東京でカラヴァッジョ 日記

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国芳展にて、安田雷洲の絵画に驚愕する。(府中市美術館)

2017年03月13日 | 展覧会(日本美術)

歌川国芳 21世紀の絵画力
2017年3月11日〜5月7日
前期:〜4月9日、後期:4月11日〜
府中市美術館

 

   毎年恒例の府中市美術館「春の江戸絵画まつり」に行く。


   今年は、歌川国芳である。
   前後期で全作品を展示替え、約240点の国芳作品が出品されるとある。


   で、たくさんの国芳作品を観ていると、国芳ではない、想定外の画家の作品に出会い、驚愕する。

 

安田雷洲
《赤穂義士報讐図》
江戸時代後期(19世紀)
本間美術館


 

   「忠臣蔵」の一場面。赤穂浪士が吉良邸に討ち入り、吉良の首級をあげて、亡君の無念をはらす。


   描かれたのは、討ち取った吉良上野介の首を、大石内蔵助が抱えている場面。
無念をはらした場としては、明らかに異様な雰囲気。


   実は、この絵は、西洋の聖書の挿絵「羊飼いの礼拝」をもとに描かれたのだ。

 

   聖書の挿絵の原画の作者は、アルノルド・ハウプラーケン(1660-1719)。

   2016年の森アーツセンターギャラリー「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」の最終章「オランダ黄金時代の終焉」は、画家の作品1点のみで構成されたほどの、よくわからないが凄そうな画家が作者である。


   そして、国芳と同時代の画家である安田雷洲は、原画をほぼそのまま活かしたうえで、原画の羊飼いたちを赤穂浪士に、原画の聖母マリアを大石内蔵助に、原画の幼児キリストを吉良上野介の首に替えて、描いたのだ。


   これは、確信犯であることは疑いようもない。
   赤穂浪士たちは皆、愛でるものを見る目をして、吉良の首を見ている。実に異様。


   こんな異様な絵を、国芳を題する展覧会で魅せてくれる府中市美術館。今後も、府中市美術館「春の江戸絵画まつり」から目を離せない。

 

アルノルド・ハウプラーケンの原画


安田雷洲
《赤穂義士報讐図》
江戸時代後期(19世紀)
本間美術館

 http://www.homma-museum.or.jp/collection  

 

 


wikipediaより


   アルノルト・ホウブラーケン(Arnold Houbraken, 1660年3月28日 – 1719年10月14日)は、オランダの画家、著述家。現在ではオランダ絵画黄金時代の画家たちの伝記『大劇場』を残したことで知られている。

   彼の『大劇場』には17世紀の画家たちの伝記が約500収められている。3巻から成るこの書はカレル・ヴァン・マンデルの『画家列伝』や サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの『絵画芸術の高等画派入門』に倣って書かれた。また、他の人物が書いた伝記からの引用も含まれている。

   ホウブラーケンは1719年に亡くなったが、彼の妻が引き継いで彼の本を完成させた。ホウブラーケンの死後30年経って拡充された第二版が出版された。彼の本は美術史家にとって重要なもので、1976年に第二版のファクシミリ (書誌学)がアムステルダムで出版された。この本は現在Digital library for Dutch literatureで読むことができる。重要な画家として500名程、その他に150名が列挙されている。この本は出版関係者を含めると1000名近くの人物に言及している。



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