子関連の絵画、太子16歳のお若い姿を描いた重文《聖徳太子立像(孝養像)》(鎌倉時代13世紀・法隆寺)や、太子と太子ゆかりの人物・遺品を密教の曼荼羅に倣って描いた重文《聖皇曼荼羅》(鎌倉時代1254年・法隆寺)あたりを、国宝《聖徳太子および侍者像》の太子の森厳な面持ちと侍者たちのユーモラスな表情とともに、興味深く見る。
 
   こうして法隆寺の名品を見ていると、現地に行きたくなる。
   金堂や五重塔のある西院伽藍。名宝を安置する大宝蔵院。夢殿のある東院伽藍。加えて国宝菩薩半跏像を本尊とする東院伽藍隣の中宮寺。法隆寺は、日本美術の最も素晴らしい「美術館」だと思う。


2 コメント

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テレビ番組情報 (むろさん)
2021-08-30 13:58:21
法隆寺の飛鳥仏に関するテレビ番組の情報です。8/31火23:15~23:45 NHK BSプレミアム「見たことのない文化財 秘仏救世観音」。法隆寺夢殿救世観音を精密に計測したデータから3DCGを制作、テクノロジーの力で救世観音の素顔に迫る とのこと。同番組の紹介URLは下記の通り。
https://www4.nhk.or.jp/P6741/x/2021-07-22/48/34660/3151307/
https://www.nhk.jp/p/ts/6L496K3Z7R/

元々は8K放送で遮光器土偶、洛中洛外図屏風、救世観音、百済観音の4回分が放送されていたようですが、現時点で再放送予定があるのは8/31の救世観音だけです。また、8/28の深夜、地上波のEテレで「百済観音」の再放送をしていました。高精細画像や頭上からの映像、東博でのCTスキャン映像(コロナ禍で開催できなかった展覧会の準備作業)などが出ていました。なお、現在東博平成館1階で実施している救世観音、百済観音に関する8K文化財の上映も、この番組制作に関連して作ったもの(短縮版)のようです。百済観音の回も地デジやBSで再放送があるかもしれませんので、ご興味あれば今後の放送予定に注意してみてください。

ついでに東博の聖徳太子展のことも少し。
金堂薬師如来について、位置が高くて光背銘の文字がよく読めなかったと前コメントで書きましたが、美術史の専門家(東海学園大学 小野佳代氏)のツイッター(下記)を読んでいたら、奈良博の展示ではもっと低い位置に展示していて、足の爪まで見ることができたそうです。何故東博の展示では高くしてしまったのか、光背銘の文字を読める機会など一生に一度しかないはずなので、残念です。(奈良博での展示を踏まえ、法隆寺の根本本尊であるという信仰上の理由から、お寺側が要望したのかもしれません。小野氏が言うように「崇高な印象」「手の届かない存在」にしたかったのでしょうか。)
https://twitter.com/butsuzo_k/status/1419971940857438209
なお小野氏は興福寺南円堂法相六祖像の研究や最近では中部地方の仏像調査で知られる研究者です。

また、薬師如来の制作年代について、図録解説には「7世紀前半、釈迦三尊像とそれほど違わない時期」の可能性が述べられていますが、芸術新潮9月号の大橋一章氏(上記小野氏の師)の文章でも舒明天皇朝(630年代)という「623年の釈迦三尊以降」で「670年の天智火災以前」の年代を打ち出しているのを読み、最近の研究者は「607年の光背銘」は後から入れたもの(あるいは光背自体が像本体より後)であっても薬師像本体は釈迦三尊からあまり時を経ていない頃の制作(擬古作ではない飛鳥仏)とすることで落ち着いてきたのかと認識したところです。
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Unknown ()
2021-08-31 17:09:52
むろさん 様
コメントありがとうございます。
金堂薬師如来の展示位置について、芸術新潮2021年7月号掲載の奈良博の展示風景写真で確認しましたが、ずいぶん低い位置ですね。東博の展示位置では、確かに、手の爪、足の裏、足の爪は見えない?見えづらい?(意識して見てないのでどの程度か分からないですが)印象。

番組情報、ありがとうございます。録画します。
引き続きよろしくお願いいたします。
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