*** june typhoon tokyo ***

Jose James@Billboard Live TOKYO

Josejames
 ジャイルス・ピーターソンが“15年にひとりの逸材”と断言し、見出したジャズ・シンガー、ホセ・ジェイムスのライヴを観賞しにビルボードライブへ。当初は“Jose James and his band”とインフォメーションされていたが、直前になり“Jose James and his band × J.A.M”に変更されていたので、日本ではオリジナルとしてはデビュー・アルバム1枚しかリリースしていないし、それほど集客力がないから慌ててブッキングしたのかと邪推したり。このあたりのジャンルには明るくないので、J.A.Mというのが何者か最初解からなかったが、SOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青(ピアノ)、秋田ゴールドマン(ベース)、みどりん(ドラム)によるピアノ・トリオということ。SOIL&"PIMP"SESSIONSの名前は知っているので、そのファンやライトなジャズ層を狙ってのブッキングかと思ったら、ジャイルス・ピーターソン主宰のブラウンズウッド・レコーディングス(Brownswood Recordings)からアルバム『PLANET PIMP』がリリースされているそうで、ジャイルス・ピーターソンつながりということらしい。

 ライヴ形式は最初にJ.A.Mのステージがあって、インターミッションの後、ホセ・ジェイムスが登場するという二部構成。ニューヨリカンソウルなどで知られる「ロイズ・スキャット」(Roy's Scat)がオープナーで、それ以降はJ.A.Mのオリジナル楽曲が続く。J.A.Mステージのラストに“スペシャル・ゲスト”としてホセ・ジェイムスが競演(当初ならホセ・ジェイムスの単独公演だから“スペシャル・ゲストじゃないだろう”というところだが)。「わかってると思うけど、スペシャル・ゲスト、ホセ・ジェイムス! 実は俺(丈青)とは一字違いなんだよ。ホセは<J・O・S・E>で俺は<J・O・S・E・I>。ホセには“i”(アイ、愛?)がない”と呼び込んで、コラボレーションを披露した。
 J.A.Mのライヴは初体験だが、軸となるのはピアノとドラムの高速リズム・サウンド。3人中2人がアフロ風のヘア・スタイルと丈青のラフなしゃべりとは対照的な、怒濤のように畳み掛けるノンストップ・ビートが持ち味か。けたたましくさえ感じられる激動のリズムのなかに渦巻くような音色の変化が一気に耳を捉えるサウンド。狂気とエンターテインメントを行き来するような揺動性には、ジャズというものの多様性を訴えかけるようにも聴こえた。ただ、同じような高速曲を立て続けに披露したので、オリジナルのラスト(4、5曲目)にはちょっと飽きもあったが。

Josejames00 インターミッションの後、ホセ・ジェイムスと彼のバンドが登場。ステージ左からピアノ/キーボードのギデオン・ヴァン・ゲルダー、中央にドラムのリチャード・スペイヴェン、右にベースのネヴィル・マルコムといった配置。こちらのバンド演奏はJ.A.Mのエッジーな進取的なサウンドとは逆に、激しさの代わりに奥行きを感じさせるようなサウンド。とはいえ、随所に変化を持たせたジャズ特有の流れにまかせた即興性を盛り込んだ点では、サウンドの弾き方や表現方法の違いはあっても、J.A.Mもこのバンドも質の高さを証明していた。
 主役であるホセは、細身でそれほど背も高くない感じ。黒っぽい上下で決めてはいるが、名前からも解かるとおり、情熱を秘めたラテン気質を醸し出す風貌。ジャズ・ヴォーカリストの人なので、基本となるのはジャズ然としたものなのだが、スキャットはもちろんマウス・スクラッチなども披露する懐の深いシンガーだ。マウス・スクラッチをしている時のフリはヒップホップそのものだし、その適応力もかなりのものとみた。1曲目が終わった後、ゲストとしてSOIL&"PIMP"SESSIONSのサックス、元晴を呼び込む時もクールなマウス・スクラッチを披露してたし。

 ホセのヴォーカルを端的に示せば、知性と情熱とファンキーをムードというヴェールで包んだ……といえばいいだろうか。その独特の声は29、30歳という若さからは想像できない薫香があり、また一気に張り裂ける熱情的なヴォーカル・ワークも魅力だ。それは揺らいでいた炎が突如として勢いよくせせり立つ感じともいえるが、実際に体感すると、その力強さは炎というよりも、よどみない流水から一気に滝へとなだれ込むごとしといった印象が強かった。ハッとさせられるというより人によってはビックリしてしまうほどの力強さだ。
 本編ラストを終わるとすぐに大きな拍手が会場を包む。アンコールはバンドとの掛け合いを楽しむような間合いからお待ちかねの「モーニン」。天に突き上げる腕とともにヴォルテージも最高潮となって幕を閉じた。
 クールとエモーショナルが紫やピンクのスポットライトと相まって、妖しくアダルティな雰囲気に包まれた空間を堪能した1時間40分だった。

◇◇◇

<SET LIST>

≪J.A.M's Section≫
01 Roy's Scat
02 道
03 Quiet Blue
04 Quiet Fire
05 Jazzy Joint (Special Guest Jose James)

≪Jose James's Section≫

06 Equinox
07 Park Bench People (with 元晴 from SOIL&"PIMP"SESSIONS)
08 Love
≪ENCORE≫
09 Moanin'


<MEMBER>

ホセ・ジェイムス(Jose James)(Vo)
ギデオン・ヴァン・ゲルダー(Gideon Van Gelder)(P/Key)
ネヴィル・マルコム(Neville Malcolm) (B)
リチャード・スペイヴェン(Richard Spaven)(Dr)
丈青(Josei)(P/Key)
秋田ゴールドマン(Goldman Akita)(B)
みどりん(Midorin)(Dr)

元晴(Sax)

◇◇◇

Jose James - Moanin'
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