*** june typhoon tokyo ***

HALLCA @Jicoo THE FLOATING BAR



 アーバンなロケーションとともに垣間見せた、華と艶で彩られたステージ。

 2018年7月に初のソロEP『Aperitif』を発表後、配信リリースや自主企画ライヴ〈HALLCA presents“"TIPSY BAR”〉などで着実に歩みを進めている冨永悠香のソロ・プロジェクト“HALLCA”が、8月終わりのフライデーナイトに東京湾に浮かぶ船上バー「JICOO The Floating Bar」に登場。日の出桟橋とお台場海浜公園を30分毎に往来するベイエリアのナイトクルージングとあって、“アーバン”という惹句で語られることが多かったHALLCAの出身グループ“Especia”の世界観にもフィットしたシチュエーションをはじめ、『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』などで著名な漫画家・松本零士がデザインした7色に発光する宇宙船というコンセプトも併せて食指が動き、陽が沈んで間もない日の出桟橋へ足を向かわせた。

 HALLCAのライヴとしては、2018年11月の中目黒・楽屋でのイヴェント〈SPIRIT ROOM〉(その時の記事はこちら→「HALLCA@中目黒 楽屋」)以来。それがHALLCAとしての初ライヴ観賞だったから、この〈JICOO The Floating Bar〉はソロになって2回目の観賞となる。それまでにもライヴ・イヴェントはあったが、自身の諸事情以外になかなか足を向けられなかったのは、楽屋で観た時の印象が残像としてあったことも大きかった。観賞後の拙ブログにて「僅か30分のミニ・ライヴともいうべきステージで不毛にも思える駄文を書き殴るのは、一言に凝縮してみれば、ひとえに彼女の人間味の溢れる表現力を活かせる作品を生み出すか、それに巡り合って欲しいという願いでしかない。さらに、一見一聴だけでは分からない音楽性のギャップ(遊び心)があればなおさらだ。この日は、考えてみれば、まだ復帰後半年も経たない初期段階のステージ。自分が少し気持ちを、期待を重く強くかけ過ぎて観ていたようだ」と記していたように、本音を言えば、その出来映え以上に失敗を恐れる余りの迷いばかりが痛烈に伝わるパフォーマンスに、落胆に近い感情を持ってしまったこともある。


 それから約9ヵ月が経った本ライヴだが、約20分ずつのステージを2回、キーボードによる自身の演奏ではなくDJセットというJICOOのシチュエーションに沿ったクラブ・スタイルとなった。この日ミュージックセレクターを務めた、AKIRA KAWARAZAKIやHanaらのDJも、ハウスやテクノハウス調の推進力あるビートと洒脱感のあるトラックを選曲。蛍光色のライティングが時が進むとともに変化しながら、レインボーブリッジや東京タワー、パレットタウンの観覧車などベイエリアの夜景が窓に飛び込んでくる“海上を走る宇宙船内”を舞台に、アーバンなサウンドスケープを描いていく。

 第1部は、ソロ“HALLCA”としてのデビュー曲「Diamond」から、しっとりとしたアダルトな艶を忍ばせたムーディなミディアム「burning in blue」、彼女の明るさや朗らかさがリズミカルでスムーズなグルーヴに映える「Show the Night」の3曲を披露。第2部では、煌びやかなフュージョン・アクセントとともに色香が薫るR&Bマナーのグルーヴ・チューン「コンプレックス・シティー」、Especia時代のナンバーから海にちなんで「海辺のサティ」を経て、コール&レスポンスも含め、ライヴでヴォルテージを一層高めそうなファンキーなキラー・トラック「WANNA DANCE!」でまとめ上げた。


 DJセットゆえキーボード演奏との相性は確認出来なかったが、表情や歌唱からは、多少の緊張はあっても自分が以前に感じた“迷い”は感じられなかった。待望の1stアルバム『VILLA』が9月25日にリリースされることもあり、不安よりもワクワクする期待感の方が大きいのだろう。その感情が歌唱やダンスの所作にも表われ、心身の充実も伝わってきたのは、彼女の苦しさや戸惑いから脱却し始めた“成長”に他ならない。

 アルバムリリースに際するインストアイヴェントに加え、11月2日には初ワンマンライヴ〈Aperitif at my VILLA〉の開催も決定しているとのこと。ソロ立ちしてはみたものの路頭に迷っていた少女が、ようやく身なりを整えて表舞台を闊歩しようと扉を開ける。そんな瞬間に立ち会えそうな予感も抱いた、非日常空間でのスタイリッシュ&コズミックなクラブセット・イヴェントだった。



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<SET LIST> 
《Part I》
01 Diamond
02 burning in blue
03 Show the Night

《Part II》
01 コンプレックス・シティー
02 海辺のサティ(Original by Especia)
03 WANNA DANCE!

<MEMBER>
HALLCA(vo)
Hiromitsu Shimizu(DJ)

Music Selector DJ's>
AKIRA KAWARAZAKI(The Lazarus / MelT Designer
Hana(a.k.a. Hanami Kanayama)
ozawa(a.k.a. tomo ozawa)

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【HALLCAの記事】
・2018/08/04 HALLCA『Aperitif e.p』
・2018/11/26 HALLCA@中目黒 楽屋
・2019/08/30 HALLCA @Jicoo THE FLOATING BAR(本記事)

 

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