14年前の作品ですが、初見でした。
ライビュじゃないゲキ×シネは久しぶりで。
ブログ書けてないけど「阿修羅城の瞳」「蒼の乱」と、天海祐希さん主演作を立て続けに見て以来かな。
(そう言えば「修羅天魔」も書けてない…天海さん主演作は書きにくいんだよね私。
「天海祐希カッコいい」でだいたい終わってしまうからか。)
日程的にはハードだったのですが(1日しかやってくれなかったし)
それでも行こう! と思ったのは、今年花組さんがやった「MESSIAH」と比べて見たかったから。
もちろん、上演時間が宝塚の倍なので、単純比較がフェアじゃないのはわかった上で。
こっちを先に見たんじゃなくて良かった…!と切実に思いましたよ。
や、さすがの中島かずきなので、悲劇でもギャグ展開は忘れない。
これを見てから花組さん見てたら、マイティとちなつちゃんのシリアス場面で
思い出し笑いが止まらなくなるところだった。
中川あっきーの「神の声」ぶり、秋山奈津子さんの本気のヒロインぶり、
杏子さんの歌声の「説得力」、大塚ちっひーとか泉見洋平君のピュアな美しさ。
2004年、ということは私はその前後の東宝ミュージカルをまあまあ見ていて、
ちっひーと泉見くんは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」だよな(2006年か)とか
あっきーと高橋由美子さんは私の中では「モーツァルト!」の姉弟なのよね、とか
てゆーかどっちにも吉野圭吾さん出てたやんとか、
懐かしさに胸が熱くなる。
そしてM!もDOVも安定のイロモノ枠だったけど、あの頃の圭吾さんって
レミゼのアンジョルラスとかの正統派美形もやってるのよねと遠い目になる。
(DOVの幕間で周辺の方が「ギャップがひどい」とのたまっていた)
そう、圭吾さん、さすがの美しさと達者さなんだけど、最初「誰だっけ?」と
思ってしまったぐらいには、周囲が濃すぎる(酷)
秋山奈津子さんは2007年「キャバレー」でミス・シュナイダー、
2013年「鉈切り丸」で主人公の母親、と老婆役を多く見てるんだけど、
いのうえひでのり演出の「牡丹灯籠」(テレビで見た)だと
わりと若い女の役だったのよね。実年齢が本当に謎。
今回は若い役ではないんだけど、本当に「いい女」だった。
ラスボス・「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱@江守徹。
とにかく美声! そしてこれは「真田十勇士」の時の里見浩太朗でも思ったけど、
「本物来た!」感がすごい。
ストーリー的にすごく好みだったのは、
37000人の全滅という動かしがたい「史実」への向き合い方。
もちろん信仰上の救いとか観客側のカタルシスとかは担保しつつ、
迫力ある群衆シーンも作りつつ、
シローの「絶望」と、四郎の「無力」と、人々の「狂信」とをきちんと描くことで、
「こんなの間違ってる、正しくない」という印象をきちんと残したこと。
(「あんたらが始めた戦だろ」という糾弾が痛かった)
人々を死へと追いやったのは、第一には伊豆守の策略なんだけれど、
その策略と、四郎の無力感と益田家の人々の打算がシローを巻き込んだこと。
人の及ぶ力ではないシローの「歌」を弄んだ報いのように、
絶望したシローの暴走を止めることは四郎にはできない。
闇堕ちする上川隆也、の破壊力。
中島かずき作品の上川隆也が、毎度のことながら好きすぎる。
シローにリオとの過去を打ち明ける場面、
「マルチリ(殉教)」の熱狂を止められない無力さに膝を折る場面、
ジュアンが息絶えて一人残された場面、
彼の狂気に飲み込まれる。
物語のバランスさえも破壊してしまうような、圧倒的なパワー。
でも闇の面だけじゃなく、普通にリーダーとして有能な姿とか、
柳生十兵衛@橋本じゅんとの殺陣のカッコ良さとか、真っ当にヒーローなのが良い。
久しぶりに無双する上川さんが見たくなったので、「蛮幽鬼」DVD引っ張り出そうか。
「島原の四郎」(益田四郎時貞)「天草の四郎」(シロー)という対比の妙、
(キリシタン目付もそれぞれにいて対比になってるのも好み)
「板倉うじ」「松倉うじ」というオタクくさいやり取り(笑)、
まぁ、鎖国と乱の順序が逆じゃね?とか、バテレンに子供がいていいのか?とか、
多少のツッコミはあるけど、物語上のウソとしては許容範囲だし。
そして、サン・ジュアンこと山田寿庵@高橋由美子がものすごく好みでした。
(山田右衛門作=祐庵の娘という設定。花組メサイアではカレー君の役にあたる。)
もちろん、当時由美子さんがやっていたナンネール・モーツァルトとか
とっても好きだったので、その美声も堪能しつつ、
どこまでいっても「準」ヒロインという報われなさが好み。
経営者としても統治者としても有能だし軍師として信頼もされてるんだけど、
リオの存在には勝てないしお蜜にも揺るがされるし。
(というかシローだったんだと思う、彼女のライバルは。)
誰よりも四郎のことを理解していて欠点ごと四郎を愛しているのに、
四郎が欲しいのはそういう愛じゃないという報われなさ。
(四郎はヒーローに戻りたいんだよね。「そのままのあなたが好き」では救われない)
最後に四郎の腕の中で息絶えて、四郎は彼女を救うためだけに一瞬力を取り戻して、
四郎の心とジュアンの命は救われるんだけど、
彼女が欲しかったのはそういう報われ方じゃないよね。
(彼女は四郎と一緒に死にたかったはず)
確かに最後に四郎は振り向いてくれて、片想いが報われはするんだけど、
報われ方それでいいのか、というもどかしさがたまらなく好き。
高田聖子さんは敵サイドだけどいい女で、
橋本じゅんさんは映画館でもどっかんどっかん笑わせる。
吉野圭吾さんへのいじり方と、
池田成志さんと江守徹さんに挟まれてカミカミながらもアドリブやり通す姿と。
新感線のミュージカル第一弾だったということで、いろいろ未成熟な部分も多いけど、
素晴らしい作品でした。
ライビュじゃないゲキ×シネは久しぶりで。
ブログ書けてないけど「阿修羅城の瞳」「蒼の乱」と、天海祐希さん主演作を立て続けに見て以来かな。
(そう言えば「修羅天魔」も書けてない…天海さん主演作は書きにくいんだよね私。
「天海祐希カッコいい」でだいたい終わってしまうからか。)
日程的にはハードだったのですが(1日しかやってくれなかったし)
それでも行こう! と思ったのは、今年花組さんがやった「MESSIAH」と比べて見たかったから。
もちろん、上演時間が宝塚の倍なので、単純比較がフェアじゃないのはわかった上で。
こっちを先に見たんじゃなくて良かった…!と切実に思いましたよ。
や、さすがの中島かずきなので、悲劇でもギャグ展開は忘れない。
これを見てから花組さん見てたら、マイティとちなつちゃんのシリアス場面で
思い出し笑いが止まらなくなるところだった。
中川あっきーの「神の声」ぶり、秋山奈津子さんの本気のヒロインぶり、
杏子さんの歌声の「説得力」、大塚ちっひーとか泉見洋平君のピュアな美しさ。
2004年、ということは私はその前後の東宝ミュージカルをまあまあ見ていて、
ちっひーと泉見くんは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」だよな(2006年か)とか
あっきーと高橋由美子さんは私の中では「モーツァルト!」の姉弟なのよね、とか
てゆーかどっちにも吉野圭吾さん出てたやんとか、
懐かしさに胸が熱くなる。
そしてM!もDOVも安定のイロモノ枠だったけど、あの頃の圭吾さんって
レミゼのアンジョルラスとかの正統派美形もやってるのよねと遠い目になる。
(DOVの幕間で周辺の方が「ギャップがひどい」とのたまっていた)
そう、圭吾さん、さすがの美しさと達者さなんだけど、最初「誰だっけ?」と
思ってしまったぐらいには、周囲が濃すぎる(酷)
秋山奈津子さんは2007年「キャバレー」でミス・シュナイダー、
2013年「鉈切り丸」で主人公の母親、と老婆役を多く見てるんだけど、
いのうえひでのり演出の「牡丹灯籠」(テレビで見た)だと
わりと若い女の役だったのよね。実年齢が本当に謎。
今回は若い役ではないんだけど、本当に「いい女」だった。
ラスボス・「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱@江守徹。
とにかく美声! そしてこれは「真田十勇士」の時の里見浩太朗でも思ったけど、
「本物来た!」感がすごい。
ストーリー的にすごく好みだったのは、
37000人の全滅という動かしがたい「史実」への向き合い方。
もちろん信仰上の救いとか観客側のカタルシスとかは担保しつつ、
迫力ある群衆シーンも作りつつ、
シローの「絶望」と、四郎の「無力」と、人々の「狂信」とをきちんと描くことで、
「こんなの間違ってる、正しくない」という印象をきちんと残したこと。
(「あんたらが始めた戦だろ」という糾弾が痛かった)
人々を死へと追いやったのは、第一には伊豆守の策略なんだけれど、
その策略と、四郎の無力感と益田家の人々の打算がシローを巻き込んだこと。
人の及ぶ力ではないシローの「歌」を弄んだ報いのように、
絶望したシローの暴走を止めることは四郎にはできない。
闇堕ちする上川隆也、の破壊力。
中島かずき作品の上川隆也が、毎度のことながら好きすぎる。
シローにリオとの過去を打ち明ける場面、
「マルチリ(殉教)」の熱狂を止められない無力さに膝を折る場面、
ジュアンが息絶えて一人残された場面、
彼の狂気に飲み込まれる。
物語のバランスさえも破壊してしまうような、圧倒的なパワー。
でも闇の面だけじゃなく、普通にリーダーとして有能な姿とか、
柳生十兵衛@橋本じゅんとの殺陣のカッコ良さとか、真っ当にヒーローなのが良い。
久しぶりに無双する上川さんが見たくなったので、「蛮幽鬼」DVD引っ張り出そうか。
「島原の四郎」(益田四郎時貞)「天草の四郎」(シロー)という対比の妙、
(キリシタン目付もそれぞれにいて対比になってるのも好み)
「板倉うじ」「松倉うじ」というオタクくさいやり取り(笑)、
まぁ、鎖国と乱の順序が逆じゃね?とか、バテレンに子供がいていいのか?とか、
多少のツッコミはあるけど、物語上のウソとしては許容範囲だし。
そして、サン・ジュアンこと山田寿庵@高橋由美子がものすごく好みでした。
(山田右衛門作=祐庵の娘という設定。花組メサイアではカレー君の役にあたる。)
もちろん、当時由美子さんがやっていたナンネール・モーツァルトとか
とっても好きだったので、その美声も堪能しつつ、
どこまでいっても「準」ヒロインという報われなさが好み。
経営者としても統治者としても有能だし軍師として信頼もされてるんだけど、
リオの存在には勝てないしお蜜にも揺るがされるし。
(というかシローだったんだと思う、彼女のライバルは。)
誰よりも四郎のことを理解していて欠点ごと四郎を愛しているのに、
四郎が欲しいのはそういう愛じゃないという報われなさ。
(四郎はヒーローに戻りたいんだよね。「そのままのあなたが好き」では救われない)
最後に四郎の腕の中で息絶えて、四郎は彼女を救うためだけに一瞬力を取り戻して、
四郎の心とジュアンの命は救われるんだけど、
彼女が欲しかったのはそういう報われ方じゃないよね。
(彼女は四郎と一緒に死にたかったはず)
確かに最後に四郎は振り向いてくれて、片想いが報われはするんだけど、
報われ方それでいいのか、というもどかしさがたまらなく好き。
高田聖子さんは敵サイドだけどいい女で、
橋本じゅんさんは映画館でもどっかんどっかん笑わせる。
吉野圭吾さんへのいじり方と、
池田成志さんと江守徹さんに挟まれてカミカミながらもアドリブやり通す姿と。
新感線のミュージカル第一弾だったということで、いろいろ未成熟な部分も多いけど、
素晴らしい作品でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます