MISIAとの出会いは、1998年。彼女がデビューした年。多くのアーティストの音楽に接するなかで、MISIAはデビュー当時から注目していた数少ないアーティストの1人。どういった経緯だか忘れましたが、「なんだかクラブで凄い日本人シンガーの曲がかかっているらしい」という噂を耳にしたのが最初。あとで、それがMISIAのことだと解かり、ヴィニール(アナログレコード)やシングルを買いに走ったのですが、その話を聞いた時にはすでに売り切れだったようで、そんなことはつゆしらず、レコード、CDショップを駆け回ったのを思い出します。完璧に後の祭りの出遅れ状態で、結局パッケージとして手にしたのは、1stアルバム『Mother Father Brother Sister』が最初でした。
瞬く間にMISIAは“5オクターブの美声を持つ日本のマライア”だとか、映像メディアなどでははっきりと素顔を出さないベールに包まれた演出により“謎のシンガー”という見出しで各方面に採り上げられ、ジャパニーズR&Bブーム、ディーヴァといったムーヴメントを創り出すきっかけとなっていき、R&B趣向の女性ヴォーカリストたちが雨後のたけのこのように生まれていきました。自分の記憶のなかでは、TBS系『NEWS23』の1コーナーで「日本にも凄い女性シンガーがいる」という草野満代キャスターの紹介のもとでMISIAがピック・アップされたことがあったように思います。「つつみ込むように…」のPVも流れていました。そんななかで、“R&Bディーヴァ”ムーヴメントという実体のない流行だけが先走りし、個人的にはちょっと違和感を感じていました。R&Bの代表格と年初めから言われたものの、年末には“驚異的な超新人”として宇多田ヒカルがデビューすると(実際にはCubic U名義でリリースしていましたが)、話題の中心は一気に宇多田へ傾きました。そんなキャッチフレーズやコピーなどは、シンガーMISIAの在り方にとっては何の関係もないことですが……。
個人的にはちょっと違和感を感じていた、というのは、MISIAはR&Bも歌いますが、彼女をスターダムにのし上げた1つとしてリミックスの存在が大きいのでは、という思いがあったから。オリジナルはもとよりリミックス・トラックとしても最高にクールで、さらに重要なことは、重低音が響く打ち込み系のアレンジを付け加えても、その重量感に負けない圧倒的なヴォーカル力があったということ。クラブ・ミュージックに適したシンガーは多くいるけれど、ミックス・アレンジを施されてもびくともしないその歌唱力があったから、今もメインストリームを走り続けているのだと思います。
ということで、「つつみ込むように…」に接した時はもちろん衝撃的(日本にもとうとう大物が出てきたか!というワクワク感)でしたが、個人的にはよりクラブ・テイストな「Never gonna cry !」を聴いた時、ブルブルッと身震いしたような記憶があります。全篇英詞で書かれたこの曲を、屈託のないどストレートなヴォーカルで高らかに舞い踊っていく……自分がMISIA信者(笑)になった瞬間でもありました。
ということで、どのアーティストであっても、フェイヴァリット・アーティストの1番好きな曲というのはなかなか絞りづらくピック・アップしにくいところですが、自分が“MISIA、この1曲”を挙げるとしたら、「Never gonna cry !」になるのかな、と思います。みなさんの“この1曲”はなんでしょうか。集計すると、やっぱり「Everything」とか「つつみ込むように…」が人気を集める? いや、いや、シングル以外もクオリティの高い楽曲が多いMISIAですから、それぞれにNO.1曲でいいじゃん、ってことに落ち着くのかもしれません。(笑)
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