*** june typhoon tokyo ***

THE BLACK EYED PEAS@さいたまスーパーアリーナ

Bep2009_03

 エナジー大開放、そしてやっぱりここでもマイケル。

 9月15日の浜松からスタートしたブラック・アイド・ピーズの日本全国ツアー≪The E.N.D. World Tour ~Hard Rock Cafe “Ambassadors Of Rock”~≫の最終日となる東京公演を観賞しに、さいたまスーパーアリーナへ行ってきた。さいたま新都心駅に着き、足早にゲートへ向かう。普通に入り口に並んでいると、どこかで見かけたような顔の人が横にいる。NONA REEVES(ノーナ・リーヴス)の西寺郷太だった。相変わらず帽子を斜めに被っていたり。(爆)
 座席は400レベルだったのだが、ステージをそれほど遠く感じない距離の1列目ということで、かなり良かったのではないかと。アリーナの後方よりは断然良い。
 客層は20代後半~30代あたりが多いのかなと思ったが、意外とハイティーンや20代前半も多かったような。まぁ、どっちにしても自分は平均年齢引き上げ役にしかなってないけれども。

 ステージ中央から花道がアリーナ中央付近まで伸びていて、翼のように横に伸びているステージ前部とともに“T”の字のようにライトアップされている。ステージ中心はダンスなどのパフォーマンスのために広く空けられていて、バンドなどは後方高台に配置(自分の座席からはあまり確認出来なかった)。そのバンドは、ギター、ベース、キーボード、フルートサックスなどで構成。さらに、女性ダンサー6人が入れ替わりたち代わりに現れて、華を添える。左右にスクリーン、上部や奥には『THE E.N.D』のアートワークを基調とした効果映像が映し出されていた。

Bep2009_01 彼らの5作目『THE E.N.D』を冠したツアーだが、一発目は幕開けに相応しいタイトルの「レッツ・ゲット・イット・スターテッド」から。もう初っ端から400レベルの座席が揺れて止まらない。ビッグ・クラブ・パーティの始まりだ。圧倒的なステージングで『THE E.N.D』収録曲を中心に披露していくのだが、これが実に練られたもので、ライヴというより、テーマ・パークのアトラクションを観ているような感じだ。パフォーマー、映像効果、舞台装置などで、さまざまなアプローチでオーディエンスの五感を刺激していく。
 
 中盤ではそれぞれのソロ・パート・セクションも用意されていて、アップルを皮切りにタブー、ファーギー、ウィル・アイ・アムのDJセットへとなだれ込む。

 アップルは親しみのあるクレバーな表情とは異なり、小気味よくフロウしていく。ツボを抑えたその煽りは、切り込み隊長としてはもってこいだ。 

 特に印象に残ったのはタブーのセクション。『THE E.N.D』のラスト曲「ロッキン・トゥ・ザ・ビート」に乗せてオーディエンスを煽るのだが、そのステージ・インまでがショウビズ・スターのドキュメンタリー風の映像を流したクールなもので、時折“TABOO”のロゴや“I AM LATINO”(タブーはヒスパニック/ネイティヴ・アメリカン系)と示したりした。最後はステージ奥へ宙に浮いてフェイド・アウトするなど、ハリウッド仕様ともいえるか。

 ファーギーはやはり女性に人気が高く、ことさら大きな声援を受けていた。圧倒的な歌唱力はいわずもがなだが、この人の素晴らしいところは、オーソドックスに歌うだけではなく、時にコミカルに、時にセクシーに、時にフューチャリスティックに……と、七変化をこともなく(しかも自分がアピール出来る武器と意識して)やり遂げることだろう。彼女のソロ・デビュー・アルバム『プリンセス・ファーギー』収録の「ビッグ・ガールズ・ドント・クライ」のサビを観客が合唱している時の笑顔がキュートだった。

 ウィル・アイ・アムは、すでに高速ラップ・ソロを披露していたので、ここではDJとして登場。花道の先端まで歩いていくと、先端の床がクルッと回転して、DJセットが出現。そして、さらにその円状の床が高くせり上がり、クレーンの上でDJをしているような状態となった。“オールド・スクール、ポップ・ミュージックは最高だ!”と叫びながら、エステル「アメリカン・ボーイ」の次に流れたのがマイケル・ジャクソン「今夜はドント・ストップ」のイントロ。ここで一層ヴォルテージが高まる。さらに間を置いて「スタート・サムシング」や「スリラー」などのトラックを巧みに組み込んで煽っていく。レイヴ・パーティにマイケルという新機軸のポップ・ミュージックを瞬時に完成させていた。続いて“ロックが好きだ”と叫びながら、ハウス・オブ・ペイン「ジャンプ・アランド」やレッチリ「アザーサイド」などを組み込んでいく。“トキオ”“サイコー”とコールして、最後の決め文句は鼻の下に指を2本あてて“ウィルちゃん、ペッ”。加藤茶もビックリのパフォーマンスだ。(笑)
 この人は本当に多才多芸で、今回もキーボード、ドラムなどを演奏中に披露していた。また、MCでも茶目っ気のあるところを見せ、(日本といえば)“クチ・クサイ、クチ・クサイ……”とかつてSMAPに送ろうとしていた「クチ・クサイ・ソング」ネタをかぶせたりしていた。
 彼のプロデュース能力はさまざまなところに見られ、上述のDJタイムに続く「ナウ・ジェネレーション」では、バラク・オバマ上院議員(当時)の演説“Yes, We Can”を流した後、メンバー4人がそれぞれに演説台に立ってスピーチするという、アメリカ大統領選でよく見られる公開演説風に仕立て上げたステージでに。ウィルが歌いだしたら、それを遮るようにファーギーが熱を帯びて前に出てくる……といった凝ったものだ。スクリーンにはキャッチコピーが“CHANGE”ではなく“NOW”になっていたのもグッド・アイディアだ。

Bep2009_02 クライマックスは、バンド・ギターが煽って「ミザルー」のフレーズ(映画『パルプ・フィクション』のメイン・テーマでお馴染み)を爆発させた「パンプ・イット」から「ホエア・イズ・ザ・ラヴ」ときて本編ラストは「ブン・ブン・パウ」。“サヨナラ、サヨナラ”とサクッと言ってステージ・アウトしてしまう。
 もちろん、これで終わらせるはずもなく、強烈なアンコール催促の波に迎えられて再びステージに登場すると、割れんばかりの拍手と歓声、喚声。「パーティ・オール・ザ・タイム」から続く楽曲メドレーの最中には、なんとSMAPの香取慎吾と草彅剛が登場。スクリーンに顔のアップが映し出されると、天井が裂けんばかりの黄色い声が。「ああ、『SMAP×SMAP』に出演していたから、そのあたりのファンも多くいるのか……」と思ったり。ファーギーは“サンキュー、クミ・コウダ!”とコラボした倖田來未の名前を叫んでいた。
 バンドのソロ・パートを交えて、ラストは「アイ・ガット・フィーリング」。この日幾度となく訪れた会場が揺れる感触を、ここでも微笑ましく体感しながら、究極のポップ・ミュージック・レイヴ・パーティは終幕となった。打ち出の小槌のように次から次へと展開されるステージにも時間を経つのを忘れ、飽きることなくこの空間を楽しめた。

 出自も異なる4人が創り出した空間は、現時点での究極のポップ・エンターテインメントの最高峰といっていいだろう。パーティという楽しむ要素を機軸としながらも、人間のさまざまな感情を表現しながら、過去も現在も、そして未来も、人間に必要なのは、とどのつまり「愛」なんだということを、それを世界中の人々が理解しあい分かち合うことが大切なんだというテーマを、エンターテインメントとして成立させているのだから。そして、それを遂行しようとするものの魂は永遠に消滅することはないというメッセージ、“THE ENERGY NEVER DIES”が、パワフルなエナジーとともにオーディエンスの心に宿った(再燃させた)一夜となった。


◇◇◇


<SET LIST>

00 INTRODUCTION
01 LET'S GET IT STARTED
02 ROCK THAT BODY (*)
03 MEET ME HALFWAY (*)
04 ALIVE (*)
05 DON'T PHUNK WITH MY HEART
06 SHUT UP
07 will.i.am Freestyle RAP SOLO
08 IMMA BE (*)
09 MY HUMPS
10 MISSING YOU (*)
11 BEBOT~MARE (apl.de.ap SOLO)
12 ROCKIN TO THE BEAT (*) (Taboo SOLO)
13 FERGALICIOUS (Fergie SOLO)
14 GLAMOROUS (Fergie SOLO)
15 BIG GIRLS DON'T CRY (Fergie SOLO)
16 will.i.am DJ SET (will.i.am SOLO)
17 NOW GENERATION (*) (Including “RING-A-LING” INTRO)
18 PUMP IT
19 WHERE IS THE LOVE
20 BOOM BOOM POW (*)
≪ENCORE≫
21 PARTY ALL THE TIME~SHOWDOWN~OUTTA MY HEAD (*)
22 I GOTTA FEELING (*)
(Special Guest with Shingo Katori&Tsuyoshi Kusanagi From SMAP)

(*): SONG FROM ALBUM“THE E.N.D”

Bep2009_00_2

◇◇◇

 曲入りのMCで。
“好きな日本の食べ物はなに?”との問いに、
アップルは「ミソ・スープ」、ファーギーは「カレー」。(爆)

 アップルはファーギーの胸や尻を触ろうとして、ぶざまに跳ね除けられてました(もちろん演出上ですが)。

 そういえば、タブーが飛ぶ前に、ウィル・アイ・アムが既に空中遊泳してました。

 ファーギーがクネクネ腰、ブリンブリンなヒップを回すたびに、スクリーンにどアップとなるんですが……素晴らしいです。(笑)

 ウィルをはじめメンバーはみな、“トキオー”と叫びまくったり、フレーズに入れてきたりしたんですが、バンド・メンバーもステージに出てきての終盤では、タブーが“ジャパン、サイタマー、トキオー”と埼玉を加えてました。
 その後に出てきた草彅剛も“サイタマー”と言っていたので、さいたまスーパーアリーナの当公演での“埼玉”シャウトは、合計2回となります。(爆)
 でも、この“トキオ”って東京都じゃなくて、東京近郊、東京圏って意味での“トキオ”と理解してあげないと、ね。だって、成田だって新東京国際空港だったんだからさ。(苦笑)

 アップルのブレイクダンスも凄かったけど、ファーギーの連続片手前宙転?(昔、サッカーの城彰二がゴールを決めた後にやっていたパフォーマンスの片手ヴァージョンみたいなの)も凄かったな。黒スパッツというかステージ衣装って解かってるのに、スカート地だったりすると、ドキリとするのは、ジジイだからでしょうか。

 草彅はせっかく出てきたんだから、裸になって“地デジ~”って叫んでもらいたかったな。(笑)
それより、SMAPの残りのメンバー(中居、木村、稲垣)はなんでステージに上がらなかったんだろう。って、全員上がられてBEPとともに「世界で一つだけの花」とか歌われても困るから、いいか。(爆)


 『エレファンク』の時、ファーギーが入ってどうなるんだって声があちこちから聞かれた時から6年。結果的にはそれが大正解だったし、ファーギーもちゃんとグループでの立ち位置を解かってるから、いいよな。うん。
 あー、それにしても、久しぶりに揺れまくるさいたまスーパーアリーナを体験しました。すごい集客力と人気だけど、あのセット、相当金かかってんだろうなぁー……。

◇◇◇

 「そしてやっぱりここでもマイケル」とか言ってるけど、マイケルやったのDJの時のちょっとだけじゃないの? 大袈裟じゃない? と思う人もいるかもしれませんが、そうじゃないです。少なくともウィル・アイ・アムは完全にマイケル・トリビュートをこの公演のテーマの一部にしてたはず。 だって、そうじゃなかったら、赤いレザー皮ジャケットみたいな衣装で出てこないんじゃないかと。あの衣装は絶対マイケルのスリラーを意識してのセレクトだと思うなぁ。うん。
 
 

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ライヴ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事