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美浜原発事故:犠牲者は座り姿勢 一瞬逃げ遅れ生死分ける

2004年08月11日 04時22分26秒 | 社会
福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出事故で、死亡した検査会社、木内計測(本社・大阪市天王寺区)の作業員らが当時、タービン建屋2階で座った姿勢で作業をしていたことが10日、関係者の証言で分かった。逃げ出せた作業員らは荷物搬送などのため立ち姿勢の状態だったといい、逃げる動作に移る一瞬の遅れが生死の明暗を分けた可能性が強まった。事故発生時の具体的証言は初めて。

この関係者は、複数のけが人が入院する病院で10日、当時の状況を聞き取った。事故は14日開始予定だった定期点検の準備のため、部品や工具を建屋内に配置している最中に起きた。「ドーン」という大きな音がした直後、建屋内が蒸気に包まれて温度が急上昇し、高温の湯が一瞬にして床を覆い尽くしたという。

亡くなった高鳥裕也さん(29)は破損部に最も近い場所で簡易椅子に座った状態で交換部品の仕分け作業をしていた。死亡した他の3人も壁際などで同じ姿勢で作業をしていたらしい。一方、備品などを抱えて歩いていた作業員らはすぐに逃げ出すことができたが、床一面の湯だまりに足を滑らせて転び、大やけどした作業員も相次いだ。

聞き取りの際、けが人らはショック状態のためしばらく口を開くことができなかった。ようやく「蒸気の充満は一瞬で、目の前が真っ白になった」「気づいた時には床が熱湯で満たされていた」と語り、恐怖に身を硬くしていたという。

現場は通称「タービン2階」と呼ばれる。ベテランが配置されるが、2次系統であることから、装備は通常の作業服にヘルメット、安全靴の軽装だという。01年までは外部の見学者が通るコースにもなっていたといい、関係者は「2次系統とはいえ、営業運転中の作業の危険性が改めて分かった」と感想を漏らした。

事故は水流で炭素鋼製の配管の内側がすり減り続け、破損した「延性破壊」の可能性が指摘されている。証言は、こうした破壊現象が起きた場合の被害状況を検証する重要な手がかりになりそうだ。
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