プライムステージ1stレグは、アウェイゴール奪うも札幌に逆転負け。
14分 渡辺剛のヘディングが決まり、FC東京が先制
21分 田中駿汰のゴールで札幌が同点に追いつく
80分 荒野拓馬のゴールで札幌が逆転
札幌厚別公園競技場で行なわれたルヴァンカップ準々決勝1stレグは、ホームの札幌が荒野の逆転弾で勝利。FC東京は渡辺剛のヘディングシュートで先制するも、それを活かせず。近年の札幌戦でよく見られる先制するも逆転される展開で、札幌に先勝を許してしまった。
札幌は先発に名を連ねていたチャナティップがウォーミングアップ中の負傷により試合前にメンバー入れ替えとなるアクシデントがあったが、右サイドのルーカス・フェルナンデスや金子からの攻め上がりや、1トップでボールを収めたジェイが起点となり、ボールを動かしていく。
一方、FC東京は1トップに永井、トップ下に高萩、2列目両サイドに田川と三田を配し、ブラジリアントリオはベンチに温存。CBは岡崎と渡辺剛のコンビでスタートした。中央を固めてまずは失点をケアする形で試合に入るが、自陣でボールを奪取するもセーフティなクリアに走らずに強引に運ぼうとしてプレスに阻まれたり、自陣でのこぼれ球へ詰めよるも一時遅くかわされてカウンターを喰らうなど、やや周囲の距離感に微妙なズレが生じてピンチを招く場面も。
10分には高嶺に右ゴールポスト直撃のミドルシュートを放たれ、嫌なムードが漂い始めたが、14分に三田のFKからエリア内で荒野との競り合いを制した渡辺剛がゴール左に打点の高いヘディングシュートを決めて、FC東京が先制に成功。貴重なアウェイゴールを奪ったが、10分も経たないうちに、エリア前で岡崎が不用意なファールでFKを与えると、福森からのセットプレーの流れから、ルーカス・フェルナンデスの右サイド深くからの高い弾道のクロスにファーサイドの田中が頭で押し込み、札幌が同点に追いついた。
パスやドリブルでボールを動かしながら攻め込む札幌、前線からのプレスと中央を固めた守備でボール奪取の機会を窺いながら、一気にカウンターで仕留めようとするFC東京という図式が明確になりつつあるなかで、FC東京は58分に高萩、永井、三田をレアンドロ、ディエゴ・オリヴェイラ、東と3枚替え。すると、ブラジル人を軸とした個の力で高い位置にボールを運べるようになり、それまでの札幌の“攻”、FC東京の“守”という図式が変化。サイドへのパスなどピッチを広く使うようになると、FC東京が攻勢となる時間帯へ移行していき、セットプレーも増加。鈴木準弥のCKからの渡辺剛が決定機となるヘディングシュートを放つも、GK菅野のビッグセーヴに阻まれてしまう。
FC東京がチャンスの波に乗り損ねると、札幌は菅をドウグラス・オリヴェイラにスイッチ。中盤にスペースが生まれ、一進一退の攻防が続くなかで、80分、FC東京陣内中央からの福森の縦パスを受けたジェイが落としたところに走り込んだ荒野がペナルティアーク付近から右脚を振り抜くと、ポスト左に当たってボールはゴールマウスへ。札幌が2点目を奪って、逆転に成功する。
FC東京は失点直前に田川に代えてアダイウトンを投入し、ブラジリアントリオを軸にアグレッシヴに攻め立てるも、焦りからかなかなか周囲とのスムースな連係が築けず、札幌の守備を搔い潜れない。87分に鈴木準弥に代えてピッチへ送ったバングーナガンデは、アディショナルタイムに駒井と接触して膝を痛めて担架で運ばれ、交代枠を使い切ったことから10人での戦いを余儀なくされる。自陣からパワープレイを仕掛けるも、GK波多野やディフェンス陣からのロングボールは精度を欠き、前線のブラジリアントリオまでボールを繋げることが出来ず。シュートチャンスを作れぬまま、タイムアップとなり、FC東京はブレ―オフステージの湘南戦に引き続き、1stレグを落とすことになった。
近年の札幌戦は先制するも追いつかれると逆転されるという展開が少なくない。メンタル的な部分も多少は作用しているのかもしれないが、根幹はどのように試合を遂行するかというゲームプランと、チームとしての決め事をしっかり共有し実行に移せるかという部分だろう。外国人勢のタレント性は大きな武器だが、その偏重へは多くのチームが対策をしてきている。任せきりになるのではなく、いかに連動、連係して自分たちのリズムやペースに引き込んでいくかが重要となる。攻守ともにもっとはっきりとしたプレーで周囲との適距離を作り、余裕が持てるスペースを生み出せれば、必然的に精度も高まるはずだ。
中3日の短いインターバルを経て迎える2ndレグは、通常のホーム・味の素スタジアムが使えないため、レモンガススタジアム平塚で行なわれる。札幌は試合前に負傷したチャナティップの出場が厳しそうだが、この日のパフォーマンスを考えると、ジェイや金子、ルーカス・フェルナンデス、福森らの好調ぶりは大いに警戒が必要だし、リーグ戦で得点した青木や小柏が出てくる可能性もある。そう容易い試合にはならないだろう。
FC東京がプライムステージ準決勝へ進むためには、90分で1対0以上で勝利、あるいは2点差以上での勝利が条件となる。もちろん無失点がベストだが、まずは得点しなければ話にならない。なるべく早い時間に先制、気を緩めずに追加点を挙げ、精神的に有利な状態へ持ち込みたい。
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【JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝 第1戦】
2021年9月1日(水)19:03試合開始 札幌厚別公園競技場
入場者数 3,204人
天候 晴 / 気温 19.7℃ / 湿度 59%
主審 今村義朗 / 副審 平間 亮、堀越雅弘
第4の審判員 先立圭吾
VAR 池内明彦 / AVAR 聳城 巧
札 幌 2(1-1 / 1-0)1 FC東京
得点:
(札)田中駿汰(21分)、荒野拓馬(80分)
(東)渡辺 剛(14分)
【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 13 波多野豪
DF 28 鈴木準弥 → バングーナガンデ佳史扶(87分)
DF 04 渡辺 剛
DF 29 岡崎 慎
DF 06 小川諒也
MF 07 三田啓貴 → 東 慶悟(58分)
MF 21 青木拓矢
MF 31 安部柊斗
FW 27 田川亨介 → アダイウトン(80分)
FW 08 高萩洋次郎 → レアンドロ(58分)
FW 11 永井謙佑 → ディエゴ・オリヴェイラ(58分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 25 蓮川壮大
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
MF 07 東 慶悟
FW 15 アダイウトン
FW 20 レアンドロ
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
≪監督≫
長谷川健太
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【2021 Jリーグ YBCルヴァンカップ Bグループ順位表】
1位 FC東京 12/6/3/3/0/6/2/+4
2位 神 戸 08/6/2/2/2/6/4/+2
3位 大 分 06/6/1/3/2/4/6/-2
4位 徳 島 05/6/1/2/3/3/7/-4
※(順位/チーム/勝点/試合/勝/分/敗/得点/失点/得失点差)
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【2021 JリーグYBCルヴァンカップ FC東京 試合日程】
〈グループステージ・グループG〉
第01節 03月03日(水)19:00〇FC東京 1-0 徳 島(H・味スタ)
第02節 03月28日(日)14:00〇FC東京 2-0 神 戸(H・味スタ)
第03節 04月21日(水)19:00〇FC東京 1-0 大 分(A・昭和電ド)
第04節 04月28日(水)19:00△FC東京 1-1 徳 島(A・鳴門大塚)
第05節 05月05日(水)15:00△FC東京 0-0 神 戸(A・ノエスタ)
第06節 05月19日(水)19:00△FC東京 1-1 大 分(H・味スタ)
〈プレーオフステージ〉
第1戦 06月05日(土)14:00✕FC東京 0-1 湘 南(H・駒 沢)
第2戦 06月13日(日)17:00〇FC東京 4-1 湘 南(A・レモンS)
※トータルスコア: FC東京 4-2 湘 南
〈プライムステージ〉
《準々決勝》
第1戦 09月01日(水)19:00✕FC東京 1-2 札 幌(A・札幌厚別)
第2戦 09月05日(日)18:00 FC東京 vs 札 幌(H・レモンS)
《準決勝》
第1戦 10月06日(水)
第2戦 10月10日(日)
《決 勝》
決勝戦 10月30日(土)13:05 未 定 vs 未 定(埼 玉)
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