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【画像メモ6】 暦 - 「内藤コレクション 写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙」(国立西洋美術館)

2024年07月26日 | 展覧会(西洋美術)
内藤コレクション
写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙
2024年6月11日〜8月25日
国立西洋美術館
 
 
7章「暦」より
 
 第7章では、写本に収められた暦を特集します。
 キリスト教における日々の礼拝の内容は、教会暦(キリストの生涯を一年の周期にあてはめて編成した暦)に従って決まります。このため詩編集や聖務日課書、ミサ典礼書、時祷書などでは、巻頭に暦が所収されているのが通例でした。
 
 No.138の例では、まず各月の冒頭には、イニシャルKL(「朔日(ついたち)」を意味するラテン語KALENDAEの略)に続いて、当該月の日数や、「エジプトの日」と呼ばれる不吉な日などが朱書きされています。
 
No.138
《時祷書零葉》
フランス東部、15世紀後半
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
 その下の表の一番左の列に、ゴールデン・ナンバーと呼ばれるiからxixまでのローマ数字が一見ランダムに記され、その右の列には、曜日を表すaからgの7つのアルファベット(主日字という)が繰り返し現れます。
 暦は特定の年のためのものではなく、どの年にも通用するよう作られており、ゴールデン・ナンバーと主日字の組み合わせによって、その年の日付と曜日の対応が分かるようになっていました。
 左から3列目には、カレンダエ(Kalendae/朔日)、ノーナエ(Nonae/月により5日または7日)、イードゥース(Idus/月により13日もしくは15日)というユリウス暦における3つの基準日と、それらの日から逆算して何日目であるかを表すローマ数字が並び、4列目にはそれぞれの日がどの基準日のグループに属するかが示されています。
 そして、一番右の列には、キリストやマリアの生涯における重要な出来事や聖人の祝日が記され、特に重要なものは朱書きされています(時祷書の場合は、必ずしも厳密な色分けではなかった)。
 ここに特定の地域でしか崇敬されない聖人名があると、それは写本の制作地を特定する貴重な手掛かりとなります。
 
 
 
 暦にはまた、しばしば挿絵も添えられました。その中心的な主題としては、各月に典型的な農作業やレジャーの情景を描いた月次絵のほか、月ごとの星座図が挙げられます。
 
No.134
《時祷書零葉》
フランス、ノルマンディー地方(おそらくクータンス)、1420-30年頃
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
 
 
Nos.136-137
《詩編集零葉》
南ネーデルラント、ブリュッへ、1260年頃(?)
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
5月:鷹狩り
 
6月:丸太の束を担ぐ農夫(洗礼者ヨハネの祝日前夜に行われる焚火を示唆)
 
7月:干草刈り
 
8月:麦刈り



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