仲川、長倉のゴールでC大阪に競り勝ち、天皇杯8強進出。
FC東京のホームゲームながら、C大阪のホームスタジアム・ヨドコウ桜スタジアムでの開催となった天皇杯のラウンド16は、後半80分に長倉の決勝ゴールでFC東京がC大阪に競り勝ち、天皇杯ベスト8へ進出した。
全体的に見ると、前半30分ほど経った時に、左SBの白井が怪我で室屋への交代を余儀なくされたことを含め、C大阪が主導権をおおよそ握っていた展開ではあった。ラファエル・ハットンのペナルティエリアへの飛び出し、ルーカス・フェルナンデスのFKなど、どちらかといえば、C大阪がいくつかチャンスを作っていたが、FC東京がアレクサンダー・ショルツのディフェンスやGKキム・スンギュのセーヴなどで得点を許さず。前半の終盤になって、ようやくセカンドボールを回収し続け、長倉のシュートや、バングーナガンデのFKからゴール前ファーサイドに飛び込んだ佐藤恵允が足を伸ばすも僅かに届かずなど、C大阪陣内でシュートチャンスを得ることが増えたが、得点には至らなかった。
後半からは、怪我明けのエンリケ・トレヴィザンが、最初から45分の試運転の予定だったのか、岡に交代。FC東京が攻めると、C大阪も引き続きルーカス・フェルナンデス、ラファエル・ハットンあたりへボールを渡してカウンターを発動させる。一進一退、膠着状態が続きそうに思い始めた55分、長倉のスルーパスに反応した仲川が抜け出し、ペナルティエリアから右脚を振り抜くと、C大阪・GKキム・ジンヒョンの右手にシュートがゴールマウスへ吸い込まれ、FC東京が先制。だが、その5分後、C大阪は右サイドへ攻め込むと、ルーカス・フェルナンデスが中の喜田へマイナス気味の浮き球パスを出すと同時にペナルティエリア内へ侵入、喜田がペナルティエリア内へ出したスルーパスを受けると、野澤零温と東慶悟が寄せてきたタイミングでペナルティアーク付近にいた香川へ戻す。慌ててアレクサンダー・ショルツが詰めようとするも、フェイントしてタイミングをずらし、ペナルティエリア外から香川が巧みなグラウンダーシュートを右下に決めて、C大阪が同点に追いつく。
FC東京が支配率を上げつつも、C大阪が素早いカウンターを狙う展開で進むなか、75分にC大阪・本間が決定機を迎えるもGKキム・スンギュがセーヴしてピンチを免れると、その5分後に途中出場の俵積田が左サイドからドリブルで中央へカットインし、右サイドの佐藤恵允にパス。ペナルティエリア手前から佐藤恵允がファーサイドへ浮き球クロスを送ると、C大阪・西尾の頭を越えたボールを収めた長倉がゴールへ流し込んでFC東京が勝ち越し。その後、C大阪が幾度か好機を迎えるが、GKキム・スンギュの好セーヴを軸に守り切り、FC東京が逃げ切りに成功した。
スタッツを見ると、シュート数はFC東京6本、C大阪9本、そのうち枠内シュートはFC東京4本、C大阪6本。前半はその終盤以外はC大阪が優勢な時間帯だったことを考えると、内容としてはあまり褒められたものではなかった。シュートを打って終わる展開になかなか持っていかれず、打ったシュートも枠内が少なかったのと、常にC大阪のラファエル・ハットン、チアゴ・アンドラーデ、ルーカス・フェルナンデスの強力外国人3枚と香川とのコンビネーションに脅かされた印象だ。しかしながら、決められるチャンスを確実に決めたのがFC東京で、それを活かせなかったのがC大阪ということだったか。
ポジティヴな点でいえば、週末にリーグ戦があることを考えれば、90分で勝ち切ったことと、白井の怪我で室屋が急遽出場するアクシデントはあったが、マルセロ・ヒアン、橋本、安斎を使わずに済んだことは大きい。とはいえ、全得点に絡んだ長倉以外で好機や効果的な組み立てがあまり見られなかった。守備でもGKキム・スンギュやアレクサンダー・ショルツを中心にC大阪の攻撃を阻んでいたが、クロスで競り勝てない場面も散見され、香川のシュートが巧みだったとはいっても、得点してそれほど時間が経たないうちに失点をしてしまっているのは、今季当初から改善されていない課題でもある。結果がすべてのトーナメント戦ではあるが、カップ戦でもリーグ戦でも失点癖を修正しないと、実力ある相手との対戦では、勝利や勝ち点を捥ぎ取ることが難しくなる。
ともかく、勝利という結果が最重要な天皇杯で上位に駒を進めたことで、それをリーグ戦への勢いやチームの上昇気流を生む流れへ繋げられた。不安定な要素も少なくないゆえ、勝って兜の緒を締めよ、細心の注意を払って、週末の鹿島戦への準備を怠らないようにしたい。
なお、天皇杯の準々決勝の対戦カードは、8月7日17時から行なわれる組み合わせ抽選会で決定。この日勝ち上がった、広島、FC東京、町田、神戸、相模原、浦和、鹿島に来週8月13日の東京V対名古屋の勝者を加えた8クラブが、頂点を目指して挑むこととなる。
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天皇杯 ラウンド16(4回戦)
2025年8月6日(水)18:33KO
ヨドコウ桜スタジアム
入場者数:6,136人
天候:晴れ / 気温:33.7℃ / 湿度:60%
主審:福島孝一郎
副審:長谷川雅、坂本晋悟
第4の審判員:今村義朗
FC東京 2(0-0 / 2-1)1 C大阪
【得点】
(東):仲川輝人(55分)、長倉幹樹(80分)
(C):香川真司(60分)
〈試合経過〉
31分 交代 東京 白井康介 → 室屋 成
46分 交代 東京 エンリケ・トレヴィザン → 岡 哲平
55分 得点 東京 仲川輝人
60分 得点 C大 香川真司
61分 交代 東京 東 慶悟 → 高 宇洋 / 野澤零温 → 俵積田晃太
65分 警告 C大 ルーカス・フェルナンデス
70分 交代 C大 ラファエル・ハットン → ヴィトール・ブエノ / チアゴ・アンドラーデ → 本間至恩
75分 交代 C大 阪田澪哉 → ディオン・クールズ
80分 得点 東京 長倉幹樹
81分 交代 東京 バングーナガンデ佳史扶 → 土肥幹太
81分 交代 C大 香川真司 → 柴山昌也 / 喜田 陽 → 中島元彦
90+6分 警告 東京 高 宇洋
◇◇◇
【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 81 キム・スンギュ
DF 06 バングーナガンデ佳史扶
DF 24 アレクサンダー・ショルツ
DF 44 エンリケ・トレヴィザン
DF 99 白井康介
MF 10 東 慶悟
MF 37 小泉 慶
FW 16 佐藤恵允
FW 26 長倉幹樹
FW 28 野澤零温
FW 39 仲川輝人
〈控えメンバー〉
GK 31 小林将天
DF 02 室屋 成
DF 30 岡 哲平
DF 32 土肥幹太
MF 18 橋本拳人
MF 33 俵積田晃太
MF 07 安斎颯馬
MF 08 高 宇洋
FW 19 マルセロ・ヒアン
〈監督〉
松橋力蔵
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【天皇杯 試合日程】
2回戦 06月18日(水)19:00〇FC東京 3-1 金 沢(味スタ)
3回戦 07月16日(水)19:00〇FC東京 2-0 大 分(クラド)
4回戦 08月06日(水)18:30〇FC東京 2-1 C大阪(ヨドコウ)
準々決 08月27日(水)--:-- FC東京 - 未 定(未 定)
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