大念佛寺・幽霊博物館
大阪市平野区平野上町
毎年8月第四日曜日10時〜16時
その存在を知って約5年、年1日限りの一般公開、大阪市平野区の大念佛寺の幽霊画、その鑑賞がついに実現する。
JR平野駅から徒歩5分、大阪メトロ平野駅から徒歩8分の場所にある大念佛寺。融通念佛宗の総本山、創建1127年、国宝や重要文化財も所蔵する寺院であるという。
大阪メトロ平野駅から向かう私、「平野 町ぐるみ 博芸・博物館」のチラシを見かけて安心する。やっている。
この辺りは、町づくりの一環として多数のミニ博物館が運営されていると聞いていたが、年1回の特別日であるこの日は、30の博物館オープンあるいはイベント開催が行われるとのこと。
気になる博物館は多数あるものの、時間の制約から大念佛寺のみの訪問とする。
到着。大念佛寺の南門。
旧古河藩の陣屋門。その後、跡地に作られた小学校の表門として昭和2年まで使用されたのち、昭和37年にここに移築されたのだという。
幟に「幽霊博物館 毎年八月第四日曜日 十時〜十六時」とある。毎年、この時期限りで使用しているのだろうか。
幽霊博物館は、こちらの建物内。
入場制限時の待ち行列用に大きなテントと椅子が用意されている。この日も猛暑日で厳しい日射し、有難い配慮である。
「幽霊博物館」。インクの垂れた文字がおどろおどろしい。
幽霊博物館に入る。
入場無料。写真撮影不可。幽霊画の説明紙(両面コピー1枚)が用意されている。
最初の部屋には、「片袖縁起」(絵巻)と「亡女の片袖・香盒」が展示。
大念佛寺サイトより
箱根権現参拝の巡礼者が山中で摂津住吉の社人松太夫(まつだゆう)の妻の霊に出会い、平野大念佛寺の道和上人に回向をうけられるよう夫に伝言される。巡礼者は松太夫宅で事の次第を伝え、亡女より証拠にと授けられた片袖と香盒(こうごう)を手渡し、松太夫は上人に回向を願い法要は夜を徹して行われ、お礼に現れた亡女は成仏を告げて消え去るという物語。絵は土佐光芳。
次の部屋、お目当ての掛け軸の幽霊画12点に三方から囲まれる。室内にはおどろおどろしい音楽が小さく流れる。
1)累怨霊の図
2)平知盛亡霊図
3)姑獲鳥図
4)菅公怨霊図
5)皿屋敷お菊亡霊図
6)囲碁師亡霊図
7)仙台高尾亡霊図
8)小幡小平次亡霊図
9)笑い般若図
10)柳下幽霊図
11)野晒し図
12)佐倉宗吾怨霊図
赤と青の描線が意味ありげにうっすらと描かれている作品が多い。これら12点はセットで制作されたのだろうか。
一番印象に残るのは《笑い般若図》。深夜、屋根の上に腰掛けて笑っている老女の姿の亡霊。一見楽しそう。主題は不明だが「俗説に人が死んで49日の間(これを中有という)は、霊魂は屋の棟にとどまるという説があった」と関連あるかも、との説明。
以上2室に14点の展示。確かにミニ博物館。私的には、気になっていた幽霊画に対面できて満足。
幽霊博物館を退出後、大念佛寺の境内を歩く。
案内図。
ちなみに幽霊博物館は、2番「瑞祥閣」を利用。
13番「山門」。
「山門」から1番「本堂」を撮る。
「本堂」を別角度から撮る。でかい。大阪府下最大の木造建築とのことである。
撮影は忘れたが境内にはもう一つミニ博物館がある。
「わたの博物館」。平野を含む河内地方は河内木綿の一大生産地。その河内木綿の伝統を紹介するミニ博物館。毎月1回(第4日曜日)のオープンとのことである。