痛恨の敗戦で、首位キープに黄信号。
アディショナルタイム5分を費やした試合終了間際。FC東京陣内の左サイドからファーへ放たれた鳥栖・小野のFKは、高橋秀人が頭で中央へ折り返したところ豊田が詰め、金井が押し込んでの逆転弾に。最初は豊田のゴールと発表されるも、その後金井に訂正された。FC東京にしてみれば、高橋の折り返しの時点で豊田がオフサイド、豊田が詰めに行った際に左手へボールが当たりハンド、さらに金井の位置もオフサイドという誤審が三つ重なったと思われる“疑惑”の判定を喰らっての、後味の悪い幕切れ。アウェイ鳥栖戦で勝ち点を積み上げることが出来ず、日曜の鹿島の結果次第では、首位陥落の危機に晒されることとなった。
ラストプレーの判定には当然首を傾げるところはあるが、たとえオフサイドやハンドが認められていたとしても、試合としてはドローだった。49分の右CK、三田がインスウィングで蹴ったクロスが直接ゴールに吸い込まれて先制した後、何度もチャンスを作りながら追加点を奪えなかったことが、結果として鳥栖に反撃のパワーを与えてしまった。
鳥栖に限らず、FC東京への対策はそれほど難しくはないということが分かり始めているのは、残念ながら事実だろう。強力2トップと称されるディエゴ・オリヴェイラと永井だが、ロングボールに走る永井の特徴を発揮させないようにスペースを消すか、永井の後ろのケアを万全に注力すること、当たり負けないディエゴ・オリヴェイラを孤立化させることに成功すれば、結果はどうあれ、事前の対策予測としてはほぼ十分と見られているのが現状だ。それに加えて、FC東京が攻勢を掛けながらもゴール前での細かいパスや綺麗な展開からのシュートに必要以上に拘ったことで相手のブロックに引っ掛かり、シュートを打てないままボールを奪われると、それがそのまま相手のカウンターとなる。前へ重心を掛けて陣形が一転、守備へと舵を切らなければならず、それを幾度も繰り返せば、スプリントを重ねている選手の疲弊は想像以上に早く訪れてしまう。
そして、ディエゴ・オリヴェイラ、永井というFC東京の“ストロング”がピッチを去ると、攻撃力が低下。相手にとっての脅威が去ったことで与しやすくなったことに加え、蓄積された疲労が顕著になってくると、疲労が適切な対応や判断を鈍らせ、防戦一方の展開へ……というパターンがここ数戦続いている。この悪循環を取り除かなければ、リーグ終盤を勝ち抜けるとは到底考えられない。
常套句のように言われるのが“決定力の欠如”だが、それが精度の問題ならまだしも、打てるタイミングでシュートを打てていない印象の方が強い。永井、ディエゴ・オリヴェイラが得点を挙げれば、さらに士気も上がるとはいえ、あまりにも綺麗にゴールを奪おうとし過ぎて、エリア内に侵入してもシュートが第1の選択肢となっていない。そう思われていても致し方ないような、パスで預けたり、相手をじっくりと見過ぎてシュートタイミングを失ったり、ボールを持ち過ぎてプレスを掛けられ、後ろや外へ逃げざるを得なくなるなど、シュートを第1の選択肢としていないことが、自ら得点機を失う要因にもなっている。やたらとミドルを打てばいいという訳ではもちろんないが、シュートを打たねばゴールは生まれない。直接決められずとも、跳ね返りやこぼれ球を押し込んでもゴールはゴールだ。中盤や自陣でのプレーでは泥臭く戦えていながらも、ゴール前では何故か綺麗に得点しようと、手数を掛けたがる。まずはゴールのために直結するプレーをしてもらいたい。
また、後半に攻撃の勢いが減速するというのであれば、永井とディエゴ・オリヴェイラ、あるいはそのどちらかを途中から送り込むという戦術も一考したい。ジャエルや田川あたりを先発させ、後半から強度の高い2トップの一角を注ぎ込み、相手が疲労しているところで脅威を与えるのも悪くないはず。本来はその2トップに比肩出来るくらいの選手の突き上げが生まれるのが理想だが、リーグも終盤となり、大きなギャンブルは打てないとなると、ある程度パフォーマンスが読める選手たちの組み合わせで、有効な手段を構築していかねばならない。
これでアウェイ8連戦のうち5戦を終えて、1勝2分け2敗と負けが先行することになったFC東京。3試合ぶりに得点は挙げたものの、失点も重ねている。アウェイ連戦は神戸、大分、磐田と順位や目指すところが異なるとはいえ、与しやすい相手とはいえないのも事実。運が良いのか悪いのか、次節の神戸戦までには代表戦などで2週間インターバルがある。ラストプレーでの判定へのわだかまりはなかなか消えないだろうが、リーグ残り6戦へ向けて切り替えるためには十分な時間だ。仮に鹿島に首位を明け渡すこととなっても、残りの試合を全て勝っていけば、おのずと結果はついてくるはずだ。初優勝への正念場、ここが踏ん張りどころだ。
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【明治安田生命J1リーグ 第28節】
2019年10月5日（土）14:03試合開始 駅前不動産スタジアム
入場者数 11,616人
天候 晴 ／ 気温 29.7℃ ／ 湿度 34％
主審 佐藤隆治 ／ 副審 大塚晴弘、今岡洋二 ／ ４審 吉田哲朗
鳥 栖 2（0-0 / 2-1）1 FC東京
≪得点≫
（栖）： 豊田陽平（86分）、金井貢史（90+5分）
（東）： 三田啓貴（49分）
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 32 渡辺 剛
DF 03 森重真人 → 岡崎 慎（89分）
DF 14 オ・ジェソク
MF 07 三田啓貴
MF 08 高萩洋次郎
MF 18 橋本拳人
MF 10 東 慶悟
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → ジャエル（79分）
FW 11 永井謙佑 → ナ・サンホ（72分）
≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 29 岡崎 慎
MF 28 内田宅哉
MF 45 アルトゥール・シルバ
FW 16 ジャエル
FW 17 ナ・サンホ
FW 27 田川亨介
≪監督≫
長谷川健太
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【明治安田生命J1リーグ FC東京 日程・結果】
第01節 02月23日(土)14:00 △FC東京 0-0 川 崎（Ａ・等々力）
第02節 03月02日(土)16:00 〇FC東京 3-2 湘 南（Ａ・ＢＭＷス）
第03節 03月10日(日)14:00 〇FC東京 2-0 鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第04節 03月17日(日)13:30 〇FC東京 1-0 名古屋（Ｈ・味スタ）
第05節 03月30日(土)14:00 △FC東京 1-1 浦 和（Ａ・埼 玉）
第06節 04月06日(土)14:00 〇FC東京 2-1 清 水（Ｈ・味スタ）
第07節 04月14日(日)14:00 〇FC東京 3-1 鹿 島（Ｈ・味スタ）
第08節 04月19日(金)19:00 〇FC東京 1-0 広 島（Ａ・Ｅスタ）
第09節 04月28日(日)14:00 〇FC東京 2-0 松 本（Ｈ・味スタ）
第10節 05月04日(土)16:00 △FC東京 0-0 Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第11節 05月12日(日)14:00 〇FC東京 1-0 磐 田（Ｈ・味スタ）
第12節 05月18日(土)14:00 〇FC東京 2-0 札 幌（Ｈ・味スタ）
第13節 05月25日(土)15:00 ✕FC東京 0-1 Ｃ大阪（Ａ・ヤンマー）
第14節 06月01日(土)14:00 〇FC東京 3-1 大 分（Ｈ・味スタ）
第15節 06月15日(土)19:00 ✕FC東京 0-1 神 戸（Ｈ・味スタ）
第16節 06月23日(日)19:00 ✕FC東京 0-2 仙 台（Ａ・ユアスタ）
第17節 06月29日(土)19:00 〇FC東京 4-2 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第18節 07月07日(日)19:00 〇FC東京 3-1 Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第19節 07月14日(日)19:00 ✕FC東京 0-3 川 崎（Ｈ・味スタ）
第20節 07月20日(土)19:00 〇FC東京 2-0 清 水（Ａ・アイスタ）
第21節 08月03日(土)19:00 〇FC東京 3-0 Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第22節 08月10日(土)19:00 〇FC東京 1-0 仙 台（Ｈ・味スタ）
第23節 08月17日(土)19:00 ✕FC東京 0-1 広 島（Ｈ・味スタ）
第24節 08月24日(土)13:00 △FC東京 1-1 札 幌（Ａ・札幌ド）
第25節 08月30日(金)19:30 〇FC東京 2-1 名古屋（Ａ・パロ瑞穂）
第26節 09月14日(土)19:00 ✕FC東京 0-2 鹿 島（Ａ・カシマ）
第27節 09月29日(日)14:00 △FC東京 0-0 松 本（Ａ・サンアル）
第28節 10月05日(土)14:00 ✕FC東京 １-2 鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第29節 10月19日(土)13:00 FC東京 vs 神 戸（Ａ・ノエスタ）
第30節 11月02日(土)15:05 FC東京 vs 大 分（Ａ・大銀ド）
第31節 11月09日(土)14:00 FC東京 vs 磐 田（Ａ・ヤマハ）
第32節 11月23日(土)14:00 FC東京 vs 湘 南（Ｈ・味スタ）
第33節 11月30日(土)14:00 FC東京 vs 浦 和（Ｈ・味スタ）
第34節 12月07日(土)14:00 FC東京 vs 横浜FM（Ａ・日産ス）
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