空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

ミュージカル「ラ・マンチャの男」

2009-05-02 22:39:39 | 観劇(タカラヅカ以外)
今年で日本初演から40年だそうです。

最初に感じたのは、「これ、ほんまに40年前の幸四郎丈(当時は染五郎か)が演ったの?」
それぐらいの、圧倒的な説得力だった、「今」の幸四郎@セルバンテス/ドン・キホーテ。

幸四郎丈は、歌舞伎では見たことがあったんだけど、
舞台は変われどその「大きさ」は同じ。存在感が、舞台の空間を埋めてしまう。

それにしても、「泣きすぎ」ぐらいに、泣きました。
カーテンコールの間、ぐずぐずと涙と鼻水を流して、動けなかった。

途中からずっと頭に浮かんでいたのは、
「世界との戦い方」という言葉。
私の視点はずっと、アルドンサ@松たか子(さすがの華やかさ!)にあった気がする。
彼女にとってドン・キホーテは、初めて人間扱いしてくれた人。
そして、自分を取り巻く世界との「戦い方」を教えてくれた人。
更に言えば、その「戦い方」、戦う「手段」そのもの。

死んでゆくその瞬間に、「なぜ死ぬのか」ではなく、「何のために生きてきたのか」を
問わなければならない狂ったこの世界が、醜ければ醜いほど、
残酷であればあるほど、ドン・キホーテの言葉や態度の美しさが際立つ。
輝きを放つ。

狂っていても、荒唐無稽であっても、無力であっても、
ドン・キホーテがくれたものは、美しいから。
底に流れているものが愛だとわかるから。
絶望の淵から、アルドンサは生きる力を得る。

アロンソ・キハーノは「鏡の騎士」に打ち倒されて死んでしまっても、
ドン・キホーテは生き続ける。
その力が、その愛が、普遍のものだから。

 夢はみのりがたく 敵はあまたなれど
 胸に悲しみを秘めて 我は勇みて行かん
 道は極めがたく 腕は疲れ果つとも
 遠き星を目指して 我は歩み続けん


それにしてもよくできた話だ。
三重構造だからこそ、残酷すぎる展開にも耐えられるし、
そして物語の「中」の希望を、「外」に展開することができている。
空想の中のドン・キホーテ、戯曲の中のキハーノ、現実世界のセルバンテス、
「我らは、ラ・マンチャの男です」

私も、なれるだろうか、ドン・キホーテに。
現実と折り合いをつけるだけでなく、あるべき世界を目指して戦うことは、
できるのだろうか。


幸四郎丈の立て板に水の素晴らしい「語り」に魅せられながら、
がっぷり四つに組んで受け止める上條恒彦さんにも惚れました。

40年分の完成度。
本当に、素晴らしい舞台だった。
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2 コメント

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はじめまして! (mmmmm)
2009-05-03 23:11:59
ラ・マンチャの男、いいですよね!
大好きです!
でも今回ゎ見れなくて・・・。
この記事読んで、改めて、ラ・マンチャの男ってすっごいいいなっ!と思って
思わずコメントしちゃいました!

でゎww
返信する
Re:はじめまして! (Julie)
2009-05-08 23:54:23
コメントありがとうございます。
「ラ・マンチャの男」今回が初めてだったのですが、
本当に感動しました。
返信する

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